1.3 認定業務の変遷

 「1.2 端末機器開放の歴史」で述べたように端末機器はいくつかの段階を経て自由化されてきたわけだが、自由化されたからと言ってどんな端末でも自由に接続して良いわけではない.その端末機器が交換機等の電気通信回線設備に悪影響を与えない、漏話等で他の利用者に迷惑をかけないなど、必要最低限のルールを遵守していることが必要不可欠である.そのルールが第3章で詳述する技術基準等(技術基準と技術的条件)である.
 電電公社が民営化された1985年以前は電気通信事業者は電電公社以外存在していなかったので、利用者が自分で設置する自営端末が技術基準等に適合しているか否かの認定業務は電電公社が一元的に行っていた.この電電公社が行っていた認定は図表1.3に示すように、大量生産品を対象とした「型式認定」および試作品、特注品等少量端末機器を対象とした「個別認定」の2種類に大別できる.
 新生NTTが誕生した1985年以降は、競争電気通信事業者としてNCCが登場してきたのでNTTのみで端末機器の認定を行うことは公平、中立の観点より望ましくなくなった.そこで郵政省は財団法人電気通信端末機器審査協会(JATE)を国内の共通認定機関として設立した.ただし、JATEで行う認定業務は原則として大量生産品を対象とした型式認定業務であり、特注品、試作品など数量があまり出ない端末機器の認定業務は各第一種電気通信事業者に委ねることとなった.なお、この際、同じ「認定」という言葉でJATEの業務も第一種電気通信事業者の業務をも示すと混乱するので第一種電気通信事業者が行う技術基準等適合確認業務を「検査」と呼び両者を区別することとした.


図表1.3 端末の設定/検査の現状

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