VOICENCEは、どんなビジネスになるの?教えて、大西さん!
4.声の権利を守りながら価値を届ける、VOICENCEのビジネスモデル
——ここからは「ビジネスモデル」についてお聞きします。業界の課題に対し、どのような戦略で展開されていくのでしょうか。
音声AIサービスは、すでに数多く存在しています。そのため、単に音声合成やAIという技術を提供するだけではなく、コンテンツの企画・制作からエンドユーザーに届けるまでを一体的にプロデュースすることを重視しています。もちろん、その過程においては、ライツマネジメント(権利管理・証明)を確実に担保できる仕組みを前提としています。
現時点では、BtoCではなくBtoBビジネスとして展開しています。音声コンテンツを制作・活用したい企業や自治体を主なクライアントとし、音声IPホルダーとクライアントの間に立つことで、声の権利を守りながら、双方が安心して活用できる音声コンテンツを提供していきます。今後は、ユースケースの創出やパートナー開拓を進めながら、契約から企画、制作、利用までをシームレスに行えるプラットフォームへと進化させていきたいと考えています。
ワークショップのプログラム
クライアント側には、著名人の声を活用した注目度の高いコンテンツを制作したいというニーズがある一方で、本人のスケジュール確保が難しいことや、AI音声の活用における権利面への不安といった課題があります。また、音声IPホルダーの方々にとっても、距離やスケジュールの制約により依頼を受けられず、本来得られるはずの機会を逃してしまうケースが少なくありません。
さらにこれまで、“声”そのものの権利を適切に管理し、ビジネスとして成立させる仕組みは十分に確立されていませんでした。映像や番組には二次利用の概念がありますが、その恩恵は主にコンテンツの権利所有者に帰属し、実演家である声優などに十分に還元される仕組みは限定的です。
VOICENCEでは、こうした課題を技術とビジネスモデルの両面から解決し、声の権利を適切に保護しながら活用できる環境を整えることで、実演家への新たな収益機会の創出と、持続可能な音声コンテンツ市場の形成をめざしています。
ローンチイベントでは、KizunaAI(VOICENCE)と
別所さん(本人)が英語で会話するデモを実施
広告、ツーリズム、グローバルビジネスなど音声AIの提供価値は無限大
VOICENCEの提供価値は、コンテンツの可能性によってさらに広げていけると考えています。今後は実績を一つひとつ積み重ねながら、活用領域を拡張し、新たな価値創出につなげていきたいと思っています。
すでに公開している事例の一つが、靴下屋(タビオ株式会社)における店内ラジオおよびSNSコンテンツへの活用です。人気声優によるAIナレーターを起用することで、新規性のある顧客体験を創出するとともに、ブランドの認知向上や話題創出にも寄与しました。実際に、花江夏樹さんご本人がSNSで「AIナレーター初仕事です!」と発信されたことで、多くの反響が生まれ、音声AIとIPを組み合わせた新しいプロモーション手法としての可能性が示されました。音声AIであれば、期間限定のキャンペーンや急なプロモーションにも柔軟に対応できる点も大きな特長です。
マーケティング・セールスマネージャー /
CMO兼CRO 大西 祐佳さん
もう一つは、2025年1月16日にニュースリリースを発表した、広島都心エリアでの謎解きデジタルラリーです。NTTアーバンソリューションズが推進する都市開発の一環として実施されている取り組みで、春日望さんのAIボイスを活用し、地域の魅力発信と回遊促進を図っています。音声を通じて街の体験価値を高めることで、都市空間とエンターテインメントを結びつける新しい活用モデルとなっています。
今後は、特にツーリズムやグローバル領域において大きな可能性があると考えています。例えば、アーティストのコンサート開催にあわせて、そのアーティスト本人の声による地域案内コンテンツを提供することで、地域の魅力発信とファン体験の向上を同時に実現することができます。
また、日本のアニメや声優文化は海外でも高い人気を持っており、声優による多言語音声コンテンツの需要は今後さらに拡大していくと見込まれます。権利保護を担保した形で音声AIを活用できる環境を整えることで、これまで実現が難しかったユースケースにも対応できるようになり、音声コンテンツ市場のさらなる発展に貢献していきたいと考えています。
広島で実施した、謎解きデジタルラリー
「The Unknown City
~時を超える広島の記憶とスパイミッション~」
声の権利を守りながら活用できる仕組みが、新しい市場を生み出していくんだ。次は、どんな楽しい体験が生まれるのかな。