「Well-being(幸せ)」の最⼤化 人材戦略
人材戦略
- 基本的な考え方
- 著しい環境変化に柔軟に対応するためには、事業を支える根幹である「人」の力を最大化し、“全社員総活躍”で取り組むことが必要不可欠との考えのもと、経営戦略に連動した人材戦略を策定しました。多様な人材が高い専門性や能力を発揮し、新しい価値・イノベーションの創出にチャレンジできる環境を作ることを目的としたさまざまな取組みをグループ全体に展開していきます。
経営戦略と人的資本
生産年齢人口の減少に伴う収益力や生産性の低迷、情報リテラシー格差など、世の中ではさまざまな問題が深刻化しており、行政、民間どちらにおいても、デジタル技術を活用して対応を進めています。このように世の中のニーズが「ITツールの導入」から「ITを活用し社会課題や経営課題を解決」と、高度化・複雑化する中でNTT西日本グループが今後も持続的に成長していくためには、高度化・複雑化するニーズに迅速かつ柔軟に応え、ITの専門家として時代の一歩先を行く企業グループであり続ける必要があります。人口減少に伴いグループ従業員数が今後減少していくことが想定されるため、業務の抜本的なDX、シンプル化による徹底的な省力化をはじめとする働き方の改善と並行して、一人ひとりのスキル向上にも注力していきます。
専門性を高める人事制度
NTT西日本グループは2023年度より一般社員の人事給与制度を変更し、年次・年齢ではなく専門力の発揮によって昇給・昇格する制度へ見直しを行いました。
NTT西日本では15の専門分野を設定し、それぞれに一般社員グレード基準を設けるとともに、その先にはマネージャーとして高い付加価値を発揮するマネジメントキャリアと、さらに高度な専門性を発揮するスペシャリストキャリアを複線で設定することで、社員が自らキャリアを選択できる環境を提供しています。マネジメントキャリアでは、2021年10月より全管理職にジョブ型人事制度を導入し、ポストごとの職務に応じて配置された管理職の処遇が決定するしくみを設けています。一方、スペシャリストキャリアでは、社内外に通用する高度な専門性を発揮し事業貢献する社員をより高く処遇するスペシャリストグレードを創設し、管理職と同等の処遇を受けられるしくみを設けています。双方のキャリア間の移行も可能となっており、より幅広いキャリア形成を支援しています。
また、NTT西日本では、「専門性を高めてプロフェッショナルを目指す」というキーメッセージを社員に向けて発信しており、今回の制度見直しは、社員が自らキャリアを開発していくことを支援するという思いから始まりました。今後も、社員を継続的にサポートできる制度改革を進めていきます。
自律的なキャリア開発支援
NTT西日本グループは、社員一人ひとりがプロフェッショナル人材へと成長していけるよう、“「個」の自立”に向けた能力開発を推進しています。社員が自らキャリアを描き、主体的に学び続けられるよう、学習環境や支援制度等の環境を整備しています。また、通常業務の評価に加え、挑戦に関する目標設定に対する評価制度も導入し、社員の意欲と成長を後押ししています。
人材開発ビジョン
自律的キャリア開発の4本柱
NTT西日本グループでは、「知る」「相談する」「学ぶ」「挑戦する」の4つを柱とした自律的キャリア開発支援を展開しています。
「知る」:経営層からのメッセージやセミナー、イベント活用により、自律的キャリア形成に向けたモチベーション向上を図っています。また、制度や研修情報を一元的に掲載した「キャリアデザインポータルサイト」を提供し、社員が必要な情報にすぐにアクセスできる環境を整えています。
「相談する」:キャリア相談窓口を設置し、社員が気軽に相談できる体制を構築しています。相談員は全員がキャリアコンサルタント有資格者であり、社内ダブルワークを活用した社内相談員は、半年ごとにメンバーの入れ替えをしています。これにより、社外相談員も含めた多様な選択肢から相談相手を選べる点が特徴です。これまでの相談件数は2,000件を超え、その満足度は94%を達成しています。
「学ぶ」:自学習と集合研修によって学びを深め、社員の「こうなりたい」「チャレンジしたい」という思いを支える制度を用意しています。各事業分野に適応した研修やeラーニング、通信教育等に加えて、2024年度からはオンデマンド型学習(Udemy Business)を導入しました。
「挑戦する」:手上げ人事や社内ダブルワーク等、自律的な実践機会を用意しています。また、挑戦することを評価する制度の整備や、承認、賞賛、奨励等を目的としたE-1グランプリの開催も行っています。
こうした自律的キャリア開発支援の取組みが評価され、当社グループは「グッドキャリア企業アワード2024」大賞(厚生労働大臣表彰)を受賞しました。
社員が自らの可能性を広げる「挑戦する」取組みの一環として、NTT西日本グループでは越境活動(自部署以外での自発的な挑戦)の推進に注力しています。2024年度には、越境活動に取り組む社員と、その活動を支援した上司を表彰する「E-1グランプリ」を初開催しました。社員からは51名、エピソードは60件にのぼる応募があり、社内外での挑戦を称える場となりました。
この表彰制度は、「越境している人たちを認め、ほめることで、『こんなことをやっていいんだよ』というメッセージを広めたい」という思いから始まりました。また、表彰対象に上司を含めたのは、部下の兼業・副業申請に対して「応援したい気持ちはあるが、本業への影響が心配」という葛藤を抱えるケースが多いことを踏まえたものです。社内からは「施策を行っても浸透させるのが難しい」という声もありますが、E-1グランプリはその浸透を後押しする取組みとなりました。
グループ全社員のスキル伸長と高度スキル人材の育成
お客さまや世の中からのニーズの高度化・複雑化、社内外の環境変化を踏まえて、今後強化すべき7つの重点領域を設定しています。重点領域は「コンサルティング」「プロジェクトマネジメント」「クラウド」「AI・データ」「セキュリティ」「システム開発」「将来ネットワーク」の7つです。
近年、世の中ではビジネスモデルや業務プロセスを抜本的に変革することが強く求められており、クラウド移行やAI・データ活用の急速な加速に伴い、セキュリティ対策の重要性も一層高まっています。こうしたニーズに迅速かつ柔軟にお応えするには、お客さまの本質的な課題を見極め、最適なサービス・ソリューションを提案・実現するコンサルティング力やプロジェクトマネジメント力が不可欠です。また、NTT西日本グループの事業の屋台骨であるネットワークサービスも、セキュア化、マネージド化等を通じた高度化が求められています。
生産性向上のためにビジネスモデルや業務プロセスを抜本的に変革する必要があるのはNTT西日本グループも同じです。全社員がAI等のデジタルツールを使いこなすとともに、デジタル技術の活用を前提とした業務プロセスやシステムの再構築を進めています。
さらに、各領域で高度スキルを発揮し、「新たなビジネスを開拓する人材」、それぞれの専門分野で重点領域も含めたスキルを高め、幅を広げることで「開拓されたビジネスの拡大、ならびに業務プロセス変革を推進する人材」を育成するため、重点領域ごとに必要なスキルを定め、計画的かつ持続的に育成するしくみを整備しています。「新たなビジネスを開拓する人材」は高度スキル人材として、「トップガン」「牽引者」の2つのレベルを定義し、2025年度より高度スキル人材の認定募集を開始しています。また、「開拓されたビジネスの拡大、ならびに業務プロセス変革を推進する人材」は新たに「推進者」と定義しています。
7つの重点領域について
データ・AI活用スキルの醸成
IoTやAIなど最先端のデジタルデータや技術を駆使し、社会や企業に新たな価値を提供することができるデジタル人材育成に注力しており、独自のデジタル人材認定を実施しています。デジタル人材A認定の継続的な推進をするとともに、より高度な技術を有してデータ活用で成果を創出するデジタル人材の拡大に注力し、データ活用スキルの向上に資する講座の推奨やこれまで実践したデータ活用事例を社内で水平展開する等、さらなるデジタル人材の育成を進めていきます。
また、業務の抜本的なDX、シンプル化に加え、全社員の生成AI活用スキルを醸成することにより、徹底的な省力化を図っています。2025年度には、AIのリスクや社内ルールを理解したうえで生成AIを業務で活用できるスキルの醸成を目指し、グループ全社員約5.2万人に向けてe-ラーニングコンテンツを提供する予定です。
| 視える化指標 | 対象範囲 | 2024年度目標 | 2024年度実績 | 2025年度目標 |
|---|---|---|---|---|
| デジタル人材※1 | NTT西日本グループ | SA認定※2: 240認定 A認定※3: 5,500認定 |
SA認定: 245認定 A認定: 9,673認定 |
SA認定: 400認定 A認定: 8,000認定 |
- ※1 2025年度までの累計での目標設定としています。
- ※2 SA認定…データサイエンティスト協会のスキルレベル定義におけるAssociate Data Scientistレベル(累計)
- ※3 A認定…データサイエンティスト協会のスキルレベル定義におけるAssistant Data Scientistレベル(累計)
人材成長を加速する環境整備
NTT西日本グループでは、社員のスキル向上を支援するため、さまざまな制度やプログラムを整備し、社員の成長につながる環境づくりを進めています。特に、自律的キャリア開発支援の柱の1つである「挑戦する」機会の創出として、社員が自ら手を挙げて人事異動を実現できる公募人事制度を導入しており、「アプライ型人事」、「エンパワーメントポスト」、 「NTT Group Job Board」の3種類を設けています。
「アプライ型人事」は、設定されたポストへの異動を希望する社員を募集し、応募した社員とポスト側のマッチングが成立することで、異動が実現する仕組みです。さらに、異動とともにキャリアアップにもチャレンジできるしくみとして「エンパワーメントポスト」についても提供しています。また、「NTT Group Job Board」はNTTグループ全体での異動も可能とする制度で、幅広い範囲でのキャリア実現が可能となります。
このほか、以下のような制度・プログラムも整備しています。
人材成長支援に関する制度・プログラム
| 社内ダブルワーク |
現在の業務を継続しつつ、NTT西日本グループ内の新たなフィールドで経験を積み、一人ひとりのインプット向上や、視野拡大・人脈形成など付加価値につながる自己成長を促進しています。募集ポスト数は毎年増加しており、リモートワークが基本のため、エリアを問わずさまざまなポストに参加可能です。2つのスキームを設け、多数の社員が活用しています。
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|---|---|
| 海外派遣 |
経営者や経営をサポートするプロフェッショナルを育成する海外大学院(MBAなど)への派遣や、海外のNTTグループ企業へ一定期間赴任しグローバルビジネスを経験することで、幅広い視野や実践的なスキル・経験を習得する海外トレーニー派遣を行っています。 |
| 他企業出向 |
市場に通用する専門性、多様な能力・資質等の醸成と社外との人脈形成を図るためにNTT西日本グループ外企業へ出向するプログラムを実施しています。 |
| 社外副業 |
人脈形成やイノベーション創出を目的に、社外の業務経験を通じた幅広い「まなび」の環境として副業制度を推進しています。 |