コリジョン

コリジョン（Collision）は、衝突や激突といった意味の英単語です。イーサネットや無線LANの同一伝送路を共有する複数の端末が、同時に信号を発信した際にデータが衝突することを表します。コリジョンが発生するとデータの送信が正しくできず、実効伝送速度の低下などの現象が起こります。
初期のイーサネット規格である10BASE5/10BASE2は、1組の通信路で双方向の通信を行なう半二重通信です。半二重通信は送信と受信を同時にできないため、送信と受信をその都度切り替える必要があります。というのは、複数の端末がお互いにデータを送信することで、コリジョンが発生するからです。

コリジョンを回避する方法として、CSMA/CD（Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection）が開発されました。CSMA/CDは伝送路の状況を監視し、ほかの端末の通信を検知した際、全端末で送信を待機することでコリジョンの回避が可能です。

ただし、10BASE-T、100BASE-TXに移り変わった現在は、複数の端末で同時送受信ができる「全二重通信」が用いられています。全二重通信は行き先を振り分けるレイヤ2スイッチで信号を伝送するため、基本的にコリジョンは発生しません。

無線LANでコリジョンを回避する際、CSMA/CA（Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance）を使用します。ただし、CSMA/CAは電波が届かない障害物でコリジョンが発生するため、データの送信を許可する通信制御方法のCSMA/CA with RTS/CTSでコリジョンを回避します。