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「まるでSF!?」な未来は、もうそこまで来ている。次世代情報通信基盤『IOWN構想』の今

「まるでSF!?」な未来は、もうそこまで来ている。次世代情報通信基盤『IOWN構想』の今
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この記事の目次

この記事の内容【読了時間14分】

NTT西日本の新CM「愛される未来へつなげよう」篇は見た?以前の記事でも紹介したように、先進技術が暮らしの中に自然と溶け込み、地域の未来を支えている世界が描かれているんだ。その技術って、実際どこまで現実になっているんだろう?今回は、NTTグループが進めている次世代情報通信基盤「IOWN構想」について、NTT西日本 IOWN推進室の仲宗根さんに聞いてきたよ。ネットワークの進化から、スタートアップ企業との共創、これから生まれていくビジネスの話まで、未来を感じる話がたくさん聞けたよ。

interviewee 今回、話を聞いた人

仲宗根 慎さん
仲宗根 慎 (ナカソネ マコト)さん

NTT西日本
技術革新部 IOWN推進室

※記載の役職・所属は取材時点(2026年6月)の情報です

IOWNってよく聞くけど、実際どんな技術で、どこまで進んでいるんだろう?

1.IOWN構想の現在地。APN商用化から光電融合デバイスへ

増え続けるデータと、そのために膨らんでいく電力消費という課題に向き合いながら、一人ひとりが心豊かに暮らせる社会をめざすため、NTTグループは次世代の情報通信基盤「IOWN構想」を進めています。NTT西日本の新CM「愛される未来へつなげよう」篇にも、その世界観が息づいています。その技術は、どこまで現実に近づいているのでしょうか。IOWN推進室の仲宗根さんに聞きました。

——まずは、NTTグループ全体のIOWN技術開発の現在地について教えてください。

IOWN構想の実現に向けては、まず低遅延・大容量通信を実現する「APN(All-Photonics Network)」の商用化が先行して進んできました。大阪・関西万博での活用などを通じて、名前を耳にした方も多いと思います。

現在はその次のフェーズとして、コンピューティングへのIOWN適用を目的とした「光電融合デバイス」の開発に力を入れています。IOWNの中核にあるのは、光電融合という技術です。これまで電気信号で行っていた情報処理や通信の一部を光に置き換えることで、通信性能の向上と大幅な省電力化を実現できます。最終的には、サーバー内部の通信も含めて、できる限り光のまま処理・伝送できる世界をめざしています。

——APNは商用化も始まっています。西日本エリアでも利用可能な範囲は広がっているのでしょうか。

東西を問わず県内であれば幅広いエリアでご利用いただけます。県をまたぐ接続についても、対応エリアを順次拡大しているところです。NTT西日本では、すでに商用化されているAPNサービスを通信領域だけにとどめず、コンピューティング領域へ広げていくことをめざしています。そのために、さまざまなユースケースの実証に取り組みながら、お客さまに価値を具体的に体感いただけるサービスやソリューションづくりを進めています。

その一例が、NTT WEST i-CAMPUS PRISM(大阪市)1階の「LINKSPARK OSAKA」です。ここでは、大阪・関西万博で放送局向けに提供したリモートプロダクション技術をはじめ、ロボット技術など、IOWNを活用したさまざまな技術や取り組みを紹介しています。

※LINKSPARK OSAKAは、弊社とビジネス共創に取組むパートナー企業向けの施設となります。ご興味のある企業様は弊社営業担当にご相談ください。

例えばロボット分野では、フィジカルAI(AIが状況を判断しながらロボットや機器を制御する技術)としてロボットを各工場に配備していく上で、情報セキュリティやデータの取り扱いといった基盤面の課題が懸念されています。IOWNコンピューティングの基盤上では、機微なデータをセキュアな拠点で保管しながら、処理や処理結果だけをリアルタイムにやり取りすることが可能です。こうした特長を生かすことで、これまで実現が難しかった新しいサービスが生まれるのではないかと考えています。

LINKSPARK OSAKAに設置されたリモートプロダクション装置
大阪・関西万博でも使われたリモートプロダクション装置

ネットワークの進化の先に、コンピューティングそのものを変えていく挑戦があるんだね。それが、暮らしのすぐそばにある展示という形でも体感できるんだ。

メモを取るモグラ

NTT西日本のIOWN推進室って、具体的にどんなことをしているんだろう?

2.NTT西日本とtonari・バルスが挑む、IOWN活用の共創

——IOWN推進室の皆さんの取り組みについて、詳しく教えてください。

既存のサービスとAPNサービスを組み合わせることで、どのような価値を生み出せるのかを検討し、ユースケースづくりに取り組んでいます。単なる技術検証にとどまらず、お客さまが実際に体験し、その価値を実感できる形にすることを大切にしています。

これまでIOWN推進室では、さまざまな企業と実証実験を重ねてきましたが、お客さまへ価値が伝わりづらいことが課題でした。そこで、分かりやすい価値を生み出すため、共創プログラム「Future-Build Powered by IOWN」をQUINTBRIDGEと連携して企画しました。スタートアップ企業の皆さんと対話を重ね、多様なアイデアを生み出してきました。スタートアップ企業ならではの柔軟な発想や新しい視点に触れられたことも、大きな成果のひとつです。このプログラムから生まれたアイデアのもと、「tonari株式会社」と「バルス株式会社」の2社と手を組み、IOWNの特長を生かした新しいサービスの実現に向けて共創を進めています。

——それぞれ、どのような共創をしているのでしょうか。

tonari株式会社が提供する空間拡張ポータル「tonari」は、すでに大学や企業などで活用が進んでいるもので、離れた場所にいる相手がまるで隣にいるかのように感じられるコミュニケーション環境をつくってくれます。これにAPNを組み合わせると、映像の高精細化に加えて通信遅延を極限まで抑えられるため、例えば画面越しに、じゃんけんをしても違和感を覚えないほど自然なやり取りが可能になり、体験価値はさらに向上します。

実際に、お客さまから「APNとあわせてtonariを導入したい」というご相談も複数いただいています。LINKSPARK OSAKAの展示は、tonariが持つコミュニケーション体験の価値と、APNによる高品質・低遅延通信の価値を同時に体感いただけるデモとして、多くの方に関心を持っていただいています。

tonariのデモを紹介する仲宗根さん
tonariを体験する人々の様子
APNでつなげば遅延なく、その場にいるかのような自然なコミュニケーションが可能な「tonari」。

統合型エンターテインメントプラットフォーム「SPWN(スポーン)」の運営及びXRコンテンツの企画・制作を行うバルス株式会社とは、リモートプロダクションとバーチャルコンテンツを掛け合わせた「リモートバーチャルプロダクション」として、3つの拠点に分かれた出演者がまるで同じ空間にいるかのように共演できる演出に挑戦しました。IOWNの超低遅延・大容量通信という特長を生かして、離れた場所にいる出演者同士の自然な掛け合いを実現し、新しいエンターテインメントの形を提案する取り組みになりました。このデモは、国内外の企業・団体が集まり、最新技術やビジネス活用のトレンドを紹介する日本最大級のITイベント「Interop Tokyo 2024」にて、多くの来場者から高い関心を集め、IOWNがエンターテインメント分野にも新たな可能性をもたらすことを体感いただける事例として、大きな反響をいただきました。

技術だけじゃなく、「一緒につくる」相手がいることで、思いもよらない使い方が生まれていくんだね。

喜ぶモグラ

実際に技術を形にしていく中で、どんな壁にぶつかったんだろう?

3.GPUの電力課題と、分散データセンターという新発想

——2社との協業を経て、見えてきた課題はありますか。

ネットワークの性能だけでは十分ではなく、その先にある端末やデバイス側にも高い処理性能が求められる、ということです。特に大きなテーマになるのが、映像処理やリアルタイムレンダリングを支えるGPUの活用です。GPUは非常に高い処理性能を持つ一方で消費電力も大きく、データセンターでは電力や設置スペースの制約が年々大きな課題となっています。そこで、APNを活用して「必要な時に、必要な分だけ高性能なGPUを利用できる世界」をつくれないかと考えるようになりました。

その先にあるのが、分散データセンターという考え方です。遠隔地に設置されたGPUを、あたかも手元にあるかのように利用できないか、という取り組みです。NTTグループではこれまでも、離れたデータセンターにGPUを配置し、APNで接続して利用する実証を行ってきました。ただ、そのためには専用のプログラムや設定が必要で、誰もが簡単に使えるものではありませんでした。

そこで私たちが考えたのは、パソコンをAPNにつないで遠隔地のGPUを利用できるようにする方法です。この技術が実用化されれば、高価なGPUを各拠点で個別に保有する必要がなくなり、コンピューティングリソースをより柔軟かつ効率的に活用できる世界が実現できるのではないかと考えています。

オフィスで笑顔を見せる仲宗根さん
ユースケースから見えてきた新たな課題を、次の研究施策につなげている。

遠くのGPUがすぐそばにあるみたいに使えるなんて、なんだか不思議。課題と向き合うところから、新しい仕組みが生まれていくんだね。

驚くモグラ

IOWN推進室のみんなは、この先どんな未来を思い描いているんだろう?

4.IOWN推進室が見つめる「愛される未来」への道のり

——新CM「愛される未来へつなげよう」篇でも、IOWNの世界が表現されていましたが、ご覧になっていかがでしたか?

そうですね。CMでは、IOWNが実現しようとしている未来の姿を、とても分かりやすく表現していただいたと感じています。IOWNは単なる製品やサービスではなく、将来の社会基盤を見据えた構想であるため、その価値や可能性を言葉だけで伝えるのはなかなか難しい面があります。私自身も、IOWNが描く世界観をどう表現すれば伝わるのか悩むことが多いのですが、アニメーションという手法だからこそ伝えられるものがあるのだと思います。

映像の中で描かれている世界は、一見するとSFのように感じられるかもしれません。しかし、その多くは決して遠い未来の話ではなく、私たちが今まさに研究開発や実証を進めている技術の延長線上にあります。CMをご覧になった方に「こんな未来が本当に実現するかもしれない」と感じていただければうれしいですし、その未来を支える技術としてIOWNに少しでも興味を持っていただければと思います。

CMポスターの前に立つ仲宗根さん
「スタートアップ企業との協業から学ぶことは多い」と語る仲宗根さん。

IOWNは、誰かが届けてくれるものじゃなくて、みんなで一緒に育てていくものなんだね。CMで見た「まるでSF」な景色が、これからどう広がっていくのか楽しみだね。

手を振るモグラ

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記事内で紹介した共創プログラムや、tonari株式会社・バルス株式会社との取り組みについては、以下のページで詳しく紹介しています。