公立大学法人広島市立大学さまの事例概要
NTT西日本が提供するLAトライアルの概要
学修データやAIを活用し、
学生・教員・講義・教材の特性や変化を捉え、
個別最適な学修指導、個人の主体的な学修、教員の負担軽減等、教育DXに貢献します。
データ分析に基づく個別最適化アプローチで主体的な学びを実現
広島市立大学さまは、2004年からLMS(Learning Management System)を導入。
さらに2020年12月には新型コロナウイルス感染症拡大を契機として、大学全体のデジタル化を推進すべく基本方針を策定。
LMSとラーニングアナリティクス(以下LA)による教育データの収集・分析に基づく授業の改善と個々の学生に合わせた学修支援を行うことを定めました。
このような流れをさらに加速するため、九州大学、NTTスマートデータサイエンスセンタ※、NTT西日本が連携して取り組む大学教育のDX支援に参画。
全国展開に先駆けたLA教育の実証フィールドとして、NTT EDXの電子教科書配信サービスを活用した共同トライアルを開始しました。
これにより、学修者本位の主体的な学びを実践していきます。
- ※NTTの研究所組織の1つであり、実問題を起点にしたデータからの価値創出に向けて、実践的データ分析・AI技術の研究開発に取り組んでいます。
- https://www.rd.ntt/sds/
LAを活用することで
学生自身が自分のやるべきことを明確化できる
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弘中さま
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元々はSociety5.0(仮想空間と現実空間が高度に融合した社会の実現)という国の提唱を受け、大学教育全体のDX推進という方針が決まっていたのですが、コロナ禍で一気に転換を図ることになりました。
そこにNTT西日本から、LAで先行する九州大学の研究成果やNTT EDXの電子教科書、NTTスマートデータサイエンスセンタのAI分析技術などを活用した共同トライアルの打診があり、まさに本学が推進したい内容と合致していたため、一緒に取り組むことを決めました。
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市原さま
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学修データを収集・分析して教育にフィードバックするというサイクルをベースとして、ミクロなレベルではNTT西日本グループで提供する電子教科書等のデータから個々の授業での学修効果の向上を図っていきます。
さらにマクロのレベルでは分析結果を教育カリキュラムにフィードバックすることで、学生の主体的な学びと将来の目標の実現につながるようなLA活用をめざしています。
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弘中さま
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学生が主体的に学ぶためには、まず自分の勉強がどういう状況にあるのかを把握することが第一歩です。
また、こういう夢を叶えたければ、こういう勉強をしなければならないというモデルケースを示す必要があります。
そうすれば、自分がやるべきことに気づくと共に、あとどれくらい取り組めばいいのかも見えてきます。
そこにLAやデジタル化の手法を使って、学生自身のやるべきことが明確になるようなデータを提供したいと考えていました。
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広島市立大学
教育DX WGリーダー 情報科学部 教授
弘中 哲夫さま -
広島市立大学
教育DX WGメンバー 情報科学部 教授
市原 英行さま -
広島市立大学
教育DX WGメンバー 芸術学部 准教授
内堀 豪さま
教材の電子化から電子教科書へ
学修データ収集・分析の流れを作る
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弘中さま
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例えば、本トライアルを通じたLAの活用により、
電子教科書を読むときには、前のページに戻って正しい知識を確かめる人ほど成績が良いなど、講義外の予習復習も含めた成績向上につながる学修行動の特徴が浮かび上がってきました。
現在はデータを蓄積している段階ですが、今後は蓄積したデータを積極的に活用して、DXによる教育の改善を進めていきます。
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内堀さま
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私の担当する芸術学部では、デジタルなツールを用いた表現が急速に発展している一方で、
デッサンや造形などの教育のメインはアナログな手法です。その中でどうやってデジタル化の導入を考えていくのかが課題としてあります。
芸術を教える現場では、圧倒的に教科書的なものが少ないのですが、紙で配る資料などはあります。
それらをまずはPDF化してみて、そこからさらに電子教科書の導入へという流れを考えています。
コロナ禍の初期の段階で、オンライン授業に取り組んでいた教員は、その時の映像資料がありますので、それを電子資料として活用することから取り組みを始めているところです。
将来的には卒業後のデータと連携させて
キャリア支援にもつなげたい
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弘中さま
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近年、大学教員に求められるタスクが増えてきていると感じます。
そんな中で、データを収集して特徴を捉える部分をLAやAIに代替することで省力化し、個々の学生と向き合う時間を増やしていくことをめざしています。
また、データの分析結果を踏まえて学生と話せば、同じ時間でも深いコミュニケーションや的を射た支援が可能になります。
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市原さま
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これはキャリア教育とも密接に結びついているのですが、学生に対してどのような将来像があるのかを提示するために、卒業生の追跡調査を行っています。
卒業生の現在のキャリアと在学中の成績、科目の選択内容などとの関連性が明らかになれば、将来の目標を実現するためにはどのような学びが必要なのかを学生に提示することができます。
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弘中さま
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現在、大学内に分散している個別のデータを集めて、その中から何と何を組み合わせたらどういう結果になるのかという特徴の抽出を進めています。
例えば、外交官になった卒業生の学生時代の行動として「語学センターに相談した」「留学した」「外国人を対象としたボランティアを行った」などのデータから、留学することで外交官になる確率がどの程度向上するのかを分析するといったようなことです。
今後は、ミクロレベルでの個々の学生の学修行動データを蓄積しつつ、卒業後の進路などのデータとの相関関係を分析して、必要な学修行動を学生にフィードバックするなど、学生のキャリア支援につながるようなLA活動に発展させていきたいと考えています。
- ※今回のLAトライアルに連携して取り組む、広島市立大学の先生方とNTT西日本のプロジェクトメンバー
お客さま情報
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1994年、国際平和文化都市・広島市にふさわしい高等教育研究機関を創設すべく、国際学部、情報科学部、芸術学部の3学部構成で開学。
世界平和を希求する同市の意志と、公立大学としての地域貢献への期待を込め、「科学と芸術を軸に世界平和と地域に貢献する国際的な大学」を建学の基本理念に掲げています。
1998年には、核兵器の廃絶と世界恒久平和の実現を目的とした広島平和研究所を開設。
国際性、創造性と高い倫理観を持つ人材を育成し、市民の誇りとなる大学をめざしています。
- ※サービス導入効果は、ご利用者さまの声に基づくものであり、お客さまのご利用状況により、効果は異なります。
- ※本パンフレットの内容は、2023年2月時点のものです。