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宗像市様・NTT西日本 対談会 最近の主な取り組み

Dialogue 持続可能な社会の実現と社会課題の解決

―司会:

豊かな自然の恩恵を受け、沿海部と山間部を合わせ持ち、古くからその自然を守り継いで漁業、農業が営まれてきた福岡県宗像市は、ユネスコ世界文化遺産に登録された宗像大社の神々が鎮座する観光地でもあります。
今、この街では「世界遺産のあるまちの使命」として、地球規模の環境問題に対応し、持続可能な社会の実現に取り組んでいます。

本日は、それぞれのお立場から環境保護活動、そして「持続可能な社会の実現と社会課題の解決」について、宗像市 伊豆 美沙子市長、NTT西日本 九州事業本部長 小澤 正憲本部長、NTT西日本 環境経営推進室 原 美永子部長にお伺いします。


宗像市の概要(位置・産業)

―司会:

北に玄界灘、三方を山々に囲まれた宗像市は、古代には対外交易の拠点として発展したと伺っております。

―伊豆市長:

玄海灘の先は朝鮮半島で、古代、宗像の地は大陸との貿易や文化交流の玄関口でした。その後、政令都市である福岡市と北九州市の中間に位置する地の利を活かし、海・山・川の豊かな自然環境と歴史・文化遺産に恵まれた街として、今日まで発展しています。

両政令指定都市から30キロ圏内であることからベッドタウン、住宅都市として栄えてきました。大学や大型商業施設が進出し、生活環境や都市基盤が整備され、現在、教育や文化、子育て支援なども充実し、人口はおよそ9万7000人です。平成29年7月には「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」がユネスコの世界文化遺産に登録され、認知度も高まりました。それまでは「しゅうぞうし」などと読み間違われ、「むなかた」と読んでもらえなかったのですが、むなかた→「宗像」と漢字変換もされ、ようやく名前が全国的に知られるようになりました。

―小澤本部長:

先ほど市長から「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」が世界文化遺産に認定され、観光分野にも力を入れられていると伺い、一部ニュースなどで認定される前後について報じられていたのを拝見したことを思い出しました。認定されるにあたり、やはり、相当ご苦労をされたのでしょうか。評価された要因についてもお聞かせいただきたいです。

―伊豆市長:

世界遺産の構成資産は、沖ノ島に宿る神への信仰を起源とする宗像三女神をお祭りする宗像大社三宮(沖津宮、中津宮、辺津宮)、信仰の伝統を築いた人々が眠るお隣の福津市の新原・奴山古墳群、遥か彼方に沖ノ島を望む大島の沖津宮遙拝所で形成されています。古来より神宿る島として崇拝されてきた沖ノ島から大陸へ渡る航路に就くには、古来の人々は皆命を懸けたと想像できます。航海の安全を祈る国家的祭祀が行われた島そのものがご神体であり、「不言様(おいわずさま)」と言って島内で見聞きしたことは一切口外してはならないとされていたほか、海の中で穢れを払う「禊(みそぎ)」や、「島から一木、一草、一石たりとも持ち出してはならない」などの厳格な禁忌が今日まで守られてきました。

1000年以上も手つかずの状態で守り継がれてきた沖ノ島の祭祀跡からは国宝と認定された約8万点もの奉献品が出土しています。古来より伝わる航海安全のための信仰は、日本固有の自然崇拝=「海への感謝」と結びつき、多くの漁業従事者たちがこの沖ノ島を守って来たということが、世界に例のない普遍的な世界遺産に値すると認められた要因だと思います。国宝8万点が出土したことよりも、それを1500年以上に渡り受け継いできた宗像の人々が評価されたと自負しています。

―司会:

これからの街づくりや環境整備などの取り組みについてお聞かせください。

―伊豆市長:

世界遺産に登録されたことは非常に大切でありがたいことですが、何よりまず、宗像の人たちが世界文化遺産に認定された資産がどのように受け継がれて来たのか、次の世代にどう受け継いでいくのかについて理解を深めてもらいたいです。そこで、子どもたちに理解をしてもらえるよう「世界遺産学習」を実施しています。

―司会:

宗像市の環境問題への取り組みについてお伺いします。宗像市は「宗像国際環境100人会議」を共催されており、2019年8月に第6回目が開催されましたね。

―伊豆市長:

多方面から注目された会議には各分野の専門家や有識者、某有名女優の方、一般市民をはじめ環境保護活動に関わる地元団体、学生、市内外の企業などに出席をいただき、さまざまな世代が産学官民連携で「いかに持続可能な社会を作れるか」について考える場となりました。6回目となる今年は3日間で延べ900名を超えるご参加をいただきました。
豊かな森、里、川の恵みが豊かな海を育む、理想の環境を創ってきた海への感謝を皆さんで共有したいとの願いを込めた同会議のコンセプトは“海の鎮守の森”です。海の環境問題は、もはや海に生きる人々だけの問題ではなく、国際的に取り組まなくてはならない21世紀の大きな課題であり、地球からのSOSだと思います。

―司会:

NTT西日本グループも環境保護を推進されていますね。

―小澤本部長:

環境保護推進や地域社会の発展に取り組む一環で、先日「宗像国際環境100人会議」にも参加させていただきました。2017年12月からは実行委員会にも参加させていただいています。今回、現地でのディスカッションにも感銘を受けました。
弊社では次の世代へ受け継いでいくため、今年の1月に中高生向けの育成プログラムを実施し、弊社の事業内容はもちろん、社会課題の解決に貢献するという企業の考え方も紹介しました。

宗像市の環境問題への取り組み

―司会:

宗像市の環境問題への取り組みについてもお伺いしたいと思います。

―伊豆市長:

近年、世界中で地球温暖化が原因とみられる異常気象や災害、台風も多く発生しています。海水温がすでに4℃上昇しているといわれ、漁業者にとってはまさに死活問題です。温室効果ガスの増大、海産資源の枯渇や自然環境の破壊など、地球環境への影響は地球上に住むすべての人に共通する深刻な問題だと思います。異常気象、エネルギー問題、資源の枯渇などは、私たちの生活や事業活動に起因するところが大きく、だからこそ日々の暮らしの中でいったい何ができるのかということを多くの皆さん方がともに考え、行動していただきたいです。

宗像大社などを構成資産とする「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」がユネスコの世界文化遺産に登録されたのも、ある意味、地球規模の環境問題への対応の一環ではないでしょうか。宗像市は世界遺産のあるまちとして、持続可能な社会の実現に貢献し、「海を守る」使命を帯びたのだと思います。

―小澤本部長:

我々も事業活動を進める中で環境問題を自分のことと捉え、具体的に何をするかが大事です。技術も含め、持てる限りの力を社会課題の解決に役立てたいと思います。

―伊豆市長:

宗像の地に環境会議が定着したのは、古来より宗像に住む人々が自然を崇拝し守り伝えてきた精神が、現代にも活かされているからだと感じます。

一例を紹介しますと、市内すべての小学4年生を対象に開催している「水辺教室」や、宗像の豊かな自然環境を次世代に引き継ぐことを目的とした「世界遺産学習」や「ふるさと学習」を実施しています。「水辺教室」は宗像の命の水である釣川の源流から河口までを見学し、生物、自然、水の大切さを学ぶ体験学習も実施です。

また、市民による環境美化活動「アダプト・プログラム」があります。「アダプト」とは英語で「養子にする」という意味があり、「一定の区間を、我が子を育てるように愛情と責任を持ち清掃をする」というや美化活動です。現在293もの団体が活動されていて、昨年度のごみの回収量は約31トンにも達しました。先日、3000人が参加し「釣川クリーン作戦」が行われましたが、日ごろの美化活動の成果もあり、ゴミがいくら探してもなかったとのことで、集まってくださった方々に申し訳ないくらいでした。

―小澤本部長:

ニュース映像で拝見しておりましたが、ゴミが無いとは素晴らしいですね。
「宗像国際環境100人会議」で海洋プラスチックゴミの問題について改めて考えさせられたと同時に、宗像市がゴミの量を抑える「リデュース」、再利用の「リユース」、再生利用の「リサイクル」の3Rにいち早く取り組まれたことも素晴らしいと思いました。

―伊豆市長:

全国に先駆け資源ゴミの分別収集をスタートした宗像市では、ゴミを21種類に分別しています。結構手間がかかりますが、宗像市民は子どもたちに至るまでそれを当然のことと受けとめ日々実践しています。先ほど小澤本部長が話されたとおり、市を上げて3Rの推進に向けた啓発や、市民・事業者などの自主的な取り組みへの支援を行い、ごみの減量化や資源化に取り組んでいます。

市内にはおよそ260カ所ものゴミの分別所が設けられていて、ゴミの分別と同様にゴミ処理施設の自己稼働として、ダンボールコンポストの活用も進めています。ダンボールの箱の中に器材を入れて、微生物の力で生ごみを分解し堆肥化するので、1基で3〜6カ月、約50キロの生ごみが処理できます。市民団体によるダンボールコンポストを使った生ごみ堆肥化の講座が年間約70回開催されていて、延べ1000人/年近くの市民が参加しています。生ごみ分の重量が減ることで高齢者がゴミを運び出しやすくなり、ゴミ全体の量を減らす「リデュース」につながります。

さらに今年新たな取り組みとして、フードドライブの支援をスタートしました。まだ食べられるのに捨ててしまう、いわゆる「食品ロス」を減らし、家庭で食べきれない食品を福祉施設や食事に困っている人へ、フードバンクを通じて寄付しています。

―小澤本部長:

我々の事業所でも、利用したペットボトルの分別回収はもちろん、お客さまのご自宅にフレッツ光のサービスを導入する際に設置するプラスチック製の「回線終端装置」を、以前は回収時に廃棄していましたが、今は、クリーニング・検査後「リサイクル」という段階を経て、さらに一歩進んで「リユース」に取り組み始めています。

NTT西日本グループの環境経営

―司会:

NTT西日本グループの環境経営の取り組みについても教えてください。

―小澤本部長:

NTT西日本グループは、社会全体の環境への負荷軽減に貢献することを目標に、我々が得意とするICTを利活用し、環境負荷軽減へのソリューションに限らず社会的な課題の解決に向けて取り組みたいと考えています。

―伊豆市長:

企業の皆さまによる環境への配慮は、持続可能な社会の構築に大きく貢献することにつながります。地球がこれだけ悲鳴を上げている今、私たちが地球からのSOSにどう対応していくかは、個人個人の問題であると同時に、企業にとっても共通の課題だと感じます。

―原部長:

NTT西日本グループはこれまで自社の環境負荷の削減に向け、紙とゴミと消費電力を減らす取り組みをしてきました。NTTグループは国内の商用消費電力の1%近くという非常に多くの電力を消費している企業グループです。

そこで、地球温暖化や気候変動に対応するためにも今年、自社の紙ゴミ電気の使用削減目標を大幅に見直し、脱炭素に向けて総排出量の削減目標を立て取り組み始めました。自社の温室効果ガスの排出だけではなくお客さまやサプライチェーン全体でCO2を減らし地球温暖化の抑制に努めます。NTT西日本グループは皆さまにICTサービスをご提供する企業ですが、ICTの技術の中でも特にクラウドサービスやリモートで仕事を進めるサービスを通して、CO2排出の削減に貢献できます。社会全体のCO2排出を下げる効果が期待できるICTサービスの提供を使命と考えます。

―伊豆市長:

企業が具体的な数値目標を掲げて環境保全や環境負荷低減に取り組まれているのは心強いです。

持続可能な社会の実現と地域の社会課題解決への取り組み

―小澤本部長:

我々NTT西日本グループは「ソーシャルICTパイオニア」をキャッチフレーズに、ICTを利活用することで、さまざまな地域が抱える千差万別な課題の解決に貢献できる企業です。地域に密着をして事業活動をさせていただいていますので、社員はもちろん企業としても地域社会の一員として環境問題についても真摯に取り組む考えです。今日はバッジもつけていますが、国連の開発目標のSDGsの考え方にも賛同しています。

―伊豆市長:

ただ行政が施策に取り組むだけでは、まちの生き残りは困難です。昨年の豪雨災害の脅威を受け、災害対策についても「市民の生命と財産を守る」ことが行政の第一義ですが、皆の力を合わせて「誰かが助ける」のではなく「皆でできることを実践していく」ことが一番大切だと思います。

―小澤本部長:

昨年、今年と、立て続けに自然災害による甚大な被害が多発しています。我々インフラ事業者として、いざ災害が起きてお客さまが被災されたら、復旧活動に全力を上げ取り組むことが企業の使命ですが、ICTの利活用という面からいうと、防災減災に活かせるソリューションなど、それぞれの地域に適したソリューションを議論しご提案をさせていただくことも可能です。


―原部長:

地域の防災無線でメディアも同時に発信できる伝達ソリューションや、防災無線の代わりに気象情報を幅広く発信するソリューションなどを展開しております。

―伊豆市長:

最近、気象情報の正確度が上がっていますよね。私も朝、起床後、家を出る前に必ず気象情報を確認します。日本は昔から、アジアモンスーンといわれる台風や災害の多い国ですから、そういった情報が的確に伝わるのはありがたいことです。

企業連携でのまちづくり

―司会:

最後に、伊豆市長にお聞きしたいと思います。
企業と連携して街づくりにも取り組んでいらっしゃるそうですが、具体的に教えてください。

―伊豆市長:

湖池屋様と共同で、「ジャパンプライドポテト宗像」という、宗像産の醤油とアナゴを使ったポテトチップスを開発しました。パッケージに記されたQRコードにアクセスすると、世界文化遺産に登録された宗像の魅力がご覧いただけます。また、このポテトチップスがひとつ売れるごとに1円が海の環境保全活動に使われる仕組みです。おかげさまで、売り上げ数は100万袋に達しました。

ほかには、宗像には離島が多く、鳥獣害対策には非常に苦慮していますので、ICTを利活用した鳥獣被害対策にも今後ぜひ連携をさせていただきたいです。

まとめ

―司会:

たくさんの素晴らしい取り組みについてご紹介をいただきありがとうございます。
最後に、本日の対談のご感想をお一方ずついただきたいと思います。

―小澤本部長:

先日の「宗像国際環境100人会議」で、市長が世界文化遺産登録に認定された理由として、漁業者を中心とした地元の人が海に対する畏敬の念を持ち、自然豊かな神域を黙々と守り続けてきた、その姿勢の素晴らしさだと話されていたのを思い返しました。企業における環境問題への取り組みでも、心の在り方が一番大切だと思いますので、事業活動を続ける中で少しでもそのマインドに近づき、持続的に進めていきたいです。

―原部長:

宗像市には豊かな自然、海産資源があり、それを市民の皆さんと企業がともに守られていると伺い、我々NTT西日本グループも一企業として地域に貢献できるようこれからも頑張っていきたいと思いました。

―伊豆市長:

「宗像国際環境100人会議」にもご参加を頂き、本当にありがたいです。
森は海の恋人なので、私たちは森・里・川・海すべてに配慮する必要があります。かけがえのない地球を守るため、ICTなどさまざまな力をお借りして、昨今悲鳴を上げているように見受けられる地球のために、今こそ世界中の人がそれぞれの立場で何ができるかを真剣に考えるべきです。

―司会:

本日は皆さま、貴重なお話をありがとうございました。


【対談会ご出席者プロフィール】

宗像市長 伊豆 美沙子
平成23年 福岡県議会議員初当選
平成27年 福岡県議会議員2期目当選 文教常任委員長
平成30年 宗像市長就任
小澤 正憲
西日本電信電話株式会社 九州事業本部長
原 美永子
西日本電信電話株式会社 技術革新部 環境経営推進室 担当部長

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