リーダーの思考力、チームの思考力

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写真:御立 尚資
定石を超える戦略を生み出す頭の使い方 2009年3月
御立 尚資/ボストンコンサルティンググループ日本代表
世界的なコンサルティングファームで様々な企業の経営戦略構築に携わってきた御立尚資氏。パラダイムが大きくシフトしようとしている今、定石を超える新たな勝ちパターンを考え出す思考力が必要だと語る。

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プロフィール

1957年兵庫県生まれ。79年京都大学文学部卒業、日本航空入社。

92年ハーバード大学経営学修士(MBA with High Distinction)。93年ボストン コンサルティンググループ入社。

2005年から現職。消費財から金融サービスまで様々な業界に対し、グループ経営、成長戦略、M&Aなどの戦略策定から実行支援まで幅広くコンサルティングを行っている。

主な著書

写真:主な著書

「長期の時間軸」を持ち、世の中の動きを引いた目で見る

─ 今、世界は百年に一度の金融危機などといわれています。こうした時代にはどのような思考力が必要でしょうか。

まず、時代が大きな転換点に差し掛かっていることをしっかりと認識しておかなければならないでしょう。表面で見えている金融危機や経済危機だけでなく、大きな変化がいくつも起こっているのです。

例えば、工業製品はずっと価格が上がらず、PCやデジタル家電は安くなる一方ですが、実は、これには要因があります。1950年に30億人だった世界の人口は、2000年には60億人へと倍増しましたが、そのうち読み書きそろばんができて工場で働ける人は、人口の50%、15億人だったのが、85%、50億人へと3倍以上に伸びたのです。しかも増えたのはほとんど新興国でした。

つまり、組み立て加工のような製造業は、世界中の新興国で工業労働者が増え続けているため、いつまで経ってもデフレ傾向が収まらないのです。今までは先進国の中で工業化が進んで景気が良くなり、生活水準が向上するという循環だったのが、全く違う次元のことが起きているわけです。

こうした大きな変わり目のときには、従来の定石は役に立ちません。これまでの企業の勝ちパターンは、定石をよく知っていてそれを徹底的にやり抜く、つまり「定石+徹底力」だとされてきましたが、今は、自分で新しい勝ちパターンを考え出す思考力、すなわち「定石を超える思考力+徹底力」が必要なのです。

─ そうした思考力を身につけるために、リーダーに求められるのはどのようなことでしょうか。

今お話ししたような大きな流れは、足元の半年や1年を見ていてもつかめません。特に、現場に責任を持つ人たちは、今年どうするか、来年どうするかという短い時間軸に意識が集中しがちであるため、リーダーには、そこから少し離れ、長い時間軸と短い時間軸を行ったり来たりするような時代感覚が求められます。

普段の仕事の時間軸は大抵短いので、意図的に10年単位、場合によっては100年単位の長期・超長期の時間軸を持ち、世の中の動きをできるだけ引いた目で見ることが必要です。

─ 長期の時間軸を使いこなすにはどうすればいいのでしょうか。

難しく考える必要はありません。リーダーには歴史小説の好きな人が多いですよね。恐らく無意識のうちに、長期の時間軸の必要性を感じて読むのだと思いますが、それを仕事に生かせばいいのです。

今回の経済危機でも、日本のバブル崩壊後には何が起きたのかとか、1929年の世界恐慌ではどうだったのかとか、ちょっと歴史を振り返ればいいわけです。もっと長期の時間軸を持った人なら、アメリカ中心の世界のバランスが崩れていくのだから、かつて大英帝国がどう衰退していったのかとか、ローマ帝国がどう興り滅びていったのかといったことを振り返るでしょう。

単純に言えば、今日の新聞を、普段読み慣れている歴史小説に当てはめて読めばいいのです。

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状況に応じて「レンズ」を使い分ける

─ では、チームの思考力を鍛えるにはどうすればよいのでしょうか。

MBAで習うような戦略論を勉強しなければと考える人が多いのですが、学問になっているものは過去の出来事を後講釈で定石化したものなので、そこから新しい発想が導き出されるわけではありません。定石を超えた発想をするためには、これまでの枠を超えたモノの見方を身につけることが必要です。

例えば、普段眼鏡を掛けている人も、遠くを見るときには望遠鏡を使うでしょう。手元を見るときは老眼鏡に掛け替え、もっと近くを見るなら顕微鏡……というように、人は見るべき範囲を変えるために「レンズ」を掛け替えています。

思考力も同じです。使い慣れたレンズだけでなく、ほかのレンズに掛け替えることで、今まで見えていなかった様々なことがはっきりと見えるようになるのです。

私は、自著『戦略「脳」を鍛える』の中で、思考のレンズの使い方を9通りに分類していますが、まずは、企画に携わるメンバーに「自分には使っていないレンズがある」と明確に意識させることです。そして、メンバーの一人ひとりが使うレンズは二つでも三つでもいいので、全員足せば9通りのレンズがそろうようにすると、チームとして今までの枠を超えたユニークな発想ができるようになります。

そこに長期の時間軸を持ったリーダーが方向付けをしたり、刺激を与えたりすれば、その思考力の組み合わせは勝ちパターンへとつながるはずです。

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大切なのは「柔らかい頭」と「明るい文化」

─ そうして戦略を練ったり、実行したりするときに大事なことは何でしょうか。

「柔らかい頭」と「明るい文化」です。冗談が飛び交い、突飛なアイデアでも言いやすい雰囲気があれば、発想も柔軟になりますし、自分で考えられるようになった人は自ら行動を始めます。明るい組織文化が築けていれば、大抵のことは乗り切れるものです。リーダーには、自分自身がどう柔らかくなるか、部下が凝り固まっているときにどう柔らかくするか、これを常に考えていただきたいですね。

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