粘りを見せるも代表権獲得ならず。
気持ちを切り替え、2週間後の全日本シングルス選手権に照準。

高川選手・村上選手ペア
今年10月に行われる世界ソフトテニス選手権大会。その日本代表を決める予選会が、5月3日(火・祝)から5日(木・祝)の3日間、広島市中央庭球場と広島市中央バレーボール場で開催されました。NTT西日本の個別認定選手からは高川経生、長江光一、村上雄人、大庭彩加、佐々木舞、﨏田(さこだ)光理の6選手が出場。4年に一度の大舞台への出場切符“1枚”をかけて、熱戦を繰り広げました。

長江選手

﨏田選手
1次リーグは各ペアとも3戦全勝し、2次リーグへと進出しました。ペアを組んで約1カ月という高川・村上ペアは、初戦を5-3で勝利し、好スタートを切りました。しかし、2試合目で東京のペアに2-5で敗れると、第3試合も接戦ながら4-5で落とし、無念の2次リーグ敗退となりました。
逆に、長江ペアは初戦で大学ペアに2-5で敗れたものの、その後は5-1、5-3と快勝。勝てば3次リーグ進出という状況で最終試合を迎えました。だが、その最終試合の第5ゲームでリズムを崩し、結局、立て直しできないまま2-5で敗退。惜しくも3次リーグ進出はなりませんでした。
また、女子では﨏田ペアは、2次リーグ初戦を4-4まで競りながらも敗退し、その後も2連敗。ただ、3次リーグ進出の望みが消えた状況で迎えた最終試合では、東京の実業団ペアを5-3で下し、結成1カ月のペアにとっては次へつながる貴重な1勝になりました。

大庭選手・佐々木選手ペア
そんな厳しい状況の中、2位通過で3次リーグへ駒を進めたのが大庭・佐々木ペア。3次リーグ初戦を5-4で競り勝つと、2試合目には2次リーグで敗れた相手にも勝利し、勝てば優勝という最終試合を迎えました。その試合の第8ゲームで4オールに追いついた大庭・佐々木ペアは、最終ゲームでリードを許しながらも4-4まで追いつき、あと3点先取で優勝という場面まで迫りました。しかし、最後はミスが続いて敗退。残念ながら優勝を逃し、自力での世界選手権の代表権獲得はなりませんでした。
ただ、代表権獲得のチャンスがなくなったわけではありません。全日本シングルス選手権の優勝者はいち早くナショナルチーム入りが決定し、世界選手権代表権獲得に向けて、大きく前進することになります。男女とも、まず、全日本シングルス選手権に標準をあわせ、気持ちも新たに臨むことを誓い、大会を終えました。
選手・監督 コメント
<高川経生>

村上とペアを組んでまだ1カ月ほど、3月に一度戦ってはいますが、プレッシャーのかかる全国規模の大会は今回が初めてでしたので、厳しい試合が続くとは思っていました。とはいえ、組み合わせはそれほど厳しいリーグではありませんでしたので、2次リーグ敗退は残念な結果というほかありません。(2次リーグの)2試合目に、村上の本来のテニスを相手に先にやられてしまって、最後までペースを戻せないまま終わったという印象です。
ただ、大会を通してこのペアの課題も見えてきました。今後は、村上の若いテニスと私の経験をうまく融合していきたいです。
また、10月の世界選手権出場に関しても、これからナショナルチームの合宿でアピールすれば可能性は残されていますし、代表メンバーに入れるように頑張っていきたいと思います。
<長江光一>

2次リーグの初戦は敗れましたが、気持ちを切り替え、最終戦に勝てば3次リーグへ進めるところまで行きましたが、残念ながらその試合に負けてしまい、最終日まで残ることができませんでした。
その最終戦では、2オールに追いつき、次のゲームも3-1でリードしていましたが、結局、そのゲームを落とし、リズムを崩してしまったのが敗因です。試合中に勝ちを意識したわけではありませんが、戦い方に迷いがあったのかもしれません。
ただ、世界選手権出場の可能性が消えたわけではありませんので、全日本シングルス選手権に気持ちを切り替えて、代表に選ばれるように頑張りたいです。
全日本シングルス選手権では2年連続で決勝に進んでいますが、他の選手もシングルがうまくなっています。厳しい大会になると思いますが、優勝できるチャンスはあると思いますので、しっかり練習して、いい状態で大会に挑みたいと思います。
<村上雄人>

世界で勝つために優勝を目指して戦いましたが、残念ながら2次リーグで敗れてしまいました。高川さんとのペアに関しては、自分のプレイ次第でテニスが変わってしまうということを強く感じました。
また、日頃の練習から試合を想定し、強い気持ちを持って取り組まないと、競った場面で弱い部分が出てしまいますので、テニスに対しての意識改革をしていかないといけないと痛感しました。技術面では、しっかりコースを狙って打つという基本的な部分が足りなかったと思います。
この2日間で多くの課題が見つかりました。その課題を練習で修正し、全日本実業団や国体、日本リーグなど大きな大会で優勝できるように頑張ります。個人的には10月の天皇杯での優勝を目指していきたいです。
<大庭彩加>

2次リーグの初戦で負けましたが、そこから3次リーグにつなげることができました。
もう一度、テニスをさせてもらえるという気持ちをもって最終日(3次リーグ)に挑みました。1試合目も攻めの姿勢で勝ちにつなげられましたし、テニスの内容は良かったと思います。ただ、要所要所で弱気になってしまい、最後に勝ちきれませんでした。
予選会は終わり、自力で獲得できる世界選手権の代表権は他のペアのものになってしまいましたが、すぐに全日本シングルス選手権もありますので、気持ちを切り替えていきたいです。
NTT西日本の男子は前衛の選手がタイトルを取っていますが、女子の前衛はまだシングルスを制していません。女子の前衛も強いことを示したいですし、代表入りなどを意識せず、自分のテニスでシングルスのタイトルを狙いたいと思います。
<佐々木舞>

ソフトテニスの基本はサーブレシーブです。特に私たちのペアは、その基本がしっかりできないと自分たちのプレーができません。最終的には基本ができていなかったので、負けたのだと思います。
3次リーグに関して、1試合目は良い形を作れて勝てました。次の試合も、その流れで勝つことができました。でも、お互いを知り尽くしたペアとの対戦となった最終戦は、結果的に攻めきれなかったのかなという印象です。
ただ、最終日の2試合目では2次リーグで敗れていたペアに勝つことができました。同じ相手に2回も負けるのはいけないですし、昨日の反省を今日に活かして勝てたことは、自分たちにとってプラスになると思います。
世界選手権の日本代表の座を、自力で奪うことはできませんでしたが、すぐに全日本シングルス選手権も始まりますので、しっかり気持ちを切り替えて頑張っていきたいと思います。
<﨏田光理>

1次リーグは突破しましたが、受け身に回ってしまったところが、その後勝ち進めなかった原因だと思います。2次リーグは自分よりも強いペアが多かったので、攻めの姿勢で向かおうと思っていましたが、初戦でデュースまで持ち込んだものの負けてしまい、そこからの立て直しができずに、その後の試合まで引きずってしましました。
ただ、3次リーグへ進めない状況になってからも、しっかりと自分たちの戦略を貫き、1勝できたのは大きな収穫です。あきらめずに最後まで戦えたことは、これからの自分の成長につながると思います。
世界選手権の日本代表は、この大会の優勝ペア以外に4人選ばれますので、次の全日本シングルス選手権で昨年のベスト4以上の成績を残し、ナショナルチームの合宿に呼ばれるようにアピールしていきたいです。
また、秋にはいろいろと大きな大会が控えていますので、気持ちを切り替えて頑張ります。
<中本裕二NTT西日本総監督>

佐々木・大庭にとっては、1次リーグが一つの山だったと思います。同じブロックに平成21年度の皇后杯チャンピオンがいましたから。しかし、彼女たちはものすごい気迫で乗り切ってくれました。続く2次リーグは気負い過ぎて初戦の入り方が悪く、いつ負けてもおかしくない試合が続きました。そういう状況の中で、なんとか1敗を守り、最終日につなげてくれたのは大きかったと思います。
最終日の3次リーグは最高の入り方でしたが、代表を決める最後の試合では自らのミスで敗れてしまいました。1本の執念は教えてきたつもりですし、本人たちも執念を持っていました。今日の敗戦については、運が悪かったというほかありません。テニスに勝って、試合に負けた印象です。
今回の結果によって、自力での代表入りはなくなりました。とはいえ、大庭・佐々木ペアは昨年から多くのタイトルを取っていますし、推薦に最も近いところにいるのは確かです。個人的には、世界選手権で強豪の韓国に対抗できるのも彼女たちだけだと思いますが、あとはナショナルチームの監督にゆだねるしかありません。
一方、﨏田ペアに関しては、試合の取りこぼしがなければ3次リーグへ進めたと思います。ペアを組む前衛がまだ入社1カ月ですから、もう少し社会人のテニスに慣れて大きく育てば、專cペアにも芽が出てくると思います。
男子は、ブロック的にみて、高川・村上ペアが3次リーグまで行くかなと思っていましたが、残念です。また、長江ペアがキャプテンチームとして3次リーグまで残ってくれればと期待しましたが、最終的には今大会の優勝ペアに敗れました。「結局、中堀・高川ペアでないと勝てないのか」と言われてしまわないためにも、奮起に期待したいと思います。もちろん、長江ペアにはそれだけの実力があると思うからです。
男女とも今大会の優勝を逃しましたが、世界選手権代表権獲得の可能性が消えたわけではありません。全日本シングルス選手権で優勝すれば、無条件でナショナルチームに入れます。男子は昨年の大会でベスト4に3人が入っていますし、女子はベスト4に2人入っています。終わったことをくよくよしても仕方がありません。全日本シングルス選手権に頭を切り替えて、次へ次へと向かっていきたいと思います。
試合結果
ギャラリー
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<藤川幸徳NTT西日本男子監督>
2日間を通して、選手たちの気持ちは伝わってきましたが、勝ちたいという気持ちが前面に出てしまい、結果ばかりを求めてしまったという印象です。特に、競っている場面では、自分たちから攻めるよりも、相手のミス待ちというか、受け身に回ってしまい、ここ一番でのポイントが取りきれなかったのだと思います。技術力よりも、精神的にまだまだ甘いと思いました。
長江ペアに関しては、2次リーグ初戦の負けで気持ちを切り替え、最後の決定戦までにはつなげることができました。ただ、1枠しかないこの予選会での代表の座を奪って、国際大会でメダルと取るのだという気持ちが足りなかったのかもしれません。
高川・村上ペアに関しては、まだペアを組んでから約1カ月と短く、お互いのスタイルを理解しきれていなかったという印象です。村上は高川に頼り気味なところが見えましたし、高川も村上をうまくコントロールできない場面がありました。緻密なペアを確立するには、練習からもっと話をしていかないと全日本のトップクラスには入りきれないと思います。
とにかく反省点が多すぎます。勝つために自分をどこまで追い込めるか、「これでいいや」で終わらずに貪欲に取り組む環境に身を置かねばなりません。今のままでは全日本ベスト8止まりです。日本一になるための練習を再確認して、厳しくやっていきたいと思います。