今日からできる!「すごい会議」の開き方

  1. NTT西日本 公共・法人HOME
  2. 最適経営のヒント
  3. 著名人が語る
  4. 今日からできる!「すごい会議」の開き方
写真:大橋 禅太郎
経営とそれに伴う成果もアップグレード 2006年2月
大橋 禅太郎/マネジメントコーチ株式会社 代表
19期連続増収増益を続けるトリンプの早朝会議が注目を集めるなど、企業における会議のあり方、そして重要性が見直されている。しかし多くの会議は“ムダな議論”に終わっているのが現状。確実に成果を生む会議を開くにはどうすればいいのか。今日からすぐに実践できる「すごい会議」の開き方を紹介しよう。

PDFダウンロード

プロフィール

1964年宮城県生まれ。東京理科大学卒業。
26歳で石油採掘現場で貯めた1,000万円を元手にビジネスをスタート。98年インターネット上のマーケティング会社「ガズーバ」を米国の投資家から10億円以上の資金を集めて設立。2001年同社を売却。
その過程で出合った「すごい会議」のやり方を同年から日本で実施中。12カ月間に8回の会議コーチングで1,050万円という価格にもかかわらず多くの企業が採用。これまでにリクルート、ニッセン、三菱重工、IBMビジネスコンサルティング、電通国際情報サービス、ネットプライス、オプトなど約70社を手がける。
著書に『ガズーバ!』(インプレス)『バイラルマーケティング』(翻訳:翔泳社)『すごいやり方』(扶桑社)『すごい会議』(大和書房)『すごい起業』(ランダムハウス講談社)。

あなたは何を築きたいのか?

「日本一のインターネット会社」「北九州一のパソコンショップ」「日本一『イケてる』レストラン」―。「自分は何を築きたいのか?」。この質問を自分自身にしてみて、まずは5秒で答えてみる。このとき重要なのは、正解を探すのをいったんやめて、自分の直感に答えさせることだ。将棋や囲碁やチェスの選手がよく言うのは、5秒で指しても、長考して指しても、指し手は8割以上同じであるということ(上手な人でも下手な人でも)。まずは5秒で出せる答えを出してみて、それからじっくり考えたかったら考えればいい。

この質問に答えられる経営者やマネージャー(マネージャーも一つの組織の経営者だから、以後「経営者」と言ったらあなたのこと(社長でも係長でも)と捉えて読んでいただければ、このエッセイをより味わえます)と、そうでない経営者とでは、他の条件が同じならば成果にはっきり差が出る。

日々の意思決定の「ナビ」を持っていると「曖昧さの中で前進する能力」が高まる

新製品の仕様をA案にするかB案にするか。新人の採用をA君にするかB君にするか。マーケティングやセールスの方法にA・Bどちらを採用するか―。それらの日々求められる意思決定では、「自分が何を築きたいのか」がはっきりすれば、「僕が築きたいものを達成するにはA案!」というのが明らかになりやすい(またはAもBもどちらもダメで、C案を作らなければ前進しないことが明らかになる)。

つまり経営をする上での羅針盤(今で言うところのナビ)が手に入る。これにより自分自身が意思決定をしやすくなるだけでなく、自分の部署(または会社)のメンバーも意思決定がしやすくなる。

意思決定の面白いところは、意思決定をする時点では何が正解か分からないところである。どちらを選んでも成功も失敗もする可能性がある。不確定要素が多い日々のビジネスの中で(そしてこの5年ほど、ビジネス環境の変化のスピードが速くなり、不確定要素がどんどん増えている)意思決定をする方法は、学校では教えてくれない。不確定要素のある中で前進する能力、つまり意思決定の能力が高まると、経営者(あなた)の経営能力が高まる。

「何を築きたいのか」を明確化すると経営能力が向上

意思はより明確であるほど良い

東北のある会社の社長との話。その社長に「3年後にビジネスでどんなことを達成していたいですか?」と質問をしたら、「マーケットシェアを30〜33%取りたい(現在27%)」とおっしゃった。

僕はすかさず「僕が経営幹部だったら、そんな幅のある言い方では今週(通常の業務をこなす以外に)何をすればいいか分かりません」と言った。「シェアが30%でも33%でも(またはどんな数字でも)具体的な数値を決めていただければ、それを達成するには今年どんな結果を出して、そのためにはこの四半期にどんな結果を出せばいいかが分かります」と言ったら、社長は「いや、がんばれば30%はいく。でもそれでは面白くないから、ストレッチ(背伸び)した 33%も目標にしたい。だから特定の数字は指定しづらい」と言う。
そりゃーしづらいだろう。なぜならそれこそが経営上最も重要な意思決定だからだ。

僕の言っていることは簡単なことではない。ただ、経営上その意思決定を先延ばしにしている会社と、今まさにその3年後の明確なゴールに向かって進んでいる会社とでは、3年後の差が全く違う。

結局その社長は10日後に「34.2%にします!」と決めてそれを発表し、それをどう実現するかを幹部と詰めた。結果、その四半期に今までで最高のシェアを獲得した(もちろんその後も成長中)。

成功は、まずはあなた自身の「経営者としての意思」(いつまでにどこに行くのか)をはっきりさせるところから始まる。居合い抜きで言うところの「勝負は鞘の中」、つまり会議をする前に勝負はある程度決まっている。では、その意思を実現するための会議にインパクトを与えるにはどうすればいいだろうか?

PAGETOP

すごい会議のやり方

経営遂行の唯一の手段は「話すこと」と「聞くこと」

(読むことと書くことも含めて)話すことと聞くこと。これが経営を遂行する唯一の手段であることが、あまり認識されていない。されていたとしたら、もっと、この経営の唯一の遂行手段に対して関心を持つだろう。

その話すことと聞くこと、これを行う場所の一つが「会議」である。会議が「すごく」上手になれば、経営に大きなインパクトをもたらす。僕が日々やっているのは、このとてもシンプルなことをお客さんの会社の中で実現すること。すなわち「すごい会議」が行えるようにすることだ。ここからは与えられた誌面の中で可能な限り、皆さんが今日から実際に使い始められる、経営にインパクトを与えるすごい会議のやり方をご紹介しよう。

今日の会議から出席者全員に意見を発表させる方法(1)

昨年、とある社長から「うちでも『すごい会議』ができるようにしたい」と依頼された。その社長は僕のお客さんから「禅太郎さんが来てから、参加者全員が意見を発表するようになった」と聞いたのだという。僕は「えっ?そんなことに価値があるの?」と思ってしまったが、多くの会社ではそれは切実な問題なのだろう。

なぜ僕が「そんなこと」と思ったかというと、あまりにも簡単に解決できることだからだ。もし単に会議で「全員に発言させたい」だけなら、最低8回1050万円のコーチ料なぞ払わなくても、今日からあなたの会社で実現できる(やり方は後述)。

経営資源や社員の能力をすぐに変えられないのであれば、プロセス(方法)を変えてみる

いかりや長介が「8時だヨ!全員集合」で毎回やっていたプロセスがある。それはスタート時に必ず「おっす!」と言って、会場から「おっす」と言われたら、「声が小さい!もう一度、おっす!」とやり直すことだ。これによって、彼は会場との一体感を毎回より確実なものにしていったと僕は認識している。

これと同じように、会議においてもネタ、すなわち「プロセス」をアップグレードすると、成果に差が出やすい。

プロセスのおいしいところは、いったん参加者として経験すれば、自分でも同じようにまねができるところだ。実際、僕のセミナーで、参加者に「いかりや長介のやっていたあれ、やってください」と言うと、ほぼ全員ができる。彼らは長介さんからコーチングやコンサルティングを受けていたわけではない。ただテレビ越しに参加者として体験しただけなのに、30年以上経った今でも、ほぼ全員が「司会者」として同じことをやることが可能だ。

もちろん長介氏の個人的魅力や才能に依存している「コント」の部分については、すぐにまねすることは難しい。同様に、自社の経営資源や社員の能力をすぐに変えることも難しい。であれば、まずは誰でもまねのできる「プロセス」を会議に導入すればいい。そうすれば参加者は、今度は司会者としてそのプロセスを自分で使うことができるようになるのだ。

とても残念なこと

しかし、とても残念なことがある。それは僕がいくらプロセスを提示しても、実際に「やらなければ」何も効果が出ないということだ。新しいやり方を採用するには、ある程度の勇気とガッツがいる。僕が本誌の編集者と約束したのは「確実に成果の上がる会議のやり方」を紹介することだ。この誌面でこれから紹介していく方法を実際にやってみれば、本当に、会議の成果に(かなりの)差が出る。読んで納得するだけというのは僕にとって最悪だ。ぜひ皆さんに、今日から、遅くとも次回の会議から試してもらいたい。

今日の会議から出席者全員に意見を発表させる方法(2)

今日の会議から出席者全員に自分の意見を発表させるためのプロセスはとても簡単。「質問をして、その答えを全員紙に書いてから発表してもらう」

例えば「どのようにすれば次期製品の売り上げを伸ばすことができるか?」と質問して、2〜3分与える。そして全員、紙に書いてから発表してもらう。以上。それだけ。

紙に書いてから発表することのメリットはなんだろうか?まとまる、記録に残る、再認識できる、いろいろあるが、最大のメリットは「書いているときは他人のアイディアが見えない」ということだ。紙に書かずに一人ひとりに発表してもらうと、4人目ぐらいから「僕は○○さんと一緒なんですけど…」となることが多い。まず紙に書くというプロセスを導入すれば、他の人の意見が聞こえないから、自分の考えで書くことが求められる。

答えを紙に書いてもらったあとは、決められた時間が来たら一人ひとり発表してもらう。以上。これだけ。

このプロセスを取り入れることで、出席者は人の意見を気にすることなく、自分の意見を発表することができる。一人の意見で会議が動くのではなく、みんなの意見が平均的に出てくるようになるのだ。

全員に自分の意見を発表させる方法

本気になるプロセス

ブログで「すごい会議」に関する記述を検索していたら、「紙に書いてもらってから発表させたら、全員(いつもと違って)眠そうにしてなかった」というのを発見した。そのとおり。社員の能力を一切変えることなく、プロセス(書いてから全員発表する)を変えただけで、「雰囲気」が変わったのだ。

人間、本気でやっているときの方が実は気持ちがいい。だったら本気になる傾向が強いプロセスを導入した方が、会議の雰囲気が良くなるし、成果も出やすい。まずは、この「書いてから発表する」プロセスを今日、遅くとも次回の会議で実際にやってみてほしい。うまくいったら、ほかにもたくさんあるプロセスについても導入してみることをお勧めする。

うまく質問の答えを引き出す2つのコツ(その1つめ)

質問の答えを引き出すための最も重要な2つのコツを紹介してみよう。1つめは、質問を「どのようにすれば」の形で表現することだ。会社の問題が「会社が面白くない」ことだったとしよう。多くの会議では、「なぜ会社が面白くないか?」という質問をしている。この「なぜ」という質問が多くの場所で使われている。例えばあなたの部下が何かヘマをしたとしよう。多分あなたの口からは「どうしてそんなことになったの?」という「なぜ」型の質問が出てくる。これは経営者に限らず、日曜日の混雑した繁華街で母親が、子どもがヘマをしたときに「なんでそんなことをするの?」と不必要にしかるのとおんなじだ。僕も余裕がなくなってくると、娘に「なんでできないの?」とつい言ってしまうことがある。そこで、「なぜ」型ではなく、「どのようにすれば」で始まる質問にしてみるとどうなるか。「どのようにすれば会社が面白くなるだろうか?」

A. なぜ会社が面白くないか?
B. どのようにすれば会社が面白くなるだろうか?

AとBは同じ問題からスタートしたのだが、質問される側には全く違う意味をもたらす。Aで質問すると、一般的には「できない理由」が返ってくる。Bで質問すると、未来の可能性やアイディアが返ってくる。

さらに、Bにちょっとした「これが起こったら最高だな!」という形容詞を入れて「Cバージョン」を作ってみる。難しかったら、最初は「日本一」とか「世界一」という形容詞で構わない。ある会社のマネージャーが実際に作ったCバージョンは

C. どのようにすれば渋谷一魅力的な会社が築けるだろうか?

という文章だ。僕が社員だったとしたら、「C」の質問をされると、ワクワクする。

某巨大百貨店の社長とこの話をしていたら、突然大きな声を上げて、「おー、今までできない理由が返ってきていたのはこのせいか!明日の朝礼から変えよう!」とおっしゃった。このやり方はほぼすべての経営課題について使える。(図参照)

コツその1
「どのようにすれば」で始まる質問文を作る。(余裕があれば、それに魅力的な形容詞を付ける)

うまく質問の答えを引き出す2つのコツ(その2つめ)

料理と同じで、同じレシピで作っても、センスで味に差が出てくる。ここまでは純粋なプロセス(やり方)だったが、2つめのコツでは少々センスが求められる。それは「相手が言ったことを、まずは無判断で、そのまま聞く」。
僕がセミナーで、「では他の参加者と2人組になって、お互いこの質問をして、答えを聞いてください」と指示を出すと、参加者は多少の心理的抵抗を感じるようだ。人に何かを発表するというのは、別に大した内容でなくても、誰でも何かしらの抵抗があるのだろう。セミナーでさえそうなのに、自分の評価者でもある上司が目の前にいる状態で、「さあ、自由に発表してくれ」と言われても、なかなか難しい。
というのも、皆、多かれ少なかれ、「自由に発表して痛い目に遭っている」のだ。

昨年、電車の中で幼稚園児が、かなり大泣きをしながら、母親に怒られていた。「コンビニに行くたんびに、たまごっち買えるわけないでしょ!」。多分その子どもは、自由に「たまごっちを買ってくれ」と主張したのだと思う。なのに、彼にとって人類の代表者である母親に、こんなにひどく傷つけられる結果となった。「自由に発表すると傷つけられる」ことは、年を追うごとにひどくなる傾向が強い。ましてや自分の母親よりもわがままが通りそうにない上司に向かって「自由に発表」したら、ひどく傷つけられるかもしれない。
別に僕はその母親が悪いと言っているわけではない。母親も子どももそれぞれ立場・考え方・成功体験が違う。自由に主張し合うだけでは折り合いは付かない。それは経営や会議の場面においても同じことだ。

そこで、もしも部下が(コンビニに行くたびに)「たまごっちを買ってくれ」と言ってきたら、まずはその主張を怒らずに聞いてあげる。買うか買わないかは後でゆっくり判断すればいい。会議の参加者に、彼の主張が立場・考え方・成功体験の違う上司によって「しっかり聞かれている」という状況を体験をしてもらうことが重要なのだ。親(経営者)が子ども(社員)の主張をしっかりと受け止めていれば、子どもは「自信を持って育つ」。

相手の言うことが、自分の考えとは違うと思ったら、「その人の意見ではそうなんだな」と自分に言い聞かせてみるといい。そうすれば、自分とは異なる意見であっても落ち着いて聞くことができる。
(「うーん、そんなに簡単じゃないでしょ」と反応したあなた。「この著者の意見ではそうなんだな」です)

コツその2
相手の意見は「その人の意見ではそうなんだな」と自分に言い聞かせてまずは聞いてみる。

まずは判断せずに聞く

PAGETOP

まずは一歩目を!

最初に僕が質問した「あなたは何を築きたいのか?」。その目標の実現を促すための会議のコツはまだまだある。まずはここで紹介した1つの方法と2つのコツ、すなわち

▽「書いてから発表する」
▽「『どのようにすれば』で始まる疑問文で投げかける」
▽「まずは判断せずに聞く」

を実際に試してみてほしい。

何もしなければ当然、何も変わらない。読んで納得したとしても、それを実行しなければ昨日と何も変わらないのだ。成功へと近づくために、まずは一歩目を踏み出してほしい。

PAGETOP
PDFダウンロード

本内容はPDF形式でもご覧いただけます。上記「PDFダウンロード」ボタンよりファイルをダウンロードの上ご覧ください。

Adobe(R) Readerをお持ちでない方は、左のバナーをクリックしてダウンロードしてください。

※お客様がご利用しているOS及びアドビリーダーのバージョンにより、レイアウトが崩れるなどの事象が発生する場合があります。

本ホームページに掲載されている会社名、商品名は一般にメーカー各社の登録商標または商標です。
本ホームページの無断転載、引用はお断りいたします。

PAGETOP

審査 16-2826-1

Copyright(C) 1999-2017 西日本電信電話株式会社
バックナンバー RSS