平成16年2月3日
(報道発表資料)
西日本電信電話株式会社
国立遺伝学研究所


世界最大の国際DNAデータバンクと
フレッツユーザのパソコンを利用した
「グリッド」技術の共同実験について



 西日本電信電話株式会社(大阪市中央区、代表取締役社長:上野至大、以下 NTT西日本)と国立遺伝学研究所(静岡県三島市、所長:堀田凱樹、以下 遺伝学研究所)は、ネットワークに接続された複数のコンピュータを連携させ、高速で大規模な計算処理を実現する「グリッド」技術を用いて一般家庭のパソコンの余剰能力※1を活用し、大規模なデータベースに接続し、情報解析研究に応用することの有効性やセキュリティ等の検証を行うための共同実験を実施します。
 なお、実験においては、一般のNTT西日本フレッツユーザの協力を広く公募し、家庭用パソコンの余剰能力を通信ネットワークを介して集約することによって仮想的な超高性能コンピュータを実現し、遺伝学研究所が所有する世界最大の国際DNAデータバンク、日本DNAデータバンク(DDBJ)※2の公開用データベースをその仮想コンピュータに展開し、データベースへの高速なアクセスと検索アプリケーションの動作実験を行います。


1.実験の目的

 多数の家庭用パソコンにおける余剰能力を通信ネットワークを介して集約し、仮想的な超高性能コンピュータのように利用可能とする技術として、近年注目されている「グリッド」技術があります。NTT西日本のフレッツユーザから提供される家庭用パソコンの余剰能力に「グリッド」技術を適用し、遺伝学研究所のDNAデータバンクを用いた生命情報解析研究に必要なアプリケーションの高速化やセキュリティ保護技術および流通するデータの分散・管理方法等の検証を共同で行うことを目的としています。また、生命科学研究におけるバイオインフォマティクス※3という新分野の研究を促進させるとともに、病気遺伝子の発見や新薬の開発などに寄与することを目的としています。


2.実験の概要

 NTT西日本営業エリアのBフレッツ、フレッツ・ADSLユーザを対象に、本実験へのご参加を募集いたします。「グリッド技術」により、参加者が使用しているパソコンのCPUやディスクといった余剰能力を通信ネットワークを介して集約し、仮想的な高性能コンピュータを実現します。
 「グリッド」技術の中でも、特に分散配置されたデータを柔軟に利用できるデータグリッド技術を活用し、この仮想的な高性能コンピュータ上、すなわち各々のフレッツユーザのパソコン上に遺伝学研究所が一般に公開しているDNAデータベースを展開します。生命科学の研究者などが遺伝学研究所のDDBJを通して、未知の遺伝子の類似性や様々なDNAデータ活用アプリケーションを利用した相同性検索※4を実験上で行うことができます。(実験システムの概要は別紙1

(1) 実験期間
 平成16年2月中旬から4月末までの予定

(2) 実験内容
<1> インターネット上に公開する「DNAデータ検索サイト」で受け付けたDNA塩基配列/アミノ酸の相同性検索処理を、一般家庭のパソコンのCPU等の余剰能力を利用して解析します。
<2> 遺伝学研究所の保有するDNAデータベースを一般家庭のパソコンに分散して保存し、実験参加者間で解析に必要となるDNAデータを流通させて解析処理を実行します。


3.解析テーマおよび利用方法

 今回実験に利用する解析テーマは、遺伝学研究所が保有する既知のDNA配列やタンパク質配列の相同性検索であり、これをインターネット上のホームページで相同性を確認したい研究者および企業に無料で公開します。相同性を確認したい研究者等は、公開されたデータを次の2種類の方法で利用できます。

【オンデマンド型】
 相同性を確認したいデータを投入した時点でのデータベースとの相同性を検索するもので、解析終了後直ちに利用者に結果を回答します。

【待ち伏せ型】
 相同性を確認したいデータを投入しておくと、日々更新されるデータベースに対して定期的に相同性を検索するもので、有意性が認められる結果が得られた場合にのみ利用者に結果を回答します。


4.リソース提供モニターの募集
 NTT西日本営業エリアでBフレッツおよびフレッツ・ADSLユーザから、本実験に参加いただけるモニターを3,000名程度募集します。(募集の詳細は別紙2

「グリッド共同実験」ホームページ: http://www.bioathome.jp/



※1 CPU、ディスクに代表される計算資源や情報資源などのうち、ユーザが使用していない資源(リソース)のことです。
※2 DNA Data Bank of Japan。日米欧が共同で構築した三大国際DNAデータバンクの一つで、静岡県三島市にある遺伝学研究所生命情報・DDBJ研究センターで運営されています。
※3 生命現象を「情報」の立場で解明していこうとする研究のことです。
※4 遺伝子やタンパク質のデータベースに対して、新しい配列と生物学的に近い配列を検索して機能や構造を推定する手法。本実験では、BLAST(Basic Local Alignment Search Tool)という一部分でも高い類似性を示す配列を見つけ出すアプリケーションを提供します。



【別紙1】実験システムの概要
【別紙2】リソース提供モニター募集について


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