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朝日新聞社企画/小林社長インタビュー「ムーンショット」で未来の夢をかたちに

社会課題の解決にICTで貢献したい

──2025年に向けた中期経営計画で、これからのNTT西日本は「ソーシャルICTパイオニア」をめざすと宣言しています。この言葉の意味するもの、御社のめざす未来像を教えてください。

みなさんは、日常的にネット検索を使う。ECサイトを使う。あるいは写真や動画を送り合う。その際、ことさら「自分は今、ICTを利用しているんだ」と意識する人はいません。
しかし世の中は、すでにそうした技術ぬきには成り立たなくなっています。今、この社会には少子高齢化による働き手の不足や環境問題、自然災害対策などさまざまな課題が山積していますが、私たちはその解決にICTで貢献したいという強い思いがあります。
パイオニアという言葉には、自分たちが道を切り開くんだという意志を込めています。

──中期経営計画の中では「ムーンショット」という印象的な言葉も使われています。具体的に何を表すものですか。

これは1960年代のアポロ計画に端を発する言葉で、月にロケットを打ち上げるような野心的で大きな目標を持とうということです。今ある技術を積み重ねた先に何ができるかではなく、まず本当にめざす将来の夢を描いて、そこから今やるべきことを考えようと。日本人はすでにあるものを改善・改良して完成度を上げることは得意ですが、こうありたいという大きなビジョンを最初に掲げるような発想はなかなか持てません。自分の足元を見つめることも大切だけど、もっと目線を上げてみようよ、ということです。私はいつもこの話をするので、うちの社員は聞き飽きているでしょうが(笑)。

──現在の売り上げは既存分野が6割、法人向けビジネスを軸にした成長分野が4割ですが、小林社長は2025年にこれを逆転すると語っていました。どのように実現しますか。

NTT西日本には、静岡以西沖縄までの各地に配置した通信設備やデータセンター、コールセンターなどのアセット(資産)、営業担当やサポートスタッフが長年培ってきた実績があり、技術の蓄積があります。これが私たちの強みです。
さらに西日本地域には、ユニークな技術やアイデアのある多くの企業があり、課題解決の熱意を持った自治体も多い。自分たちの強みを生かしながら、こうした外部の人たちと一緒に取り組んでいくことで、成長分野をさらに伸ばしていくことは可能だと考えています。

大切なのは課題起点、お客さま起点の発想

──そうした強みがある一方で、越えなければならないハードルがあるとすれば何でしょう。

これまでの私たちは、どちらかといえば「この商品・サービスを使ってください」という販売促進的なコミュニケーションが中心でしたが、お客さまは単に商品・サービスを使いたいわけではありません。それ以前に、解決したいさまざまな課題があるはずです。今後はもっとお客さまに寄り添い、どうすれば課題を解決できるか一緒に考えていく姿勢がますます重要ですし、そのための「形」をたくさん用意していく必要があります。

──「形」とは具体的にどのようなことですか。

この8月には、AIやIoTのような新しい技術を使って何ができるか、お客さまと双方向で意見を出し合う共創ラボ「LINKSPARK」を立ち上げました。また、働き方改革を支援する「おまかせAI 働き方みえ〜る」というサービスの提供も開始しています。このサービスはAIを使ってパソコン業務を視える化するものです。たとえば、ある事業所で従業員のみなさんが使うパソコンの作業ログを分析すると、同一作業の繰り返しが非常に多いことがデータ上でわかったとします。だとすれば「この部分はソフトウェアで置き換え可能ですね」、あるいは、毎日プリントアウトをたくさんする方に「ペーパーレス化を進めてみませんか」というような改善策を提案できます。どちらもお客さまの課題を共有したうえで、それを解決する方法を一緒に考えていく必要があります。ですから「どの商品・サービスを使いますか」という話ではないんです。
商品・サービス起点からお客さま起点、あるいは課題起点へと社員の意識改革をはかることが、当社にとって何より重要です。

──そうした新しい取り組みやサービスは小林社長のリーダーシップでスタートしたのですか。

いずれも社員が「こういうことをやりたい」「こんな場所が必要じゃないか」という声を上げて実現させたものです。私の役目は「こうしたものを単につくりました」ではなく、「知恵を絞ってお客さまと一緒に考えていこう」という気概、社員のなかで育ちつつある新しい意識を今後も持続させていくことだと思います。

目立たなくても大切な「地域のビタミン」に

──大阪・関西万博を控え、西日本地域はこれからさらに発展していくことが期待されます。一方で、人口減による社会構造の変化で日本そのものが変わっていかざるをえません。NTT西日本の役割もますます重要になりますね。

地域に根ざし、地域のみなさんと共に歩んできた私たちだからこそできることが、きっとあるはずなんです。これも社員によく話すのですが、ICTというのはビタミンに似ています。食事のたびに今日は何のビタミンをとろう、と意識している人はあまりいないでしょうが、人が健康に、元気に暮らしていくために必要不可欠なものです。決して目立つことはないですが、社会にとってなくてはならない「ICT」というビタミンを、私たちは提供したい。地域にとってそのような会社でありたいと思っています。

──挑戦を続けながら、御社が企業として成長していくために大切なことは何でしょうか。

やるべきことのひとつは、地域に根ざした企業のみなさんとのコラボレーションをさらに進めること。もうひとつは私たちの業務において積極的にICTを活用し、効率的かつ高品質なサービスをつくり上げるということです。私たち自身がデジタルトランスフォーメーションを推進することが重要ですね。

──これからのNTT西日本は、より大きな視点で社会を支えていくということですか。

そうですね。今年、会社設立20年を迎えたことに合わせて、NTT西日本は「あしたへ−with you, with ICT.」という新たなコーポレートスローガンを掲げました。私はこの言葉がとても気に入っているんです。「あした」という言葉から連想するものは、人それぞれ違います。便利な道具に囲まれた豊かな暮らしを思う人もいれば、家族の顔が浮かぶ人もいるでしょう。私たちはこれからも、ICTの力でみなさんのあしたをハッピーに、地域のあしたを元気にしたい。そのためにはまだ挑戦すべきことも多いですが、私はこの会社ならきっとできると確信しています。

審査 19-1532-1