総合力に勝る日清食品グループが混戦を制し初優勝
NTT西日本が2年連続の出場を果たした第54回全日本実業団対抗駅伝競走大会(ニューイヤー駅伝)。新春1月1日09時05分、快晴のもと響き渡る号砲を合図に、地域予選を勝ち抜いた37チームが、群馬県庁(群馬県前橋市)をスタート・ゴールとする100キロにおよぶ周回コースを7人でタスキをつなぐべく、一斉にスタートしました。
前回から、レース中盤過ぎの4区が最長区間としてハーフマラソン並に長い22.3kmに設定されたことに加え、外国人選手の出場がレース序盤の2区に限定されるなどの区間変更にともなって、勝負の山場は後半戦に。昨年、ゴール直前まで三つ巴のデッドヒートが展開されたように、今回もまた最後まで目の離せない展開になるであろうと予想されていました。
その予想通り、終盤まで混戦が続きましたが、最後は総合力に勝る日清食品が抜け出し、悲願の初制覇を達成。続いて昨年4位のコニカミノルタが復権を果たし2位に、昨年優勝の富士通が3位に入りました。
関西代表の1チームとして出場したNTT西日本は、エース大崎・池田を欠く苦しい中、気迫のこもった走りで、最後までタスキをつなぎ、5時間04分07秒、32位でゴールしました。
故障者を抱え、苦しいチーム事情の中、気迫でタスキをつないだNTT西日本
2年連続の出場となるNTT西日本は、昨年順位より10位上げた「20位」を目標に、経験豊かなベテランと新鮮力あふれる若手の力を結集したチーム構成で、ニューイヤー駅伝に臨みました。
若手の加田が32位、2区の松垣が33位で、3区のチーム最年長の小椋にタスキをつなぎました。ベテランの小椋がいったんは抜かれて順位を落とすものの粘りの走りで抜き返し順位をキープし、いよいよ最長距離の4区へ。竹中は区間記録25位のペースで、22.3kmの長丁場を走りきって前走者との差を縮めて、5区の渡辺へとタスキをつなぐと、小雪が舞う寒空のもと、渡辺が竹中からもらったアドバンデージをきっちり活かし、順位を2つ上げて31位に浮上。後半、新人へと託しました。6区の阿部は区間記録28位と健闘しますが、順位を上げることはできず、32位でタスキは最終7区へ。アンカーの平川は追随する大阪府警を振り切り、32位でゴールしました。
目標の20位には届かなかったものの、苦しいチーム事情の中、新人、ベテランともに力を出し切った今大会。中でも特に若手の健闘が光りましたが、同時に、これからの課題も見えたレースとなりました。
一からチームを立て直し、来年も上州路に戻ってくることを誓う
レース終了後、高橋部長は「皆さんのご声援が選手の力になったと思います」と感謝の言葉を述べるとともに、「さらに成長して、またこの場に帰ってこられるよう、一生懸命に練習に励みますので、熱いご声援をお願いします」と挨拶しました。
清水監督は「大崎、池田の二枚看板が故障で使えなかったことが痛かった。年間を通じて、悪い流れを断ち切ることができず、波に乗ることができなかったのが、最大の敗因」と、レースを振り返りました。また、「死にものぐるいでやらなければ、来年のニューイヤー駅伝のスタートに立つことはできない。そういう危機感を選手一人ひとりが持って、結果を出していけるよう、一から立て直していきます」と、険しい表情で、チーム強化に取り組む決意を改めて表明。そして「これからも応援をよろしくお願いします」と、深々と頭を下げました。
区間 | 距離 | 選手名 | 区間順位 | 記録 | チーム順位 |
---|---|---|---|---|---|
1区 | 12.3km | 加田 将士 | 32位 | 0:36:10 | 32位(→) |
2区 | 8.3km | 松垣 省吾 | 30位 | 0:24:10 | 33位(↓) |
3区 | 13.7km | 小椋 誠 | 31位 | 0:40:41 | 33位(→) |
4区 | 22.3km | 竹中 友人 | 25位 | 1:05:30 | 33位(→) |
5区 | 15.9km | 渡辺 圭一 | 30位 | 0:49:26 | 31位(↑) |
6区 | 11.8km | 阿部 豊幸 | 28位 | 0:36:21 | 32位(↓) |
7区 | 15.7km | 平川 信彦 | 35位 | 0:51:49 | 32位(→) |
2区・松垣選手のコメント
(33位:スピード区間で冷静な走り)
予選を兼ねた関西実業団駅伝では、最初に突っ込みすぎて失敗してしまったので、今日は“冷静に”を心がけました。ずっと一人での走りが続いたのですが、うまくペース配分ができて、きっちり走り切れたのが良かったです。でも、24分を目標にしていたので、10秒オーバーしてしまったのが、少し残念。チームに貢献できるよう、もっと練習をして自力を上げなければいけないなと強く思いました。
3区・小椋選手のコメント
(33位:ベテランらしい粘りの走りでつなぐ)
思ったよりも悪い順位でのタスキだったのですが、動揺せずスタートできました。1つでも順位を上げたかったのですが、なかなか自分のスピードも上がらず、本当に厳しかったですね。途中で後ろの選手に抜かれてしまったのですが、これ以上順位を下げないようとにかく懸命に走りました。最後に1人抜き返してタスキを渡せたのが良かったです。
4区・竹中選手のコメント
(33位:最長区間で持ち味を生かす)
最長区間で心配もありましたが、監督からは「お前は1人でも押していける選手だから、周りに惑わされず自分のペースで走れ」と言われていたので、タイムなどは意識せず、とにかく行けるところまで行こうと決めて走り抜けたのがいい結果につながりました。途中、前の2選手に追いついて並走していたのですが、18キロ過ぎに一気に風が強くなり、疲れもあって置いて行かれたのが課題です。それがなければ100点満点の走りだったんですが……。
5区・渡辺選手のコメント
(31位:赤城おろしの影響を受けながらも快走)
前の選手が見えている状態でタスキをもらったので、それをターゲットにしながら走り出せました。大崎さんのアドバイスもあり、最初の1キロをゆっくり入ったのが功を奏して、その後スピードを上げ、途中で2人を抜くことができました。ただ、真正面から吹いてくる“赤城おろし”が想像以上で、さらに前にいた2人に追いつくことができなかったのは力不足でした。昨年よりも体調が良かったので、もう少し順位を押し上げてタスキを渡したかったですね。
6区・阿部選手のコメント
(32位:ルーキーながら安定感のある走り)
関西実業団駅伝で流れに乗れず、チームに迷惑をかけたので、それをリベンジしたいと思って走ったのですが、疲れもあってなかなか体が思うように動きませんでした。5キロ過ぎからは本当にきつかったですね。とにかく粘って、順位を守るのが精一杯でした。ただ、入社1年目ながら走らせていただき、大変貴重な経験をしたので、これを糧に練習量を増やして、もっと全国で戦える選手になりたいと思います。
7区・平川選手のコメント
(32位:強風のなか、順位をキープしたままゴール)
ケガでずっと走れず、9月からようやく練習を開始したということもあって、圧倒的な練習不足。風も強くて思うような走りができず、“タスキをゴールに運ぶだけ”という、不甲斐ないレースになってしまいました。今日の経験を生かして、とにかくケガをする前のコンデションに早く戻して、練習の時から、関西というより常に全国を意識した走りでレベルアップしていかないと、上のチームとは差が縮まらないと痛感しました。
順位 | チーム名 | 時間 |
---|---|---|
1位 | 日清食品グループ | 4:50:07 |
2位 | コニカミノルタ | 4:50:36 |
3位 | 富士通 | 4:51:37 |
4位 | 中国電力 | 4:52:26 |
5位 | トヨタ自動車 | 4:52:55 |
6位 | Honda | 4:54:12 |
7位 | 大塚製薬 | 4:56:29 |
8位 | 旭化成 | 4:56:29 |
9位 | トヨタ紡織 | 4:56:31 |
10位 | 九電工 | 4:56:31 |
11位 | カネボウ | 4:56:32 |
12位 | JR東日本 | 4:56:32 |
13位 | 小森コーポレーション | 4:56:32 |
14位 | JALグランドサービス | 4:56:34 |
15位 | NTN | 4:56:34 |
16位 | 日立電線 | 4:56:46 |
17位 | トヨタ自動車九州 | 4:57:36 |
18位 | JFEスチール | 4:57:37 |
19位 | YKK | 4:57:37 |
順位 | チーム名 | 時間 |
---|---|---|
20位 | 山陽特殊製鋼 | 4:57:38 |
21位 | SUBARU | 4:57:40 |
22位 | 愛三工業 | 4:57:56 |
23位 | 佐川急便 | 4:58:16 |
24位 | ヤクルト | 4:58:36 |
25位 | マツダ | 4:58:39 |
26位 | スズキ | 4:58:53 |
27位 | 安川電機 | 4:58:53 |
28位 | 愛知製鋼 | 5:01:21 |
29位 | 三菱重工長崎 | 5:01:46 |
30位 | 東京電力 | 5:02:31 |
31位 | 四国電力 | 5:02:33 |
32位 | NTT西日本 | 5:04:07 |
33位 | 大阪府警 | 5:04:34 |
34位 | 自衛隊体育学校 | 5:06:33 |
35位 | 中電工 | 5:06:35 |
36位 | 高田自衛隊 | 5:11:56 |
37位 | プレス工業 | 5:13:00 |
1区・加田選手のコメント
(32位:昨年に続き1区を激走)
調整がうまくいかず今日は体が重くて、まったく思うような走りができませんでした。そのなかで、1つでも順位を上げたいと、最後まであきらめず、ラストスパートできたことが収穫です。このような大きな舞台だと、すごい選手が多くて名前負けしてしまう部分があるので、自分の持ちタイムを上げて、来年は自分に自信を持ってレースに挑めるように頑張りたいです。