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NTT西日本グループ環境報告書2006「廃棄物の削減と適正処理」

廃棄物に係わる対策は、廃棄量の削減とその適正処理が重要な2本の柱となります。廃棄量削減については、事業分野毎に廃棄物発生の要因は異なり、建築工事(建物の改廃)、土木工事(市中伝送路の建設、改廃)、撤去した電気通信設備(電柱・交換機・ケーブル等)、オフィス内からの産業廃棄物の4つに大別して、2010年に向けた削減目標を設定し、実行管理をしています。一方、廃棄物の適正処理については、遵法性を最優先して、厳格に取り組んでいます。なお、2005年度の産業廃棄物の総廃棄量は0.9万tで、2004年度より約50%削減できました。

撤去通信設備の適正処理と削減

撤去された通信設備は、単に廃棄するのではなく、Reduce(発生抑制)、Reuse(再使用)、Recycle(再生使用)の3Rに努め、最終廃棄量の更なる削減に向けて取組んでおります。

■2005年度の実施結果

撤去通信設備の最終廃棄量の推移 2005年度、排出された電気通信設備は12.38万tにのぼりますが、このうち、有価物として約1.45万tを売却し、残りの10.93万tを廃棄物として委託処分しています。撤去された通信設備の約8割を占めるコンクリート電柱のリサイクルを始め、2005年度は端末機器等のプラスチック類に対するリサイクルをさらに推進し、リサイクル率が90%から94.5%と飛躍的に向上しました。

これらの取組みにより、12.35万tのリサイクルを実施し、最終廃棄量は0.03万tとなり、2005年度の目標値0.07万t及び2010年度の目標値0.5万tをクリアすることができました。

2006年度についても廃プラスチック類等のさらなるリサイクルの推進を行い、0.03万tを目標値として設定し、廃棄量のさらなる削減を目指します。

■特別管理産業廃棄物

撤去通信設備から出る特別管理産業廃棄物として交換機等の非常電源用バッテリー等がありますが、支店毎に特別管理産業廃棄物管理責任者を配置し、法律に基づいた適正な処理を行っています。なお、2005年度の排出量は、2,669tとなりましたが、鉛極板及びプラスチック筐体部分のリサイクルを実施することにより、最終廃棄量は45tとなりました。

■撤去通信設備廃棄物の適正処理

電気通信設備サービスを提供するために通信ケーブルや交換機など様々な通信設備や機器を使用しており、新サービス導入に伴う設備更改等により、既設設備の撤去が発生します。

撤去された設備で再利用可能な設備は再利用し、再利用が不可能な設備については、処理実績、処理能力、処理費用の妥当性などを厳格に審査したうえで、対象廃棄物の処理資格を有する会社を選定し、処理委託を行います。

その際、処理会社に対して、日本国内での解体及びその処理状況に関する報告義務を課すとともに、こうした一連の処理が適正に実施されているかの確認を処理会社への現場調査を随時に行うことにより、適正処理の推進を図っています。

図1 電気通信設備の撤去から処理までの概要
図2 電話機等端末機器の処理フロー
図3 撤去通信設備の総排出量・廃棄物の最終廃棄量推移

■適正処理状況の電子管理

廃棄物処理法で排出事業者による発行が義務付けられている産業廃棄物管理票(マニフェスト伝票)を電子化した電子マニフェストシステムを2001年度から西日本エリア全域で導入しました。

これにより、廃棄物の排出から最終処分までの管理の徹底及び処理結果のデータ集計が効率的に実施できるようになりました。

*電子マニフェストシステム:
これまでの紙媒体のマニフェスト情報を電子化し、Web上でデータ流通を行うシステムのことで、厚生労働省が指定した日本産業廃棄物処理振興センターにより運営されています。 主な特徴としては、記載漏れの防止を初め、紙マニフェストのような5年間の保存・管理が不要となること、情報処理センターで一元管理するためマニフェスト管理が容易かつ厳密に行えるなどのメリットがあります。

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土木工事の廃棄物及び発生土の削減

土木工事における産業廃棄物(コンクリート、アスファルト汚泥等)及び発生土の排出量を抑制するため、従来の道路掘削工法に替わる管路推進工法(非開削工法(図1))を実用化し、 2001年度以降、更に改良を重ね様々な地盤への適用拡大を図ってきました。

また、当社が保有する延長約33万Kmの地下管路設備の経年劣化に伴う設備の更改工事の抑制を目的として2001年度に管路再生技術TMライニング工法(図2)を開発、導入し設備の有効利活用を積極的に推進してまいりました。

図1 非開削工法(推進イメージ図) 図2 TMライニング工法(イメージ図)

特に土木工事の産業廃棄物のうち、コンクリートやアスファルトなどの特定建設資材については、2002年5月30日に「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)」が施行され、一定規模以上の工事について、工事現場での分別解体の実施と再資源化が義務付けられたことから、当社でも法に基づき工事委託会社との間で工事請負契約書の改定を行い再資源化の義務付け、リサイクルの徹底を図ったことが数年における再資源化率の向上に寄与したと考えます。 2005年度においては、施工条件や施工環境により、やむを得ず既存の工法及び設備更改工事で発生する廃棄物等についても、中間処理会社への委託等を通して再資源化を進めてまいりました。

また2004年から実体に近い廃棄量を把握する目的で、中間処理業者の再資源化率を把握し、最終処分量等に反映を行っておりますが、2005年度の中間処理業者の再資源化率が、3%程度向上した結果、2004年度の全体の再資源化率98%が2005年度では99.6%となりました。(図3)

また2005年度における最終処分量についても、中間処理業者の再資源化率の把握による実態に即した最終処分量を把握したことにより、0.02万tとなりました。2006年度についても、再資源化技術の活用、基本的廃棄物処理の流れ(図4)に基づく中間処理施設の活用を推進し、目標を0.02万tに設定し維持・削減に取り組んでいきます。

土木工事廃棄物廃棄量及び再資源化率の推移 土木工事産業廃棄物処理フロー

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建築工事廃棄物の削減と発生土のリサイクル

建築工事廃棄物・発生土は、建設副産物の中で、「建設廃棄物」と「建設発生土など」に分類されます。当社は、建築元請業者への廃棄物処分計画書の作成を義務付け、建築工事で発生するコンクリート塊などの再生資源の利用促進、廃棄物発生の抑制等を推進しています。

特に、建築工事における取り組みは、排出総量の管理もさることながら、再資源化率について年度目標値を設定し、排出総量の変動に関わらず、再資源化が促進されるよう取り組んでいます。

建築工事から排出される産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を含む)処理について、当社は建築工事の発注者であり、(排出事業者となる建築元請業者などから地方自治体への各種報告となりますが、)発注者としての社会的責任から、全ての工事について産業廃棄物管理票(マニフェスト)により、適正な処理が行われているかどうかを確認しています。

工事発生土は産業廃棄物ではありませんが、自主的に排出量の抑制および再資源化率の目標値を設定して管理しています。

2005年度の建設廃棄物の総排出量は約16万t(前年度約20.7万t)であり、前年度に比べ約4.7万t減少し、再資源化率については前年度を上回る96%(前年度約93%)を達成しました。

また、建設発生土においては、排出量が0.06万t(前年度約0.10万t)と減少し、2000年度から引続き全量を再資源化することができました。

2006年度も引続き、再資源化率の向上に加え、最終処分量の削減に取り組んでいきます。

図1 建築工事廃棄物の発生量と再資源化量 図2 建築工事発生土の発生量と再資源化量

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オフィス内廃棄物の削減と適正処理

オフィス内産業廃棄物廃棄量の推移 NTT西日本グループでは、オフィス内で不要となった机、椅子、ロッカーなどの什器類及びパソコンの再利用を推進し、オフィスから排出される産業廃棄物の削減に向け取り組んでいます。

2005年度は、0.19万tの目標値を掲げ取り組み、再利用の促進や目標値管理の徹底により0.18万tの実績となり目標値を達成することができました。これは1998年度と比較すると34.6%の削減となっています。

オフィス内産業廃棄物の適正処理については、継続して廃棄物処理法を遵守するとともに、排出事業者として処理会社との適正な契約及び事務処理を行ないます。

2006年度も引き続き、事業所毎の目標設定及び進捗管理の徹底を行うとともに再利用の更なる促進等を図ることで廃棄量の削減に取り組みます。


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医療廃棄物の適正処理

図 医療廃棄物排出量の推移 当社の医療施設(*1)は、毎年1,000t以上の医療廃棄物を排出している状況にあります(図)。

医療廃棄物は、主に感染性廃棄物(*2)と非感染性廃棄物に大別できますが、感染性廃棄物については、法律により特別管理産業廃棄物(*3)として、特に厳重な保管・適正処分を行うよう定められているため、各医療施設においては、毎月開催しているICT(病院内感染対策委員会)等において、感染性廃棄物に対する適正処理の徹底を図り、関係者全員による細心の注意の下、院内感染の防止に努めています。

また、医療廃棄物の保管にあたっては、廃棄物の性状に合わせた専用容器等へ適正に分別した上で、院内感染防止のため、関係者以外が立入れない場所に施錠管理し、厳重保管を行っています。

更に、集められた医療廃棄物は、都道府県知事等の許可を受けた特別管理産業廃棄物処理会社に処理を委託の上、収集・運搬から廃棄までの処理過程をマニフェスト伝票(産業廃棄物管理票)により適正管理し、不適正な処理による環境汚染や不法投棄を未然に防止しています。

今後も、これまでの取り組みを継続し、医療廃棄物の適正な処理を行います。

*1 医療施設
  病院8ヶ所及び健康管理センタ6ヶ所(2006年3月31日現在)
*2 感染性廃棄物
  血液などが付着し、人に感染する病原体が含まれているおそれのある廃棄物(注射針、血液製剤、手術等による病理廃棄物(臓器)等)
*3 特別管理産業廃棄物
  産業廃棄物の内、爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずる恐れがある性状を有するもの(廃棄物の処理及び清掃に関する法律第2条5項)。

写真

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PCBの保管状況

PCB(ポリ塩化ビフェニール)は化学的に安定であり、熱分解しにくく、絶縁性がよく、不燃性であることから、電力設備関連のトランス、コンデンサ等の電気絶縁油を始め、熱媒体、感圧複写紙などに広範囲に使用されていました。しかしながら、その毒性が問題となり1972年にPCBの生産の中止・使用の抑制がなされて以降、PCB廃棄物は無害化処理が進まないまま、事業者が保管するという形で現在に至っています。事業者にとっては、保管も長期間にわたっており、PCB廃棄物の無害化処理が重要な課題となっていました。

2001年7月15日に「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(PCB特別措置法)」が施行になり、事業者の責務として2016年7月14日までに、PCB廃棄物を自ら処分、または処分を他人に委託しなければいけないことと、年一回の保管状況等の届出が義務化されました。環境省の指導に基づき、PCB廃棄物のより詳細な分類等を行い、より一層の適正な保管管理に努めています。

当社としては、PCBの無害化処理が完了するまでは、PCB保管事業者として、PCB廃棄物を適正に保管するために、必要な保管施設が有するべき性能・保管の方法などについて定めた保管ガイドラインを策定しており、確実な管理を行っています。

保管中の10kg以上の物品について、処理会社である日本環境安全事業(株)へ早期登録を実施し、2006年度から処理を開始する予定です。

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アスベストの撤去状況

■橋梁添架・専用橋アスベストの撤去状況について

橋梁下で発生する火災から橋梁添架設備(管路及び収容ケーブル)を保護するため(図1)、以前は耐火防護設備として耐火性のあるアスベスト(石綿)を使用していました。

しかし、「特定化学物質等障害予防規則」及び「廃棄物処理法」の改定により、アスベストが特別管理産業廃棄物に指定され、その危険性が指摘されたことを受け、橋梁添架設備の耐火防護として、無害の新素材によるロックウール工法(*1)を開発、導入し1983年からアスベストによる耐火防護設備の撤去更改を実施してまいりました。

更に耐火防護工法等の改良を重ね1997年からは耐火性、経済性にも優れたプレキャスト工法(*2)を開発、導入し積極的に耐火設備の更改を推進してまいりました(図2)。

具体的な撤去更改につきましては、工法の開発と同時に設備の現況調査を実施し、「旧耐火防護設備更改管理表」を作成のうえ、設備の定期検査による劣化度、損傷度等の判定結果と橋梁管理責任者が計画する橋梁架替え等の工事を踏まえ、1999年度末約550tあったアスベストによる耐火防護設備は、2003年度末までに解消予定でしたが、2003年度設備点検・工事等の中で新たな対象橋梁が確認されたことより2005年度末において、14tを残す状況となっています。

今後も残設備の定期検査による劣化度、損傷度等管理を徹底すると共に2006年度には、アスベストによる耐火防護設備の撤去更改を完了させたいと考えています。

図1 橋梁添架設備の耐火防護範囲 図2 ロックウール・プレキャスト工法

*1 ロックウール工法 : 無害の新素材を使用して断熱材と外装材を個別に巻付ける施工方法
*2 プレキャスト工法 : 無害の新素材を使用して断熱材と外装材とを一体化し巻付ける施工方法

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■建築用アスベスト含有吹付け材の撤去状況について

当社は、建物に約12万?の吹き付けアスベストが使用されていましたが、アスベスト除去計画を強化するために、「2000年度末までに管理対象の実行可能な全量を撤去する」ことを目標とし、目標どおり2000年度末をもって、対象の建築用吹き付けアスベストを全量撤去していましたが、国交省の民間建物調査指示(H17.7.14)を踏まえ、2005年度、更に精度を高めた調査を実施しました。その結果新たに約7万?のアスベスト含有吹付け材が見つかり、2006年度より除去工事等の計画を進めています。

現在実施している建築工事に使用する建材については、ノンアスベスト化製品を使用しています。

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お問い合せ先:環境対策室