「⽂化(集団‧社会〜国) 」の共栄デジタルの力で新たな未来を
主な取組み
デジタル活用による共創と住民参加型のまちづくりの推進
NTT西日本グループは地域創生Coデザイン研究所を旗頭に、デジタル技術とデータ活用をはじめとしたグループのアセットを駆使して西日本エリアの各地で地域活性化推進プロジェクトを展開し、地方創生を後押しています。ともに人口や来街者の減少といった課題を抱える愛媛県西条市と熊本県熊本市で進めるスマートシティ実現に向けた取組みは、その代表例です。
以前より「ICTを活用したまちづくり」を掲げてきた西条市では、2021年に締結した連携協定に則り、産官学金の連携で住民参加型のまちづくりを推進しています。その中軸となっているのが「LOVE SAIJO ポイント」事業です。西条市が実施してきた、ウォーキング等の健康づくりとポイント獲得/商品券との交換を結びつけた「わくわく健康ポイント」を発展させ、パートナー企業とともに当社グループがシステムを構築したサービスで、健康増進活動や域内での消費活動、さらにはSDGs活動によって、買い物等に使用できるポイントを利用者に付与します。これにより消費拡大や産業活性化が見込める他、SDGs達成に向けた市民・事業者の行動変容にもつながり、持続可能なまちづくりの土台構築の一助となっています。
同じく住民参加型の地域共創により持続可能なまちづくりをめざす熊本市では、市の課題である中心市街地活性化の実現に向けてICTを用いたさまざまな施策にともに取り組んでいます。2022年にはその一環として、3~5月に開催された「くまもと花とみどりの博覧会」に合わせて先端xR(クロスリアリティ)技術を活用した調査・研究イベント「マチナカxRミュージアム」を実施し、地域の魅力発信を通じた中心市街地への誘客拡大、回遊促進の実証を試みました。花博のメイン会場前の広場や商店街等のエリアでスマホやタブレット端末をかざすと、xRで「くまモン」等の地元コンテンツが街の風景と合成されて映し出される演出を試み、ターゲットとしていた家族層を中心に幅広くご利用いただきました。当イベントを通して収集したxRの体験ログや人流データを効果とともに検証し、市街地の賑わい創出に向けた取組みに活用する等、商店街等の地域パートナーと連携しながら中心市街地活性化等の地域課題解決に引き続き取り組んでいきます。
この2都市をはじめ、各地で立ち上がった地域活性化プロジェクトを遂行していく過程で蓄積したデータやノウハウは、他地域での取組みにも活用し、各プロジェクトの実効性向上につなげています。こうした重層的な取組みをグループ一丸となって重ねていくことで、さらなる地域創生、ひいては社会全体のサステナビリティの実現に寄与していきます。
住民参加のまちづくりモデル図



マイナンバーカードを活用した“まちづくり”
NTT西日本 島根支店は、島根県美郷町とともにマイナンバーカードを活用した“まちづくり”に取り組んでいます。
美郷町ではマイナンバーカードの有効性を住民に十分に提供できておらず、眠れる資産となっていました。この課題解決に向け、町内のさまざまな公共施設に設置された読み取り機にマイナンバーカードをかざすことで地域ポイントを付与し、利用促進を図る取組みを実施しています。
また、マイナンバーカードを活用したさまざまなサービスを実装することで利便性の向上・利用促進を図っています。実装するサービスは、読み取り機にマイナンバーカードをかざすことで、事前に登録した家族や自治会へ公共施設の利用状況を配信することで外出機会の創出を促す「健康増進サービス」、登下校情報の配信による児童への「見守りサービス」、非常時のスムーズな避難所受付を可能とする「避難所受付サービス」、現在紙で運用されているバス回数券をマイナンバーカードに置き換える「回数券のマイナンバーカード化サービス」等さまざまな分野でマイナンバーカードを活用しています。
これらの取組みで得られた情報を、行政・民間のサービス向上に活用することで、地域の「見守り」「繋がり」「盛り上がり」力を向上させ、カードをタッチする「アナログ」と、その情報を活用する「ICT」の融合による地域住民が安心して暮らせる“まちづくり”を目指しています。
「課題先進地」がめざす”マイナンバーカードを持ち歩くことで暮らしが便利になる町” “誰一人取り残さない、住民みんなが安心・便利に暮らせる町“の実現をめざし、住民の皆さまのWell-Beingの向上につながるさまざまなサービスの実現を進めていきます。

中四国地域のDX推進拠点「LINKSPARK HIROSHIMA」の設立
テクノロジーの進歩や社会の変容等に伴い企業や自治体を取り巻く環境は目まぐるしく変化し、あらゆる分野でDX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性が高まっています。なかでも中国・四国エリアは、それぞれ異なる気候、独特の文化を有し古くから多様な産業が存在してきたという地域性もあり、多くの領域でDXを求める声が挙がっています。こうした現状を踏まえ、NTT西日本は当社グループが保有するアセットに加え、中国・四国エリアに存在するリソースを活用してDXの加速を図るべく、2023年1月、西日本エリアで4拠点目となる共創ラボ「LINKSPARK 」を広島県広島市の基町エリアに開設しました。
「LINKSPARK 広島」では、お客さまのビジネスゴールの達成に向けて、取組みテーマの策定支援、デジタル人材やパートナー企業との共創サポート、ICT実証環境の提供を三本柱に、お客さまのDXをトータルコーディネートします。具体的には、デザイン思考を採り入れたワークショップや業界動向を踏まえたディスカッションの実施を通してお客さまの課題の具体化と取組み内容の明確化を図るとともに、データサイエンティスト等NTT西日本の専門スタッフや先進技術を有するパートナー企業との連携を後押ししつつ、DX実現までのプロセスをトータルでサポートします。また、AIエンジンやデータ分析に用いる各種ソフトウエアおよびハードウエア、高セキュアなデータストレージ、シームレスなクラウド等を利活用できる実証環境を提供し、目的に応じたPoC(概念実証)の実施、本格導入に向けたICT環境の整備まで支援します。
「LINKSPARK 広島」を拠点に、これまで当社グループが培ってきたDX支援のノウハウやデジタル人材を有効活用し、お客さまの広範囲かつ高度な取組みを手厚くサポートしながら、共創ビジネスの創出と運用を推進していきます。そして、地域社会における新たな価値創造とさらなる発展、社会課題の解決に寄与していきます。
LIKSPARKでの共創イメージ





「SENBOKUスマートシティコンソーシアム」をトリガーとした社会課題解決への取組み
NTT西日本 関西支店は、「SENBOKUスマートシティコンソーシアム」※1における「データ連携ワーキング」の活動の一環として、NTTマーケティングアクトProCXおよび大阪府堺市と連携し、新たなスマートシティ推進事業の創出に向けた市民共創実証プロジェクトに取り組みました。
本コンソーシアムでは「市民と共に創る」という視点で、市民の声(Voice of Citizen、以下、VoC)を収集・分析し、会員が取り組むテーマに活用できるプラットフォームの構築を進めています。そこで、2022年10月~2023年1月、VoCを活用した市民共創のファーストプロジェクトとして、SDGsの活動に積極的に取り組む泉北ニュータウン地域の高校である泉北高等学校の生徒50名と連携し、泉北ニュータウン地域の抱える課題解決に向けた議論を実施しました。
新型コロナウイルス感染症の影響により対面授業に制約がある中、生徒たちがより議論内容を深めるためにウェブ上で討議ができるAIファシリテーション機能搭載のツール「D-agree」を活用し、取組みの実施期間中、自分の好きな時間・場所から自由に投稿ができるように工夫することで議論の活発化を図りました。また、ディスカッションで交わされた議論のデータは、CX(顧客体験)デザインに実績のあるNTTマーケティングアクトProCXの専門アナリストが分析を行い、生徒たちの討議や発表に反映させることで、量と質の両面からVoCの収集・分析、そして出てきたたくさんの素晴らしいアイデアの可視化・ブラッシュアップを行うことができました。2023年2月には議論の成果となるアイデアの発表会を開催し、コンソーシアムの関連団体へフィードバックすることで、サービスの創出サポートを実現しました。
今後も、NTT西日本 関西支店およびNTTマーケティングアクトProCXは、より多くのVoCをもとに地域課題を解決し、新たなまちづくりに向けた価値の創出に繋げられるよう、ICT活用×地域コンサルティングの取組みを通じて、公民連携および市民参画促進を協働で推進していきます。
- ※1「SENBOKU New Design」および「堺スマートシティ戦略」の理念や「SENBOKU スマートシティ構想」で示すコンセプトに基づき、公民がイコールパートナーとして取組みを推進するコンソーシアムとして設立(2022年6月設立)。

ビッグデータを活用した観光地の誘客活動支援
2022年9月、佐賀県武雄市と長崎県長崎市を結ぶ西九州新幹線(武雄温泉駅~長崎駅)が開通し、武雄市と隣接する嬉野市では新たに「嬉野温泉駅」が開業しました。その嬉野市は、嬉野温泉や嬉野茶をはじめ魅力的な観光資源を有する一方で、1931 年に肥前電気鉄道と祐徳軌道が廃止されて以降、県内唯一の鉄道空白地域となりアクセスの悪さが問題視されていました。91年ぶりとなる今回の鉄道路線開通に伴う交通利便性の向上により、市内では新たな人の流れが想定され、産業振興の絶好の機会として期待が高まっています。この好機を十分に活かし、市街地および周辺地域への誘客活動をいかにして実施・継続していくかは、嬉野市にとっての重要テーマです。NTT西日本 佐賀支店は、同市の活動の実効性向上に貢献すべく、2022年9月に締結したICT連携協定に則り、嬉野温泉観光協会、嬉野市商工会と連携して、国土交通省の「ビッグデータを活用した実証実験事業」にエントリーしました。当事業では、ビッグデータ(NTTドコモの位置情報データを用いたモバイル空間統計)を活用して新幹線開業前後の来訪客の人流データを収集・分析し、今後強化すべき観光客のターゲット層の絞り込みと観光施策案を導き出しました。
近年、嬉野市に限らず多くの地方自治体が地方創生を掲げ、さまざまな施策を打ち出しています。NTT西日本グループは、それを推進するうえで生じる課題を先端ICT技術の力で解決し、地域社会・経済の活性化に貢献していきます。
実証事業の対象地域

- 出典:佐賀県の観光情報ポータルサイト あそぼーさが https://www.asobo-saga.jp/
長崎県公式HP https://shinkansen.pref.nagasaki.jp/
ドローンを活用した橋梁管路点検の実現
従来目視での確認が主流だった橋梁に添架されている管路等の設備の点検は、高所での作業が少なくなく、手間やコストがかかるうえに危険を伴う場合もあり、点検技術や手法の改良に期待が寄せられていました。NTT西日本グループはそうした現状を踏まえ、ドローンを活用した設備点検を提案しています。この方法では、カメラ付きのドローンを飛ばして撮影し、その映像を離れた場所からリアルタイムで確認することができるため、目視と同等レベルのクオリティで、より容易かつ安全、安価な設備点検が可能です。2022年10月に島根県出雲市との連携のもと、上下水道局の担当者らを招いて実施した同市古志大橋の管路(NTT西日本が管理する光ファイバー等を収容する管路と水道局が管理する水道管)の点検見学会では、それらの特長を高く評価していただきました。
今後は、得られた結果やデータをベースに、見学会映像も参考資料として提示しながら、他の自治体や公共インフラ事業者に本ソリューションを提案していきます。そして、シェアリングビジネスとして確立・展開しつつ、設備点検を取り巻く課題の解決に寄与していきます。

全国初となるガス・電気・水道・通信事業者の協業による埋設物調査の共同でのウエブ受付開始について
これまで工事会社は、道路掘削工事の際、その都度、ガス、電気、水道、通信といったライフラインの損傷事故を防ぐべく、各事業者に電話やFAXもしくは窓口に直接出向いて埋設物調査や立会を申請していました。一方、ライフライン事業者も、それぞれが自社設備の監督責任を負い、工事会社からの申請を個々に受け付けていました。しかしながら、人手不足や働き方改革を背景に生産性の向上が叫ばれ、業務の効率化が必須の状況となっています。
地下埋設物調査に関するこの煩雑で非効率的な業務フローの解消に向け、NTT西日本グループは、かねてから埋設物調査受付時に使用してきた立会受付ウエブシステムの共同利用を各ライフライン事業者へ提案してきました。そして、2022年4月より西部ガス株式会社、2023年4月より九州電力送配電株式会社、2023年10月より新たに北九州市上下水道局(上水道)が加わり、4業種での共同受付をスタートしました。ガス、電気、水道、通信の4業種によるワンストップで申請できる仕組みの導入は全国で初めてです。本仕組みにより、建設業界の働き方改革やDX推進等の社会課題の解決にも貢献できる取組みとなります。
今後は、本取組みに賛同いただけるライフライン事業者の参画を通じて、申請いただく皆さまの利便性向上やさらなる効率化に貢献していきます。
4業種による立会受付ウエブシステムの実施イメージ

産学官が連携したアイデアソン×展示会イベント「さいしんこうげい」を開催
NTT西日本 京都支店は、NPO法人京都西陣町家スタジオ、株式会社電気蜻蛉、京都産業大学、京都府、京都市とともに伝統的な工芸品が持つ魅力を再定義し、新しい表現・展示の方法を通じて工芸品の新たな顧客層の獲得をめざす「アイデアソン※」と「展示会」を掛け合わせたイベント「さいしんこうげい」を開催しました。このイベントでは、アイデアソンの参加者である京都産業大学の学生と社会人が1つのチームとなり、パートナーとなった工房の工芸品や歴史、職人の人柄といった魅力をSNSと展示会でいかに発信するかにチャレンジしました。地域と一体となって工芸(こうげい)の魅力を「再(さい)発見・新(しん)発見したい」という思いを込めて、イベントを「さいしんこうげい」と名付けました。
「さいしんこうげい」ならではの視点と貢献


普段は伝統工芸に馴染みのない学生と社会人が独自の目線を持ち込むことで、「神棚と推し活を結び付けた祭壇」や「京人形でジェンダーを表現」といった斬新な発想に満ちた展覧会に結びつきました。パートナーの工房にとっての新たな気づきや、来訪された企業との新たなプロジェクトにつながり、京都支店の地域活性化活動が飛躍するきっかけにもなりました。
今後も、京都支店は地域の人々とともに地域活性化活動に挑戦し、双方の産業の成長に貢献していきます。
- ※アイデアとマラソンを組み合わせた造語。新しいアイデアを生み出すために行われるイベント

