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Feature 1 特集1 オープンイノベーションでウェルビーイングが実感できる社会を創る「QUINTBRIDGE」
未来共創プログラム「Future-Build」
地球環境に配慮した「次世代型農業支援サービス」への挑戦

年々複雑さを増す社会課題を解決していくには、さまざまなバックグランドを持ったパートナーとの事業共創、つまり、オープンイノベーションによる新規事業創出が必要だと考えています。NTT西日本は、企業やスタートアップ、自治体や大学等のパートナーの皆さんとともに社会課題の解決と未来社会の創造によるウェルビーイングが実感できる社会の実現に向け、2022年3月にオープンイノベーション施設「QUINTBRIDGE」を開設しました。運用開始から1年半を経て、すでに600回以上のイベントを開催し、次世代有機農業をはじめとした未来社会を共創するプロジェクトも複数動き出しています。

QUINTBRIDGE(クイントブリッジ)は、企業・スタートアップ・自治体・大学などが自由に交流し、それぞれの思いやアセットを共有しながら共創を進め、実社会での活用をめざすオープンイノベーション施設です。

会員とともに社会課題の解決と未来社会の創造を成し遂げ、ウェルビーイングが実感できる社会を実現することを目的としています。

QUINTBRIDGEでは、施設理念を“Self-as-We 「わたし」の挑戦を、「わたしたち」の挑戦へ。”と設定し、社会課題解決・未来社会創造のために「わたしたち」を主語にチェレンジしていく会員が集まっています。開業から1年半を経て、会員の皆さんそれぞれが、課題・アセット・フィールド・アイデアを持ち寄り、世の中に新たな価値を提供し、社会を前進させる場所として、認知も高まりつつあります。

QUINTBRIDGEのパーパス

QUINTBRIDGEの施設理念

オープンイノベーションで社会実装へ
地球環境に配慮した次世代型農業支援サービス

化学肥料・農薬を利用した従来の農業システムは、農地への過剰な施肥により土壌劣化や水質汚染、それに伴う生物多様性の喪失、さらには温室効果ガス発生の一因となりかねず、大量生産・大量消費型農業の弊害が表出しています。加えて、日本は化学肥料のほぼ全てを海外からの輸入に頼っており、リン鉱石の枯渇や国際情勢の変化等により化学肥料の価格が高騰し農家の経営を圧迫しています。このような環境変化より、我々は安心・安全の食料生産を国内で維持したうえで、農地への適正な施肥を実現する持続可能な循環型農業へのシフトが求められています。また、農林水産省が発表した「みどりの食料システム戦略」では、2050年までに化学肥料の使用量を30%低減、耕起面積に占める有機農業の取組面積を25%にする目標などを掲げており、今後化学肥料から有機質肥料への移行が進むと考えられます。

NTT西日本はオープンイノベーションの力を活用し、このような1つの組織では解決が難しい大きな問題に取り組んでいます。例えば、理化学研究所含むアカデミア一同との共同研究では、カーボンニュートラル、生物多様性を実現する完全資源循環の栽培や今後予想される気象変動に対応した環境再生型農業の実現を目指しており、これまで解析が難しかった土壌中の微生物の機能に着目し、農業生態系のデジタル化にチャレンジしています。また、「QUINTBRIDGE」で開催する未来共創プログラム「Future-Build For Well-being society」を活用した、地球環境に配慮した次世代型農業支援サービスの事業化にもチャレンジしています。

化学肥料や農薬の使用量を減らし、土壌を修復・改善しながら自然環境の再生を促す「環境再生産型農業」の実現に向けての鍵を握るのが、土壌中の物質の循環機能を担う微生物の様態の解明です。NTT西日本は生物多様性の保全や食料の安定供給に寄与するこの次世代農業の手法確立と普及を視野に、2021年12月より7機関と共同で土壌微生物の解析とデジタルデータ化の基礎研究を開始しました。

本研究では、土壌微生物の分析に基づく先端的な精密診断法を用いて温州ミカン果樹園の土壌と作物を科学的に解析し、数値化したデジタルデータを用いてそれらの相互作用を解明します。そのうえで、分析した土壌で栽培された作物の収量や品質の多角的な評価を基に、高品質の作物を栽培できる土壌条件を明らかにするとともに、温室効果ガス発生等の環境負荷の定量化を試みます。一連の研究を通じて得られたデータは、サイバー空間内で作物の品質や収穫量等を分析・予測するデジタルツインコンピューティングでの活用を経て、熟練農家の匠の技の可視化に役立てます。

  • ※国立研究開発法人理化学研究所、国立大学法人福島大学、国立大学法人北海道大学、国立大学法人東京大学大学院農学生命科学研究科、株式会社前川総合研究所、地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所、国立大学法人筑波大学

農業生態系のデジタル化のイメージ

2022年8月に始動したQUINTBRIDGEの未来共創プログラム「Future-Build」において、「地球環境に配慮した次世代型農業支援サービス」というプロジェクトを立ち上げ、スタートアップ、企業、研究機関等のパートナーの募集を行いました。

NTTコムウェア、M2 Labo. Inc.を採択パートナーとして、「有機農業を目指す若手農家向けに栽培・出荷・販売までパッケージングした新サービス」の実証実験を実施し、Future-Buildの審査を経て事業化検証段階へと移行しました。

一連の実証・検証では、NTTコムウェアの営農支援クラウドサービス「BLOFware.Doctor」に基づいた栽培技術および営農支援クラウドサービス、M2 Labo. Inc.が展開する地域の共同配送による青果流通のしくみ「やさいバス」を活用した有機栽培作物の市場外流通での販売について検証し、その実効性を確認しました。有機栽培の難しさ、流通環境の未整備、労働力不足といった農業従事者を悩ませる問題の解消に寄与しうる当サービスを早期に事業化し、誰でも自然環境に配慮した持続可能な農業に従事できる社会の実現を後押ししていきます。

  • ※「細胞を作るアミノ酸」「生命維持に不可欠なミネラル」「生育・施肥を支える土壌」の3分野での考察を軸に、科学的・論理的に営農する株式会社ジャパンバイオファームの有機栽培技術「BLOF」を基盤としたシステム

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