サステナビリティビジネス

大阪・関西万博では、NTTグループとしてパビリオンを出展しました。過去の万博では、電話・映像・ワイヤレス通信といった歴史的な体験を提供してきましたが、今回は次世代情報通信基盤IOWNがそれにあたります。特に、IOWNを構成する主要技術分野の1つであるAPN技術は、高速・低遅延、省エネルギーを実現する未来の通信技術です。パビリオンを通じて、映像や音声だけではなく、離れた空間そのものや、離れた場所にいる人・ものの感覚を共有する体験を提供しました。

NTTパビリオンのメイン体験として、スペシャルパフォーマーにPerfumeを迎え、2025年4月に夢洲と万博記念公園をIOWNでつないで行われたライブパフォーマンスを完全再現しました。動的3D空間伝送再現技術、触覚振動音場提示技術等、さまざまなテクノロジーを駆使することで、時空の隔たりを超えて「私たち」がひとつになる、未来のコミュニケーション体験を提供することができました。

空間伝送技術を用いた体験

空間伝送において実装される技術

NTTパビリオン「Parallel Travel」

また、「ふれあう伝話」と題し、映像と音声に加えて、触覚・振動も体感できるコミュニケーションツールを万博会場に設置しました。これにより、会場外にいる方々にもIOWNの魅力を体験していただける機会を提供し、会場への来場促進にもつながる取組みとなりました。

「ふれあう伝話」

NTTグループとしては、5月24日、25日を「NTTパビリオンデー」にて、「超歌舞伎 〈CHO-KABUKI〉Powered by IOWN 『今昔饗宴千本桜 Expo2025 ver.』」を上演しました。当日は、IOWN APNを活用し、日本と台湾を結ぶ世界初となる国際間接続を成功させることができました。最先端のICTと日本の伝統芸能を融合させることで、新たな価値の創出を実現しました。

「超歌舞伎 〈CHO-KABUKI〉Powered by IOWN 『今昔饗宴千本桜 Expo2025 ver.』」

このほか、IOWNと「FEEL TECH」を組み合わせた「未来型ライブビューイング」を開催しました。FEEL TECHは、相手の感じ方に合わせて感覚を変換し共有する新たな技術であり、新しいコミュニケーションのかたちとして注目されています。イベント当日は、神戸アリーナと万博会場をIOWNで接続し、映像・音声・触覚をリアルタイムで共有する新たな観戦体験を実現しました。

未来型ライブビューイング

IOWNを活用した技術実装は、NTTグループの協賛提供だけでなく、各事業者の皆さまとの実証の場としても実施しました。

開幕初日のオープニングイベントとして開催された「1万人の第九 EXPO2025」では、IOWNの技術を活用し、オーケストラの音声を遅延なく１万人に届ける施策を実施しました。万博会場が一体になった合唱をサポートするだけでなく、株式会社毎日放送による映像中継も支援しました。

「1万人の第九 EXPO2025」

また、放送業界のDX推進として、大容量・低遅延を特長とするIOWN APNを活用した取組みを行いました。複数の放送局が共同で利用可能なリモートプロダクション^※設備を提供し、在阪の放送局（日本放送協会、朝日放送テレビ株式会社、関西テレビ放送株式会社、讀賣テレビ放送株式会）と連携して実証実験を実施しました。併せて、IOWN APNを活用したリモートプロダクションの普及・拡大にも取り組んでいます。

リモートプロダクション

NTT西日本グループは、IOWNを万博会場全体にメッシュ状に張り巡らせた「IOWN APNキャンパスネットワーク」の構築・保守を受託し、実施しました。このネットワークは、万博の開催期間中に毎日実施された主催者公式企画催事「One World, One Planet」を支える通信インフラとして機能し、会場内のあらゆる場所で同一の映像を安定して配信しました。

主催者催事「One World, One Planet」

NTT西日本グループは、大阪・関西万博を通じて得られたさまざまな実証データをもとに、最先端技術とその連携力等をこれからの社会インフラへと展開していきます。