特賞(作文の部)
6学年の部 久辺小学校 伊礼門 千球(いれいじょう ちじゅ) |
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「一生懸命がかっこいい」
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「千珠、がんばれ。」 「もっと低くタックル入らないと。」 母の声がグランド中にひびきます。大きさはもちろんのこと、はく力でも目立つ母の声です。 「いいね、その走り。千珠、いいよ。」 ボールを追いかけながら母の声が聞こえ、私はより力が出ます。母の声が私に力以上の活やくをさせてくれるような気さえしています。 私は三姉妹の一番下です。七才上の一番上の姉が小学生のころ、テレビで放送されていたラグビーの試合を見て、そのかっこよさにあこがれてラグビーを始めたそうです。すぐ上の姉も私もつられて、当然のようにラグビーを始めました。 「えっ、女の子がラグビーするの?」 そう不思議がられることも多いです。でも、私達にとっては不思議なことでも特別なことでもなく、ふつうのことです。 授業後、母が学校へ私を迎えにきてくれます。練習場所の中部まで送迎するために、仕事を早く切り上げてくれるのです。そのおかげで私達は大好きなラグビーをつづけられています。練習では走ったりタックルしたりが続きます。転んだりぶつかったりすることもよくあります。当然、私の練習着はドロと土ぼこりですごい汚れようです。帰宅後、洗たくしてくれるのは母です。外の井戸水で下洗いをして洗たく機へ入れる母の姿は毎日見る光景です。いつしか私はそれを当たり前のように見ていて、ありがとうの言葉を伝えることさえなくなっています。 母は毎日の食事にも気をつかってくれています。 「野菜もしっかり食べないとだめ。好ききらいなく食べることで、強い体がつくられるのだから。」 野菜ぎらいの私のために、野菜を細かくきざんでスープにしたり、ハンバーグの中にひそかにまぜてくれたりします。そうすると、苦手なトマトもキャベツもレタスもおいしく食べられるようになるのです。母のアイディアのおかげで私の体は元気なのだと思います。ラグビーをがんばれるのは、その元気な体のおかげ、つまり、母のおかげなのだと気がつきました。 週末に行われる大会には、母は必ず来てくれます。そして、はく力いっぱいの声で私達に声援を送ってくれるのです。 「力抜かない!一生懸命走って。」 母の言葉が私のプレーを支えます。私の走りにスピードを与えてくれます。 試合後、母手作りのお弁当を食べるのも私のひそかな楽しみです。前の日がどんなにおそい帰宅でつかれていても、試合当日は早起きして手作りのお弁当を作ってくれるのです。冷やしタオルや救急セット、着替えにシートに・・・。試合の時の母の持ち物は私以上に重くかさばっています。それでも笑顔で会場に来てくれる母。そして一生懸命応援してくれる母。私は母の愛情につつまれて今がある事を実感しています。 私達伊礼門家にはモットーがあります。それは「一生懸命がかっこいい」です。 何事にも一生懸命、全力で取り組むことが大切であり、その姿がいちばんかっこいいと、小さいころから両親に言われて育ってきました。 母のすごいところは、言うだけではなく、自分自身でそのことを実行していることです。私達の練習送迎や大会の応援、日々の食事や洗たくで、母の一生懸命な姿を私は毎日みています。特にそのことを強く感じたことがありました。それは運転に関する事です。もともと運転が苦手だった母。遠方の学校に進学が決まった姉の送迎のために、母は父に運転を特訓してもらっていました。苦手なことをするのに、運転練習中の母はいやそうな表情ではありませんでした。 今だからわかることだけれど、きっとその時は私達のためにがんばることが母のやる気につながっていたのだと思います。苦手を克服して、私達の支えになろうと思っていたから一生懸命なかっこいい顔で運転練習をしていたのだと思います。 今年の母の日を前に、母のことを見直したり、気持ちを考えたりすることで私は母の素晴らしさとかっこよさ、すごさを実感すると共に、いかに自分が幸せかを感じることができました。今私がしなければならないことは、そのことをしっかりと母に伝える事です。そして、何となくしてもらう、ではなく、日々感謝しながらしてもらう自分にならなければいけないと思っています。 「お母さん、いつも私達姉妹がラグビーに打ち込めるよう、一生懸命サポートしてくれてありがとう。私はお母さんの娘で幸せです。 私がお母さんにできることは、練習に一生懸命はげみ活やくすること。ずっとずっと私達を見ていてね。」 |
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