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沖縄支店

特賞(作文の部)

6学年の部 大岳小学校 小川 陽翔(おがわ はると)
「母から教わる元気の素」
 
 ぼくの母は、専業主婦です。理由を聞いてみると、「陽翔の成長をずっとそばで見ていたかったからかなぁ。」と言って、照れくさそうに笑いました。
 母は、ぼくや父のために、たくさんの家事をしてくれています。そうじや洗濯、ぼくが帰ってきたら、勉強も教えてくれます。たまにこわいけど、とてもていねいで分かりやすいです。でも、一番ありがたいと思うのは、ごはん作りです。母は、食材にこだわり、料理には手を抜きません。母がいつも美味しいごはんを作ってくれるおかげで、レトルト食品や冷凍食品をあまり美味しいと思えません。母の味がやっぱり一番です。

 ぼくが三才の時、父の転勤で久米島に来てから、畑を借りて家族全員で野菜作りを始めました。母はもともと自給自足にあこがれており、無農薬の体にいい野菜を食べさせたいという思いがあったようです。周りの人達に色々教えてもらいながら、トマト、にんじん、きゅうり、じゃがいも、島らっきょうなどの島野菜を含め数十種類の野菜を作っています。
ぼくにとって、小さい頃の畑は遊び場であり、学ぶ場でしたが、今では立派な働く場です。
畑の一番の楽しみは収穫です。もぎたてのトマトはとても甘くて何個でも食べられます。
きらいだったピーマンも、家の畑だと少し食べることができました。自分で育て、自分で収穫した畑の恵みに感謝の気持ちでいっぱいです。父と母のおかげで、食べ物を残さないことや農家さんへの感謝の気持ちを持つことができました。畑の野菜で作った母のごはんはさらに美味しく、大切にいただこうという気持ちが強くなります。

   また、母は外国にいた経験から、「地元の人と同じものを食べて、同じ言葉を話せば、少し分かり合える。」と教えてくれました。だから、母は地元の食材を使い、うちなー料理も作ってくれます。母の言葉の通り、同じものを食べると共感し、うちなーんちゅになったような気がします。
 また、母は、市販の生地の素などは使いません。何もないところから何かを作るのが楽しいし、ぼくにもそうであってほしいからだそうです。例えば、ぼくの大好きなホットケーキは、卵、牛乳、小麦粉、砂とう、ベーキングパウダーがあれば作れます。
「自分で作ると、何がどれだけ入っているのか分るでしょう。それに安いしね。お母さんは大阪人なので、高くて美味しいものは当たり前、安くて美味しいものを作らなくっちゃ。」と言います。さすが、大阪人です。

   最近はぼくも一緒にご飯を作るようになりました。それは、「私がいつ死んでも、食べるのに困らないように。」という母の想いからです。母はじょうだんぽく、さらっと言っていますが、母はぼくのことを心配して、生きることに必要な食べること、作ることを教えてくれます。
 ご飯を作るのも楽しいですが、何かを食べる時に「何が入っているんだろう?どうやって作るんだろう?」と考えることもとても楽しくなりました。体に入る食材の大事さを母から教わりました。「なるべく家族そろって楽しく、大切に食べること。食べることは全ての生きる基本だから。美味しいものを食べて、笑っていればどんな病気にも負けないわよ。」
とも母は言います。食べることは生きる基本、命の源。畑での野菜づくりに、体にいい食材選び、一つ一つ手をかけた料理など母の食へのこだわりは、僕への愛情なんだと気がつきました。
 母のおかげで、ぼくは物やお店が少ない島でも、不満なく、美味しい食事や工夫することを楽しんでいます。また、この島にしかない自然の恵みにも気づくことができました。
大きくなって、一人暮らしするようになっても、母から教えてもらったことを活かして、ちゃんと食べようと思います。
「母ちゃん、母ちゃんの作ってくれるごはんで、ぼくは大きな病気もせず、こんなに大きくなりました。これからもっともっと食べるようになると思うけど、できるだけ手伝うので、美味しいごはんをたくさん作ってね。いつまでも元気で家族そろって、仲良く食べようね。」
 よし、今日も勉強がんばって、畑でいっぱい汗をかいたら、大好きな母ちゃんに伝えたいです。
「母ちゃん、お腹すいた。母ちゃんのごはんは元気の素だよ。」
 
 
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