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運転士不足の解消に挑む。自動運転バスが支える、住みたい街に住み続けられる未来

運転士不足の解消に挑む。自動運転バスが支える、住みたい街に住み続けられる未来
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この記事の目次

この記事の内容【読了時間13分】

NTT西日本の新しいCM「愛される未来へつなげよう」篇には、ちょっと先の未来の技術がたくさん登場しているんだ。今回は、CMにも出てくる「自動運転バス」のお話。運転士が少なくなっている街で、みんなの移動をどう支えていくんだろう。気になるよね。

interviewee 今回、話を聞いた人

小川原 汐音さん
小川原 汐音 (オガワハラ シオネ)さん

NTT西日本
バリューデザイン部 ソーシャルイノベーション部門

※記載の役職・所属は取材時点(2026年10月)の情報です

自動運転バスって、いまどれくらい身近になっているのかな?

1.自動運転バスはいま、実証から「暮らしの足」へ

「各自治体にとって、2027年が大きな節目になるでしょう」。そう話すのは、NTT西日本で自動運転バスの仕事に携わる小川原汐音さんです。まずは、自動運転バスを取り巻く今の状況から聞きました。

——自動運転バスは、いまどのような段階にあるのでしょうか?

国の後押しが本格的になってきています。2024年度には国土交通省の補助事業で99件が採択されるなど、先行する自治体を中心に実証実験の検討が進められてきました。最近は、実証実験そのものを目的にするのではなく、導入したあとの効果や、無理なく続けられる運営の方法まで見据える自治体が増えています。2026年1月には、政府が2030年度までにバスやタクシーを含む自動運転車両1万台の導入を目標に掲げました。自動運転を暮らしの中に根付かせるための動きが、全国で加速しています。

——NTTグループでは、どのような体制で取り組んでいるのでしょうか?

NTTグループでは、NTT西日本のほかにNTT東日本やNTTドコモビジネス、2025年に設立されたNTTモビリティなどが自動運転事業に取り組んでいます。車両の調達や遠隔監視といった運行の土台をグループで共通化して、導入や運用をスムーズにしていこうとしているところです。

その中でNTT西日本は、自動運転EVバスの導入全体を取りまとめる役割を担っています。2025年には、自動運転車両とシステムを手がけるフランスのNavya Mobility社に出資し、日本の道路や使われ方に合った技術開発や、運用を支える体制づくりも進めています。また、西日本エリアではNTT西日本が多くの実証や導入を手がけてきました。その経験をグループ各社とも共有しながら、全国での自動運転の社会実装を一緒に進めています。

——自治体の関心は高まっていると感じますか?

着実に高まっていると感じます。各自治体がつくる公共交通の計画にも自動運転に関する方針が盛り込まれるようになり、将来の地域交通を支える手段として、具体的に検討される段階に入ってきた印象です。

以前は情報収集や実証実験そのものに関心が集まっていましたが、最近は導入後の運営体制や費用の分担、地域にどんな効果があるのかといった、実際に街で走らせることを前提にしたご相談が増えています。

身ぶりを交えて話す小川原さん
「実証実験の先にある、街での運営まで一緒に考える相談が増えています」と話す小川原さん

試しに走らせてみる段階から、街の足としてどう続けていくかを考える段階へ。自動運転バスは、少しずつ暮らしに近づいているんだね。

ウインクするモグラ

自動運転バスは、どんな困りごとに応えようとしているのかな?

2.運転士不足の地域交通を、交通事業者とともに支える

自動運転バスへの関心が高まる背景には、地域の公共交通が抱える切実な課題があります。小川原さんたちは、街のバスを長年走らせてきた交通事業者とも手を取り合いながら、取り組みを広げています。

——自動運転バスを必要としているのは、自治体だけなのでしょうか?

交通事業者にも広がっています。運転士の高齢化が進み、採用に力を入れても新しい担い手を確保するのが難しい状況が続いています。考え方はさまざまですが、交通事業者自らが、自動運転を将来の公共交通を維持するための有力な選択肢のひとつとして捉える動きが広がっていると感じています。私たちから交通事業者へ直接ご提案するケースもあります。

「公共交通の維持」は優先度の高い地域課題。深刻なバスドライバーの不足(全国の路線バスの廃止 15,332km、2010〜2021年合計)と、免許返納減少と高齢ドライバーの増加(4人に1人は高齢ドライバー、85才のドライバーは10年で2倍、免許返納数の減少は4年連続)を示す図
交通事業者も運転士不足が深刻化、自動運転導入は避けられない課題に

——交通事業者とは、どのような関係を築いているのでしょうか?

私たちがめざしているのは、地域交通を一緒に支えるパートナーです。自動運転サービスが街に根付いたあと、実際の運行では地域の交通事業者に大切な役割を担っていただくことになります。運行計画をつくる、運行の体制を整える、地域の皆さんに理解していただく。そこには交通事業者が長年培ってきた知見が欠かせません。私たちは技術や仕組みの面から支え、連携しながら、続けていける地域交通のかたちをつくっていきたいと考えています。

——交通事業者と取り組んだ事例では、どのような手応えがありましたか?

一番大きかったのは、交通事業者と一緒に、自動運転サービスを街に根付かせるためのモデルをつくれたことです。自動運転バスは先進的な技術ですが、今はまだ車両や運用にかかるコストが高く、自治体だけで導入・運営を続けていくのは簡単ではありません。実証を通じて役割を分担しながら、事業として成り立つか、長く続けられるかを一緒に検討できました。この取り組みをきっかけに、新しい地域とのご縁も生まれています。

笑顔で話す小川原さん
「交通事業者とは、地域交通を一緒に支えるパートナーでありたい」。街で走り続ける自動運転バスのかたちを、見据える小川原さん

街のバスを走らせてきた人たちの経験と、新しい技術。両方がそろって、地域の足が未来へつながっていくんだね。

驚くモグラ

運転士がいないバスって、乗るときどんな感じなんだろう?

3.アバターバスガイド「バスあば」がつくる、無人運行の安心と街のにぎわい

小川原さんたちがめざしているのは、運転士がいなくても走れる「自動運転レベル4*」での無人運行です。そこで大切になるのが、車を動かす技術だけでなく、乗る人の安心をどうつくるか。その答えのひとつが、アバターによるバスガイドでした。

*自動運転レベル4:完全自動運転(場所など限定)。特定の走行環境条件を満たす限定された領域において、自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態。

——無人運行の実現に向けて、どのような課題に取り組んでいますか?

障害物の検知や路上駐車の回避など、車両やシステムの性能は日々進化しています。あわせて、救急車などの緊急車両が近づいたときの車両の制御や、電波が届きにくい場所での運行といった、業界共通の課題にも総務省の事業を活用しながら取り組んでいます。先行する自治体ではレベル4の実現に向けた動きも進んでいて、自動運転は実証から、街で本格的に走らせる段階へ移りつつあります。

ただ、無人運行には車が自動で走ることに加えて、乗り降りの確認や車内の案内、お客さまへの対応など、これまで運転士が担ってきた役割をどう代わりに担うかも重要になります。

——そこで生まれたのが「バスあば」なのですね。

はい。2026年5月に、アバターサービスを手がけるAVITA社と業務提携し、自動運転バスの車内ディスプレイにアバターを映し出す「バスあば」を開発しました。AIや、離れた場所にいるオペレーターがアバターを通じて案内や質問対応を行うことで、運転士がいない車内でも安心して乗っていただけるようにしています。

車内ディスプレイに映る「バスあば」のアバターと、座席に座る小川原さん、島田さん、中浦さん
「バスあば」のアバターと。左から小川原さん、島田さん、中浦さん
車内ディスプレイのアバターを前に打ち合わせをするメンバー
遠隔でアバターを操作するオペレーターと打ち合わせ。車内でどんな声かけをすれば安心してもらえるか、細かく話し合います

——反響はいかがでしたか?

街で本格的に走らせることを見据えている自治体からは、特に関心をいただいています。発表のニュースは15社以上のメディアに取り上げていただき、連携や導入についてのお問い合わせも多く届いています。各地で実証や導入に向けた検討が進んでいるところです。

運転士がいなくても、画面の向こうからガイドが話しかけてくれるの? これなら、ひとりで乗っても心強いね。

考えるモグラ

自動運転バスがある街って、これからどんなふうになっていくんだろう?

4.自動運転バスが当たり前にある街へ。「愛される未来へつなげよう。」に重なる想い

NTT西日本が自動運転の事業に取り組み始めたのは2023年度のこと。一歩ずつ積み重ねてきた信頼を土台に、小川原さんは、自動運転バスが特別なものではなくなる未来を思い描いています。

——この数年で、周りからの見られ方に変化はありましたか?

取り組み始めた当初は、自動運転の分野でNTT西日本の名前はあまり知られていませんでした。Navya社への出資に加え、30件以上の走行実績やイベントへの出展、情報発信を積み重ねてきたことで、今では国や業界の方々、お客さまから、本気で取り組み、最後まで伴走してくれる存在として信頼していただける機会が増えています。

各地域の拠点の仲間とも協力しながら、構想づくりから補助金の活用、運行の設計、地域の関係者との調整まで、一つひとつ丁寧に取り組んできました。その積み重ねで、「一緒に自動運転を街に根付かせるパートナー」として知っていただけるようになってきたと感じます。

PCを囲んで走行ルートを検討するチームメンバー
走行ルートの検討中。構想づくりから運行の設計まで、チームで話し合いながら進めています

——自動運転バスで、どんな未来をめざしていますか?

めざしているのは、この先もずっと続いていく公共交通の土台をつくることです。今はまだ実証や技術開発の段階ですが、最終的には、自動運転が特別な技術ではなく、当たり前のものとして地域に根付いている未来を実現したいと考えています。

そのために、車両やシステムの技術を高めていくことはもちろん、医療や物流、観光、アバターサービスなどともつながっていきたい。自動運転バスが人を運ぶだけでなく、人やモノ、地域のサービスをつなぐ存在になれば、地域の困りごとに応える力はもっと大きくなると思っています。

——新CMのスローガン「愛される未来へつなげよう」と、ご自身の仕事とのつながりは感じましたか?

まさに私たちがめざしている姿だと思いました。CMを見たときは、自動運転バスの車体はもちろん、停車するときの音やアバターまで再現されていて驚きました。

自動運転というと最先端の技術に目が向きがちですが、私たちが本当に実現したいのは、その先にある地域の暮らしを支えることです。高齢化や運転士不足で、移動手段を維持するのが難しくなっている地域も増えています。必要なときに病院へ行ける、買い物に行ける、大切な人に会いに行ける。そんな当たり前の日常を未来へつないでいくことが、私たちの仕事なのだと感じています。

オフィスに立つ小川原さん
「住みたい街に、住み続けられるように。そのために自動運転バスを広げていきたい」と語る小川原さん

住みたい街に、ずっと住み続けられる。自動運転バスは、そんな毎日を未来へ運んでいくんだね。いつか近所で見かける日が楽しみだなあ。

手を振るモグラ

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NTT西日本の自動運転EVバスの取り組みは、公式サイトで紹介されています。アバターバスガイド「バスあば」については、AVITA社との業務提携のニュースリリースをご覧ください。