部下を「キャスティングする」という発想

  1. NTT西日本 公共・法人HOME
  2. 最適経営のヒント
  3. 著名人が語る
  4. 部下を「キャスティングする」という発想
写真:木村 政雄
社員の“賞味期限”はこう延ばす 2006年7月
木村 政雄/フリープロデューサー 元・吉本興業常務取締役
人気漫才コンビ「やすきよ」のマネージャーを務めるなど多くのタレントを売り出してきた木村政雄氏。組織における人材育成でも、単に上司としてではなく、プロデューサーとして全体を俯瞰し、本人たちが気付いていない魅力や才能を引き出すようなキャスティングを行うことが必要だと説く。

PDFダウンロード

プロフィール

1946年京都府生まれ。69年同志社大学文学部社会学科新聞学専攻卒業、吉本興業(株)入社。
横山やすし・西川きよしのマネ−ジャ−を8年半務めた後、東京事務所をはじめ吉本興業の全国展開を推進。漫才ブームの火付け役となり、多くのタレントを世に送り出す。
89年「吉本新喜劇」再生プロジェクトを指揮。97年常務取締役。
2002年個人事務所を設立し、教育事業・エンターテインメント事業を展開。京都精華大学理事、法政大学大学院客員教授のほか、団塊の世代向け雑誌「5L(ファイブエル)」を創刊し編集長を務める。
近著「50歳力〜不安をワクワクに変える知恵」(大和書房)。

主な著書

写真:主な著書

”金魚鉢”を少しずつ大きくして”賞味期限”を延ばす

―部下の能力の鮮度を高めるにはどのようにすべきだとお考えでしょうか。

与える仕事のグレードを徐々に上げていくことです。投手にたとえれば、最初は敗戦処理、次に中継ぎ、そして先発というように、勝負の土俵を段々と格上げし、少しずつ難しい仕事に挑戦させていくのです。金魚鉢を一回りずつ大きくしていく、と言ってもいいでしょう。稚魚をいきなり大海に放流しても育ちませんから、日ごろから部下をよく観察し、チャレンジさせるタイミングを見極めることも重要です。

仕事の割り振りは「キャスティング」と同じです。人事関連の業務は守りの仕事と思われがちですが、キャスティングだと言えば発想も随分と広がるでしょう。

部下を育てるためのキャスティングを行うには、日々の仕事に追われがちな部下に、3年先、5年先にはどこへ行きたいのか、何をめざすのかという中長期的な目標を持たせ、その目標を実現するための戦略を一緒に立ててあげることが必要です。そして、今よりも一つ上のステージへと引き上げるためのチャンスをどう与え、いかにモチベーションを高めていくかに知恵を絞るべきです。

PAGETOP

”牧場型”のマネジメントでモチベーションを高める

―モチベーションを高める秘訣は何でしょうか。

可能性を発揮しやすい土壌を作ってあげること、これに尽きます。そのためにはまず、マネジメントの手法を変えるべきでしょう。

現在の日本では、学校の校則のように、社則などの規則を作り、あれもダメ、これもダメだと縛る「やっちゃダメ」の文化がまん延しています。厳しくルールを決めてしまうと、いろんな可能性までも縛り付けてしまい、組織内で個人を生かすことはできません。一から十まで動き方を決められていたのでは、自分の頭で考える人材は育たないでしょう。もちろん会社としての確固たるミッションは必要ですが、それ以外の規則はできるだけ緩くすることが、組織のキャパシティを広げることにもつながるのです。

吉本興業は実にルールの少ない組織でした。私は「牧場型の管理」と呼んでいますが、吉本興業は牧場なんです。しかも柵はとても低く、ほぼ自由に出て行けます。でもみんな帰ってくる。それはそこの草がおいしいからです。草とはギャラだったり、評価だったり、夢をかなえるためのチャンスだったり…。そういう草がいっぱい生えているのです。組織は、個人にとって夢などの自己実現欲求を満たすためのインフラであり、経営者の役割はその基盤を整備し、社員が活躍できるステージを用意することでしょう。

そもそも私は、人を育てることなど実は無理だと考えています。育つための環境を整えてあげればいいのです。植物だって、いくら人が引っ張っても成長するわけがなく、できるのは育ちやすいような土壌や肥料や水といった環境を用意することだけで、あとは植物が自分の力で成長していくのです。

PAGETOP

キャスティングは上司からの最高のメッセージ

―部下の長所を引き出すにはどうすべきだとお考えでしょうか。

人間の持つ能力には基本的に差はなく、すべてが個性であり、成績の差は、どれだけ一生懸命頑張ったかの違いなんだと思います。

本人が短所と思っていること、ダメとか欠けているとか言われている部分にこそ、実は意外な可能性が隠れていたりします。それらはハンディキャップではなく、ウリにすることもできるんだという気持ちを持たせてあげることが大切です。吉本のタレントはそんなたくましさを持った人ばかりです。

うまくいっていない部下には、少しグレードを下げた易しい仕事を与え、成功体験を作ってあげることです。成功する喜びを知らない人は不幸です。一度成功して人に認められると、自信が湧き、再び達成感を味わいたくなります。上司は、部下がそうした経験をできるだけ多く積めるように配慮すべきです。

人は誰でも自分の存在を認めてほしいんです。お金でも地位でもない。その人の存在を認めてあげることこそが、モチベーションを高めます。その意味からも、キャスティングは「君のことをちゃんと見ているよ」という上司からの熱いメッセージとなるのです。

PAGETOP
PDFダウンロード

本内容はPDF形式でもご覧いただけます。上記「PDFダウンロード」ボタンよりファイルをダウンロードの上ご覧ください。

Adobe(R) Readerをお持ちでない方は、左のバナーをクリックしてダウンロードしてください。

※お客様がご利用しているOS及びアドビリーダーのバージョンにより、レイアウトが崩れるなどの事象が発生する場合があります。

本ホームページに掲載されている会社名、商品名は一般にメーカー各社の登録商標または商標です。
本ホームページの無断転載、引用はお断りいたします。

PAGETOP

審査 16-2826-1

Copyright(C) 1999-2017 西日本電信電話株式会社
バックナンバー RSS