駅伝日本一の座をかけて
37チームが激闘をみせた
NTT西日本が4年連続の出場を果たした第56回全日本実業団対抗駅伝競走大会(ニューイヤー駅伝)。ロンドンオリンピックイヤーとなる2012年は、高校、大学とトップレベルで活躍してきた選手が、実業団という厳しい環境の中でオリンピックの代表をめざして戦う舞台でもあり、例年以上の熱気が立ちこめました。
新春1月1日09時10分、号砲一下、37人の選手が一斉に群馬県庁をスタート。100キロにおよぶ激闘が幕を開けました。スローペースで始まった1区は、わずか1分16秒の中に37チームが密集するという異例の展開に。唯一外国人の出場が認められている「インターナショナル区間」と呼ばれる2区では、NTNのエドワード・ワウエルが脅威の18人抜きを演じ、沿道を沸かせました。続く3区は、注目のトヨタ自動車の宮脇千博とコニカミノルタの宇賀地強のライバル対決。双方とも区間新を更新する中、宮脇が6秒上回るコースタイムで区間賞を獲得しました。
区間18位の好タイムで
タスキをつないだ関戸(右)
そして、いよいよ各チームのエースが揃う最長区間「花の4区」へ。並みいるスター選手の中でも、別格の走りを見せた日清食品の佐藤悠基が区間新を叩き出すと、優勝候補の一角とされた日清食品が2位に浮上。5区でも勢いは衰えず、ついにトップに立つと、そのまま首位をキープして大会新記録でフィニッシュ。前回大会は終盤まで大混戦が続きましたが、今回は5、6、7区と順位変動がなく、最長区間の4区、そして上り坂が続く5区の走りが勝負を左右する結果に。スローペースでスタートした今大会でしたが、終わってみれば首位の日清食品をはじめ、2位のコニカミノルタ、3位の旭化成、4位のトヨタ自動車(前回優勝)の4チームが大会新記録を出すなど、オリンピックイヤーにふさわしい見応えのあるレースとなりました。
一方、関西の地区予選で前回に続き2位という好成績で出場したNTT西日本は、1区を終えて20位と好発進しながら、勝負の山場となる4区、5区で苦戦し、目標としていた25位にひとつ届かない26位(4時間58分51秒)でゴール。同じく関西地区から出場した大塚製薬が17位、佐川急便が18位に食い込む活躍を見せるなど、前回と比較して関西勢の勢いを感じさせる大会となりました。
区間20位の快走で
順位を2つ上げた山本
4年連続47回目の出場となるNTT西日本は、「25位以内」を目標に、エースの池田、中堅の加田、渡辺、若手の阿部、山本、関戸という前回大会に出場経験を持つ6人に、ルーキーの益田を加えたチーム構成で、ニューイヤー駅伝に臨みました。
1区を任された池田は安定した走りで20位と好発進し、チームの士気も大いに高まる中、2区のインターナショナル区間へ。外国人選手が半分以上を占めるにもかかわらず、加田が臆することなく堂々とした走りを見せ23位で、3区の山本にタスキをつなぎます。山本が区間20位の快走で順位を2つ上げて21位に浮上するなど、前半は良い流れを作ってきたNTT西日本でしたが、エース選手がひしめく最長区間4区では、阿部が健闘するも区間26位と苦戦し、25位へと順位を落としてしまうことに。上り坂が続く5区を任された渡辺も順位を1つ落として26位となります。
ルーキーながらも落ち着いた走りで
アンカーをつとめた益田(左)
6区では、関戸が区間18位となる力走を見せますが、順位を上げることはできず、アンカーの益田にタスキを託すことに。益田はルーキーながらも落ち着いた走りで区間21位の好タイムを叩き出し、26位のままフィニッシュ。目標にあと1つと迫る選手たちの激走に、沿道の声援もヒートアップ。選手の背中を押す力となりました。
応援団の前で
感謝の言葉を述べる橋部長
レース終了後、「皆さんの応援のおかげで、目標の25位にはあと少し足りませんでしたが、26位という好成績を納めることができました。これもすべて皆さんの熱い声援の賜物です」と感謝の言葉を述べた橋部長。続けて、「前半は良い流れを作ることができましたが、まだまだ課題も残るレースとなりました。しかし、このチームはこれで終わるチームではありません。これから1年間、さらに精進して、来年もう一回り大きくなって帰ってきます」と、力強く宣言しました。
レース後、来年へ向けての
抱負を語る清水監督
前回のレース後、「土俵に上がれなかった」と、悔しい思いを語った清水監督は、開口一番、「ベストな体調でスタートラインに立つことができた」と振り返った後、「前半はうまく流れを作ることができましたが、長い区間で課題が残るなど、新たな課題も見つかりました。力を出すことができ、前回よりも順位を上げたことで選手も自信を付けることができたと思います。これから1年かけて課題を一つずつクリアして、来年は20位から25位を狙えるチームにしていきたいと思います」と来年に向けての目標を明言。最後に、「沿道はもちろん、テレビで応援してくださった皆さん、たくさんの応援をありがとうございました。皆さんの応援の後押しがあったおかげで、目標に近い順位を残すことができました」と感謝の言葉で締めくくりました。
2012年の幕開けとともに開催された「ニューイヤー駅伝2012」は、1年間にわたる練習の集大成でもあり、新たに始まる1年のスタートでもあります。新たなスタートラインに立ったNTT西日本陸上競技部の選手たちは、きっと1年後にはもう一回り大きく成長した姿を見せてくれるはずです。今年1年の活躍をご期待ください!
区間 | 距離 | 選手名 | 区間順位 | 記録 | チーム順位 |
---|---|---|---|---|---|
1区 | 12.3km | 池田 泰仁 | 20位 | 0:36:16 | 20位(→) |
2区 | 8.3km | 加田 将士 | 22位 | 0:23:49 | 23位(↓) |
3区 | 13.6km | 山本 庸平 | 20位 | 0:39:51 | 21位(↑) |
4区 | 22.0km | 阿部 豊幸 | 26位 | 1:05:52 | 25位(↓) |
5区 | 15.8km | 渡辺 圭一 | 27位 | 0:48:09 | 26位(↓) |
6区 | 12.5km | 関戸 雅輝 | 18位 | 0:37:51 | 26位(→) |
7区 | 15.5km | 益田 賢太朗 | 21位 | 0:47:03 | 26位(→) |
スピード区間で自分のペースを守り快走:23位
加田選手のコメント
体調は万全ではなかったのですが、池田さんからいい位置でタスキをもらって、精神的に強い気持ちで走れました。最も短い距離でかつインターナショナル区間でしたが、周りは気にしないよう自分のペースを心がけました。『前半はつっこみすぎず後半勝負』と言い聞かせて走り、想定通りのタイムで走れたので自分でも満足しています。今回の走りは自信にもなったので、今後は日本選手権に出られるような強い選手になって、チーム全体の底上げにつなげていければと思います。
チームに勢いをつける区間20位の激走:21位
山本選手のコメント
昨年1区で自分が出遅れたのもあって、今回は個人的にもリベンジのレースでした。いい流れでタスキがつながっていたので、この区間でさらに勢いづける走りをしようとスタートしました。他の選手と並走して前を追いかけたので、前半はいいレースができたのですが、後半もっと粘れれば良かったなと思います。特に6〜10kmの勝負どころで粘れなかったのが自分の課題。全国との差はまだまだあると実感したので、基本的な体作りも含めてレベルアップしていきたいですね。
最長区間を粘りの走りで後半戦へつなぐ:25位
阿部選手のコメント
昨年に続きエース区間に起用してもらえたので、今年こそは"エースの走り"をしたかったのですが、すべての面で力不足。せめてもう少し前でタスキを渡したかったですね。前半は抑えて15km以降に勝負をかけようと思っていたのですが、なかなか体が思うように動かずぺースアップできませんでした。チームが上位に行くには、このエース区間のできが重要になるので、来年までにもっと走力を上げて、強い選手になってこの区間に帰ってきたいです。
タフな区間で意地の走り:26位
渡辺選手のコメント
今年は例年の"赤城おろし"とよばれる風の影響も少なく走りやすい気候だったものの、体が動かず自分のレースができませんでした。前に集団が見えていたので何とか追いつきたかったのですが追いつけず、逆に後半1つ順位を下げたのが悔やまれます。今日は自分のペースを守るのが精一杯のレースになってしまったので、今後はもっとスピード練習をして、後半バテても切り替えができるような力をつけたいと思います。
前半の勢いを守り、好位置でアンカーにつなぐ:26位
関戸選手のコメント
前の5人がいい流れでタスキを運んできてくれたので、自分はタイムや順位を意識せず『とにかく力を出し切ろう』と決めて走り出しました。現時点での自分の力は出せたとは思うのですが、アンカーの益田に順位を上げて渡せなかったのが残念です。今回で、大会を迎えるまでのコンディション作りなどのコツが少しずつ分かってきたのが大きな収穫です。あとは、全国レベルでも通用するスピードやスタミナなどすべての面でレベルアップして、安定した成績を残せるようになりたいですね。
力強い走りで順位をキープしたままゴールへ:26位
益田選手のコメント
一昨日、清水監督からアンカーで起用するとお話をいただき、とにかく緊張しすぎないことだけを心がけていました。新人でアンカーという大役でしたが、走ってみると緊張以上に沿道の応援がすごくて楽しめました。今日は自分の走りはできたと思うのですが、チーム目標でもある25位以内を達成できなかったので、自己採点は70点。もっと力をつけて、来年はチームの中心選手として絶対にここへ帰ってきたいと思います。
順位 | チーム名 | 時間 |
---|---|---|
1位 | 日清食品グループ | 4:49:32 |
2位 | コニカミノルタ | 4:50:52 |
3位 | 旭化成 | 4:51:16 |
4位 | トヨタ自動車 | 4:51:33 |
5位 | 九電工 | 4:52:49 |
6位 | 安川電機 | 4:53:26 |
7位 | トヨタ自動車九州 | 4:53:54 |
8位 | Honda | 4:54:13 |
9位 | 中国電力 | 4:54:56 |
10位 | 富士通 | 4:55:19 |
11位 | トヨタ紡織 | 4:56:05 |
12位 | SUBARU | 4:56:10 |
13位 | NTN | 4:56:29 |
14位 | 愛知製鋼 | 4:56:32 |
15位 | マツダ | 4:56:47 |
16位 | 三菱重工長崎 | 4:57:07 |
17位 | 大塚製薬 | 4:57:14 |
18位 | 佐川急便 | 4:57:23 |
19位 | JFEスチール | 4:57:27 |
順位 | チーム名 | 時間 |
---|---|---|
20位 | カネボウ | 4:57:28 |
21位 | YKK | 4:57:28 |
22位 | ヤクルト | 4:57:58 |
23位 | 自衛隊体育学校 | 4:57:59 |
24位 | 小森コーポレーション | 4:58:00 |
25位 | JR東日本 | 4:58:39 |
26位 | NTT西日本 | 4:58:51 |
27位 | 日立電線 | 4:59:23 |
28位 | 八千代工業 | 4:59:28 |
29位 | 四国電力 | 5:01:25 |
30位 | 愛三工業 | 5:02:21 |
31位 | プレス工業 | 5:03:34 |
32位 | 黒崎播磨 | 5:04:47 |
33位 | 中電工 | 5:05:44 |
34位 | 警視庁 | 5:06:08 |
35位 | 重川材木店 | 5:06:27 |
36位 | 西鉄 | 5:07:28 |
37位 | 高田自衛隊 | 5:13:20 |
第1区
最高のスタートダッシュ:20位
池田選手のコメント
順位より『先頭から30秒以内でタスキを渡す』という目標を立てていたので、トップから21秒差で2区にタスキをつなげられたのは、良かったですね。清水監督から「とにかく落ち着いて走れ」と指示をいただいていたのですが、スローペースということもあって走りやすく、普段の力を出せました。5年ぶりに1区を走ったのですが、前回はビリで……。個人的にはリベンジを果たせたかなと。チームを流れに乗せる役割ができて、今日は最低限の仕事はできたかなと思います。