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Stakeholder Dialogue ステークホルダーダイアログ地域ポイントを活用した
西条市の持続可能なまちづくり

2022年1月、NTT西日本は「持続可能なまち西条」の実現に向け、
西条市やNTT西日本等、産官学金の5者により「SDGs未来都市推進体制の構築に係る
包括連携協定」を締結し、地域ポイントと地域経済活動の両輪による住民参加型のまちづくりを
スタートさせました。以来、市民はもとより取組みに賛同するパートナー企業は想定を上回るペースで
増加しています。今回、ICTを活用したまちづくりを通じ、さらなるステップアップに向けて、
これまでの取組み状況や今後の展望について関係者で話し合ったダイアログの模様をお届けします。

● 西条市の課題とNTT西日本グループの姿勢

立石支店長:近年、全国の自治体、特に地方の自治体は、少子高齢化や人口減少等、さまざまな社会課題に直面しています。各自治体や地元企業・組織等が課題解決に向けてさまざまな地域活性化の施策を講じる一方、ノウハウや技術面に課題を抱えている場合も多く、取組みをトータルでサポートする担い手が求められています。こうした背景から、NTT西日本は、2019年から地域を元気にしていくビタミンのような役割を担うべく、「ビタミン活動」と銘打ち、全30府県において、それぞれの地域の事情に沿った地域活性化推進プロジェクトを推進してきました。当社にとって、地域社会のお困りごと解決のお手伝いをすることは、情報通信分野を軸に地域に根差した事業を展開してきた企業としての責務であると考えており、西条市へのご支援もその一環です。

立石篤志 NTT西日本 四国支店長

玉井市長:豊かな自然や豊富な水資源に恵まれた西条市は、四国屈指の工業都市、農業都市を成す人口10万人余りのまちです。近年、多くの地方都市が抱える人口減少や少子高齢化等の社会課題は西条市にとっても例外ではなく、若者や子育て世代をターゲットとした移住促進に注力してきました。その過程ではNTT西日本をはじめとするパートナーのサポートを得ることができました。2016年の市長就任以降は、若者や子育て世代の暮らしやすさの実現に向けて、「ワクワク度日本一のまち西条」、そして「持続可能なまち西条」をスローガンに掲げ、子育てモバイルや健康増進を目的とする健康ポイント等のICTを活用した実証実験を行ってきました。その結果、2020年から3年連続で「住みたい田舎ベストランキング若者世代部門」で全国1位を獲得するなど、成果が表れ始めています。今後は、これらの取組みを発展させ、地域活性化やSDGsを旗印に課題の解決に向けた取組みを進めていきたいと考えています。

玉井敏久様 愛媛県西条市長

立石支店長:NTT西日本と西条市は、ICTを活用したまちづくりを通じて関係を築いてきました。取組みをさらに拡大するため、2022年1月、産官学金の5者による連携協定を締結し、「持続可能なまち西条」の実現に向け、さまざまな課題の解決を図るための体制構築をめざしています。NTT西日本はそれぞれの地域に沿った地域活性化推進プロジェクトに取り組んでいますが、西条市はすでにICTを活用したまちづくりのための明確なビジョンをお持ちであり、パートナーとなる企業等の仲間づくりもスムーズに進んでいます。地域活性化に向けた取組みは次のステップに進む時期にあると思います。

玉井市長:NTT西日本とのご縁は、「ICTを活用したまちづくりのパートナーとして」という地方創生や地域課題の解決をテーマにした提案をもらったことがきっかけです。私が西条市長へ立候補した際、公約として「スマートシティ西条」というICTを活用したまちづくりのビジョンを掲げていました。この公約とも方向性が合致していたこともあり、NTT西日本とともにまちづくりを進めたいと思いました。その時もらったパンフレットは今でも私の宝物です。

● ICTを活用したまちづくりに向けたこれまでの取組み

越智代表取締役:西条産業情報支援センター(SICS)は、「地域活力の源泉は産業にあり」という理念の下、西条市独自の産業政策実行部門を担う第三セクターとして、1999年に設立されました。当時の西条市は、中小企業や工場の撤退が相次ぎ、地域における中小企業への価値ある支援の必要性が高まっていました。設立当初から、行政の力だけではない支援を続け、西条市の製造業は今治市、新居浜市に続く四国第3位(2020年製造品出荷額等)、農業は四国第1位(2020年度経営耕地面積)を誇る一大都市を築いています。これからの持続可能なまちづくりでは、ICTを活用した事業支援が必要だと考え、NTT西日本やミラボとともに行政だけでは手の届かない個々の企業に寄り添ったサポートを押し進めています。

越智三義様 西条産業情報支援センター(SICS)代表取締役

谷川代表取締役:ミラボは、電子母子手帳や予防接種システム等、子育てや社会福祉関連のシステム開発を手掛けており、新しいサービスとしては自治体サービスプラットフォームを展開しています。我々の企業理念は、一言でいうと“社会貢献”であり、今ないものを自分たちでつくる、そしてつくったものが世の中に貢献できているかどうかを重視しています。結果として、ミラボがあってよかったと思ってもらえるような企業をめざしています。西条市においても、まさにミラボが得意とする子育て支援アプリ「子育てモバイル」の開発・運用を通して、持続可能なまちづくりのサポートをさせていただいています。

谷川一也 様 ミラボ代表取締役

玉井市長:ICTを活用したまちづくりの第一弾として、地元企業と共に開発した子育て支援アプリは、子育て関連情報の発信や乳幼児健診・予防接種スケジュール管理等が容易にできるとあって、市民からも好評を得ることができました。その第二弾となったのが、2018年に開始したアプリを介した「わくわく健康ポイント事業」です。市民の皆さまがウォーキング等の健康づくりに取り組むことで、健康増進につながるだけでなく、健康ポイントを獲得でき、そのポイント数に応じて商品券をお渡しするという仕組みです。しかしながら、商品券では必ずしも西条市内での消費にはつながらないというデメリットがあったため、域内消費を促すツールとして、「LOVE SAIJOポイント」というステップに進み現在に至っています。

● 地域ポイントを活用したSDGs課題の解決

玉井市長:2021年5月には、内閣府から「SDGs未来都市」および先導的な事業提案として「SDGsモデル事業」に選定されました。これは、健康ポイント事業をさらに発展させる試みで、「LOVE SAIJOポイント」で人と人をつなげ合うとともに、「持続可能なまち西条」の実現に向けた活動の活性化をめざすものです。「LOVE SAIJOポイント」は地域の消費拡大・活性化を目的とした西条市独自のポイントサービスで、市民が「LOVE SAIJOプラットフォーム」を介してポイントを市内の取扱店で利用することができます。

立石支店長:NTT西日本は、現在の「LOVE SAIJO ポイント」におけるサービスプラットフォームのシステム構築にもミラボとともに携わってきました。また、多くの市民の皆さんにご利用いただけるよう社会実装のお手伝いをしてきました。さらに、西条市のSDGs達成に向けた市民や企業の貢献度を見える化するツールとして「SDGsメーター」の機能を追加提供しました。これにより、環境への取組み等、これまで日常生活等の中で価値を付けられていなかったところに価値を付け、SDGs活動との紐づけができるようになったことは大きな成果だと思います。

越智代表取締役:SICSはNTT西日本等とともに設立した「西条市SDGs推進協議会」の事務局を担当しています。「持続可能なまち西条」の実現に向け、まずは西条市の沿革を紐解く必要があると考え、西条市の若手社員や地元企業の皆さんとともに市の歴史や成り立ちを理解したうえで、市の課題抽出や要因分析を行い、持続可能とは何かを検討していきました。今後、パートナー企業同士が異業種でタッグを組むことで、新たな価値創出につなげることができないか、先入観にとらわれることなく、本来の目的やめざす価値は何かを追求することで、さらなる共創が生まれるのではないかと考えています。
2022年11月時点でアプリダウンロード数は約3万ユーザー を突破、この取組みに賛同するパートナー企業は400社を超えており、今まさに複数の事業構想が動き出そうとしています。また、「LOVE SAIJO×SDGs」のスローガンにもなっていますが、私は一人ひとりが行動を1%だけでも変えることが大切だと思っています。西条市民一人ひとりがSDGs課題の解決に向け“いっしょに、ちょっとずつ”行動することで、西条市は変われると信じています。

立石支店長:先ほどお話した「LOVE SAIJOプラットフォーム」アプリ内の「SDGsメーター」は、まさに西条市民の“いっしょに、ちょっとずつ”を見える化するものだと考えています。市民の皆さんがSDGsにおける環境・社会・経済、そして西条市独自の地域消費を加えた4側面に対し、どの程度取り組んでいるかを可視化し、さらには、その活動が西条市のSDGsにどの程度貢献しているのかも実感することができます。「LOVE SAIJOプラットフォーム」は、市民の皆さまが「LOVE SAIJO」を体感するための1つのツールであり、行動変容を促すための気付きを与えるツールであると考えています。

谷川代表取締役:「LOVE SAIJOプラットフォーム」のシステム開発は、ミラボが得意とするアジャイル開発スタイルで進めいます。”アジャイル(agile)”には「素早い」「機敏な」等の意味がありますが、その名の通り最初から要件を厳密に固めるのではなく、素早くリリースし運用しながら機能拡充を重ね、変化する要件に対して柔軟にシステムをつくり上げていきます。その中でも、ベースとなるシステムの開発では、他の自治体にも展開されることも想定のうえ、汎用性を意識し、標準的なものをつくることを心掛けています。

● さらなるステップアップに向けた決意

谷川代表取締役:本プロジェクトは、ミラボにとっても新しいチャレンジでした。西条市の取組みは、今後同じ課題を抱える地域のモデルとなって日本中に広がっていく可能性を感じましたし、そして何より、西条市の未来へ向けた取組みを続けていこうという姿勢に共感しました。ミラボの企業理念である“社会貢献”を体現するという意味でも、期待に応えるシステムを開発すべく、さまざまなトライアンドエラーを繰り返しつつ、最終的には満足のゆく仕事ができたと考えています。「LOVE SAIJO」の可能性をさらに広げていくためにも、引き続き皆さんと一緒に頑張っていきたいと思います。

越智代表取締役:市長からはよく、人材ではなく“人財”という言葉をいただきます。企業経営にとってもバランスシート上に現れない人の価値をいかに上げていくかが大事になっています。ここを応援していけるような西条市をめざし、今後も邁進していきます。

玉井市長:西条市の未来をつくるうえで、私は「LOVE SAIJOプラットフォーム」で市民の皆さんに“ワクワク感”を感じてもらいたいと思っています。また、パートナー企業にとってはビジネスチャンスであってほしいと考えています。パートナー企業の数は想定を上回るペースで増えており、これからさまざまなシナジーが期待できる、「LOVE SAIJO」はいわば玉手箱のような存在です。今後は、ミラボやNTT西日本をはじめとする皆さんと行政だけではできないことに挑戦し、西条市の住民福祉の拡充を図っていきます。今日のお話を通して、「LOVE SAIJOポイント」は地域活動を活性化させ、循環することによって経済も活性化する“西条市の血液”であり、これからも循環させ続けていかなければならないと改めて実感することができました。今後は、人口減少や少子高齢化等の諸課題を抱える多くの自治体にとって、西条市が先駆け的な存在になれればとも考えています。

立石支店長:玉井市長のおっしゃるように、「LOVE SAIJOポイント」を“西条市の血液”として、さまざまな取組みや事業に絡めて地域に流し続け、「持続可能なまち西条」の実現につなげていくことは、NTT西日本としても重要な責務だと認識しています。今後も、NTT西日本の得意分野であるICTの力を活かして、西条市やパートナーの皆さまと一緒になって地域の活性化に貢献していきたいと思います。そして、この取組みをさまざまな地域でも活用できるよう発展させていくとともに、NTT西日本全体のSDGs活動にも活かしていきたいと考えています。



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