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no.04

本物の価値を築く

網田 龍生氏の画像

※この対談は2020年3月27日時点のものです

特別対談今回のお相手

熊本城の復興プロジェクトに尽力

網田 龍生(あみた・たつお)

熊本城総合事務所 所長(現在は、熊本城調査研究センター所長)。震災からの復興プロジェクトのリーダーとして、復興する熊本城のあるべき姿を模索。2037年度の完全復興に向けて全国の支援者とともに歩んでいる。

人と地域の思いを、未来へとつないでいく特別対談。 「思いをつなぐ」ナビゲーターの太田雄貴さんが、震災復興をめざす熊本城を訪問。復興プロジェクトのリーダー、網田龍生さんと「本物の価値を築く」ことについて語り合いました。
(以下、敬称を略させていただきます)

急がない、「本物」をつくることが未来の価値になる。

太田 震災からわずか4年でここまで修復されたのはすごいですね。完成はいつごろになりそうですか。

網田2037年度を予定しています。

太田なんと、私の予想以上に時間がかかる印象です!

網田スピードを急ぐよりも、熊本城は熊本の人たちにとってかけがえのない存在であり、文化財ですから、丁寧に、ひとつずつ「本物」の熊本城を復興していきます。熊本城における「本物」とは、今の時代の損得だけを考えることではないと思っています。100年、200年先に受け継がれていく価値を築いていくことこそが、私たちの使命です。

太田なるほど、未来を見据えた「本物」の価値ですね。私は最新のテクノロジーをフェンシングの試合会場に導入して、競技をわかりやすく、たのしくする活動をおこなっています。実は、これは、網田さんと同様に「本物」を一人でも多くの方に体験していただきたいという思いから始めました。フェンシングを身近にし、実際に会場に足を運んで「本物」に触れてもらうことこそが、試合の迫力や、感動を伝えるいちばんの方法だと考えたのです。これはフェンシングの価値を高める活動でもあると思っています。

網田仰るように「本物」は何事にもかえがたい価値になりますね。

インタビューイメージ

情報を発信し、共有する。
地域の心をひとつにして前へ進む。

太田歴史をつなぐ活動をされている網田さんですが、この先へ、つないでいきたい思いをお聞かせいただけますか。

網田私は「熊本の人にとって言葉にできないほど強いシンボルである熊本城を、未来の人の心へつなぎたい」と思っています。熊本城は築城から400年以上、何度も被災しました。そのたびに、その時の人々が全力を尽くして、城を復興してきた歴史があります。そこには、自分たちの大切な城を「この先の人へとつないでいく」という思いがありました。今回の復興事業も、我々はその歴史の一部を担っているのだと思います。

太田熊本城には、何度も被災を乗り越え、先人たちがつないでくれた歴史があるのですね。私は「つなぐ」というのは、むずかしいことだと実感しています。フェンシング協会の運営を次につなぐこともそうですし、現役のときもチームをひとつにまとめ、心をつなぐのは大変でした。
網田さんが、熊本城を未来に「つなぐ」ために、特に力を入れられていることはありますか。

網田地震がおきてから頑張っているのは、情報発信です。見つけたこと、考えたこと、おこなったこと、すべてを伝え、理解していただいて、共通認識をつくる。みんなの思いをひとつにすることが、熊本城を未来に「つなぐ」ために、大切なことだと思っています。

対談イメージ

100年、200年先に受け継がれていく
本物の価値を築いていきましょう。