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第8回 熊本地震 通信網復旧への軌跡

余震の合間を縫って復旧に挑む

道なき道を行く、余震や雨の中での復旧作業

「高森立野-南阿蘇 断」「高森立野-赤水 断」・・・4月16日の本震発生以降、九州事業本部災害対策本部にはケーブルの異常を示すアラームが鳴り続けた。想像を超える被害の中、警報区間と方向を熊本支店災害対策本部に伝え、光パルス試験器で具体的な断線位置を特定する必要があった。

17日、断線した光ケーブルの新たな敷設ルートを調査するため、本社や九州事業本部災害対策本部からの指示を受けながら阿蘇エリアを進むも、想定外の土砂崩れや川の氾濫が行く手を阻み、復旧可能なルートを探る作業は困難を極めた。

中でも最大の難関だったのが、高森立野-南阿蘇区間の復旧だった。村道栃の木から立野線の長陽大橋ルートや白川越えのルートに仮の光ケーブルを敷設できないか数日間調査を行ったが、道路は激しい地震で寸断され、がけ崩れもあり、白川の深い谷を越えることは応急復旧レベルでは困難な状況であった。最も実現可能な復旧案であった地上60mの第一白川橋梁や約1kmのトンネルなどの南阿蘇鉄道の線路に光ケーブルを敷設することを決定、本社や九州対策本部に現地の映像を送り込み、作業の安全確保方法などついて電話会議を重ね、余震の合間を縫うようにタイミングを計って25日にこれを決行した。小雨が降る中、ケーブルドラムなどを97cm幅のトロッコに乗せ橋梁やトンネルを歩いて作業する、まさに命がけルートだった。

もう1つの難関が阿蘇大橋の崩落とともに断線したケーブル復旧を目的とした、熊本大津-赤水区間の新設工事だ。阿蘇大橋に通る光ケーブルは重要ルートのうちの1本であり、いち早い復旧が望まれた。迂回ルートは約13km、土砂崩れ地点を避けながら何時間もかけて山道を歩き、ケーブルを地面に這わせ、時には木に登って縛り付け、無事に復旧作業は終了した。

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地上60mの線路に光ケーブルを敷設
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阿蘇大橋の崩落によるケーブル断線の様子。
審査24-S75