平成12年3月23日
(報道発表資料)
三重県教育委員会
西日本電信電話株式会社
株式会社学習研究社
株式会社ジャパンハイテクサテライトネットワーク
NTTソフトウェア株式会社
株式会社NHKエンタープライズ21


光ネットワークを活用した学校教育に関する
共同実験の開始について



 三重県教育委員会(教育長:中林正彦)、西日本電信電話株式会社(以下NTT西日本、本社:大阪府大阪市中央区、代表取締役社長:浅田和男)、株式会社学習研究社(以下学習研究社、本社:東京都大田区、代表取締役社長:小松敏郎)、株式会社ジャパンハイテクサテライトネットワーク(以下JHS、本社:東京都港区、代表取締役社長:井戸田勲)、NTTソフトウェア株式会社(以下NTTソフトウェア、本社:神奈川県横浜市中区、代表取締役社長:鶴保征城)及び株式会社NHKエンタープライズ21(以下NHKエンタープライズ21、本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:酒井治盛)は、インターネット接続に光ネットワークを活用している三重県内の学校を対象に、三重県教育委員会が整備した「三重県教育ネットワーク」*1内において、NTT西日本が提供する各種教育用アプリケーションと、学習研究社、JHS、NTTソフトウェア及びNHKエンタープライズ21が提供する動画・静止画等の学習素材や教材を利用し、光ネットワークを活用した学校教育に関する学習効果等を検証する共同実験を平成12年3月27日より開始します。


1.背景

 全国の小中学校では平成14年度、高等学校では平成15年度からコンピュータ等の情報手段の活用を一層推進した新学習指導要領*2が正式に施行されることなどに併せ、「教育の情報化」が急速に進展することが予想されます。
 三重県教育委員会では、この「教育の情報化」に対応するために、「三重県教育ネットワーク」の構築をはじめとする県内の学校におけるインターネット環境整備や国の補助事業等を積極的に取り入れた教育を実施しています。
 その一環として、光ファイバー指定校*3である県立桑名北高等学校、県立伊勢工業高等学校、県立木本高等学校では、授業においてインターネットを使った各種情報検索やメールを使った学校間交流等を実施し、光ネットワークによるインターネット活用の在り方に関する研究に取り組んでいますが、新学習指導要領の施行に向けた新しい学習方法の創出を目的に、学校教育における高速・大容量の光ネットワークのより有効な活用方法について、各実験参加機関と検討してきた結果、今回の共同実験を実施することとなりました。


2.実験の概要

 情報教育に関する有識者や教育機関等の先進的な研究成果、教育現場の生の声、動画等の学習素材や各種教育用アプリケーション等の企業のリソースを融合し、本共同実験に効果的に反映させるため、岐阜大学の加藤直樹助教授(同大学教育学部附属カリキュラム開発研究センター)を中心に本実験参加機関で構成する推進委員会を発足させ、産学協同により実施します。

(1) 具体的な取り組み内容
 各種教育用アプリケーションや学習素材等をインストールしたサーバを「三重県教育ネットワーク」の基幹網に設置します。各学校がネットワーク(専用回線)を経由してこのサーバへアクセスし、各種学習素材等を活用することにより、国語、理科、社会等の「教科学習」はもとより、新学習指導要領で新設される教科である「情報」や「総合的な学習の時間」等に向けた具体的な取り組みとして新しい学習モデルを創出し、その効果等についての検証を行います。

【サーバで提供する主なアプリケーション】
ビデオライブラリシステム(仮称)*4・・・ 動画を中心とした各種学習素材を提供します。
教育用グループウェア*5・・・ 学校間等での情報共有を図ります。
電子教育システム*6・・・ ホームページ上で演習問題を提供し成果把握や成績管理を行います。


【学習方法(例)】
学習方法や教材に関する情報を教育用グループウェアのデータベースからダウンロードし、内容を確認した上で、ビデオライブラリシステムから必要な動画・静止画教材をキーワード等により検索して、学習に使用します。
教育用グループウェアの会議室機能等を利用し、同一テーマを学習した他校の生徒と意見交換します。
電子教育システムを利用し、動画素材で学習した内容について簡単な試験を行い、学習成果を確認します。

(2) 実験で検証する主な項目
動画等を活用した学習の効果についての検証
掲示板、メール等のコミュニケーションツールを活用した双方向学習の検証
動画システムを効果的に活用するために必要不可欠なネットワーク環境の検証


3.各実験参加機関の役割

<1>三重県教育委員会
 動画素材等の学習素材や各種教育用アプリケーションを活用した学習を通して、各アプリケーション及び学習素材等の効果に関する検証と評価を行います。また、高速・大容量の光ネットワークの学校教育における有用性について実証します。

<2>NTT西日本
 学校教育においてネットワークを利用した教育用アプリケーション(ビデオライブラリシステム、教育用グループウェア、電子教育システム)を提供し、これらの運用及び技術支援を行います。また、ネットワーク通信サービス企業として、高速・大容量の光ネットワークの特性や特徴等のノウハウを活かした利用方法等を提案します。

<3>学習研究社
 伊勢物語等の古典文学シリーズや地球環境の現状を捉えた環境映像資料シリーズ等の動画・静止画素材を提供します。

<4>JHS
 バイオ・通信・コンピューター・宇宙等の国内外の最新技術・新製品・先端企業・大学等の様々な情報を日本語・英語の2カ国語で紹介した映像ニュース(動画素材)として提供します。

<5>NTTソフトウェア
 遠隔学習を実現する電子教育システム上で利用する、TOEIC、パソコン検定等の資格取得に向けた通信教育教材を提供します。

<6>NHKエンタープライズ21
 ドキュメンタリー映像素材等の提供を行うとともに、映像素材等を配信する際の技術的支援を行います。また、映像素材等を活用した具体的な授業での利用方法等を提案します。


4.実施期間

平成12年3月27日〜平成12年12月31日


5.今後の予定

 当面は、実験推進委員会を中心に光ファイバー指定校である桑名北高校、伊勢工業高校、木本高校の3校において実験に取り組みますが、順次、「三重県教育ネットワーク」に接続する他の小・中・高等学校を交え、種類の異なる学校間でのネットワークを活用した学習方法や、光ネットワークとISDN等の異なるネットワークを利用した場合の学習効果等の検証についても取り組んでいきます。



[用語解説]

*1 三重県教育ネットワーク
三重県教育委員会が、学校におけるインターネット環境整備を目的に、県内の学校、三重県教育委員会、三重県総合教育センターを結び構築した教育用のネットワークで、基幹部分は高速・大容量の光ファイバーで構成されています。平成11年3月に運用を開始し、現在は約320校の学校がこのネットワークに接続しています。

*2 新学習指導要領
地域や学校、児童の実態等に応じて、横断的・総合的な学習や児童の興味・関心等に基づく学習など創意工夫を生かした教育活動を行う「総合的な学習の時間」の新設、中学校技術・家庭科における情報に関する内容の必修化や高等学校における教科「情報」の必修化等、完全学校週5日制の下、「ゆとり」の中で「特色ある教育」を展開し、幼児児童生徒に自ら学び自ら考える[生きる力]を育成することを狙いとしています。小・中学校については平成14年度から全面実施し、高等学校については平成15年度から学年進行(平成15年度の1年生から順次)で実施されます。

*3 光ファイバー指定校
平成10年度の文部省補正事業「光ファイバー網による学校ネットワーク活用方法研究開発事業」(学校に高速・大容量である光ファイバーを利用した専用回線を敷設し、ネットワーク利用環境を整備することにより、学校教育における効果的なインターネット活用の在り方に関する研究を行う事業)において指定を受けた学校です。三重県内では、県立桑名北高等学校、県立伊勢工業高等学校、県立木本高等学校の3校が対象となっています。

*4 ビデオライブラリシステム(仮称)
動画等のコンテンツを効率よく運用管理するアプリケーションで、インターネット/イントラネットを活用したオンライン研修やプレゼンテーション資料配信用のシステムとして利用できます。主な特徴は、動画、静止画、テキスト等の複数の素材から構成される複合コンテンツの一括管理機能、各素材を格納するサーバへの素材自動分配機能、アクセス権設定機能等を提供します。また、動画素材の再生画面の一部を静止画として加工、表示したサムネイル表示によるグラフィカルなユーザインターフェースを採用しており、素材の内容を一見してイメージできる等、優れた操作性を実現します。

*5 教育用グループウェア
先生間、先生と児童・生徒間、家庭と先生間など、学校を中心としたコミュニティ内での情報流通を支援し、学校内の業務処理の効率化、情報共有や情報管理などを行う教育用アプリケーションです。主なサービスとして、「行事予定・スケジュール等のカレンダー機能」、「掲示板・会議室等のコミュニケーション機能」、「指導案、教材等を蓄積できるデータベース機能」、及び「施設・備品等の予約管理機能」等を提供します。

*6 電子教育システム
NTTが旧1社体制時に開発した、インターネット/イントラネットを利用して時間や場所の制約なく学習者の都合に合わせて効果的な学習を実現できる教育用アプリケーションです。平成12年2月1日よりNTTソフトウェアが「CALtutor」として発売しています。本システムは学習者がホームページにアクセスし演習問題に答えると、自動的に解答が分析され、即座に採点結果や正誤に合わせた問題解説、さらに適切なアドバイスを提供します。また、個人毎の正誤傾向や学習状況に合わせた追加問題やレベルを向上するための問題を提供するとともに、先生との質疑応答等のコミュニケーション機能も提供します。



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