Introduction
今のNTT西日本硬式野球部に求められているのは、『若手選手の台頭』。
昨年の都市対抗野球大会の初戦敗退後、大原監督は「今のままでは全国で勝つことが出来ない」と思ったという。その理由は、長くレギュラーとして起用している選手を中心にチームを編成したことだと。
その後「若手選手の台頭」を具体的な目標に練習した結果、JABA九州大会、JABA伊勢・松坂大会で連続優勝を果たした。
しかしながら、2016年を締めくくる日本選手権では、「打てなかった」と振り返るように2回戦で惜敗と得点力不足を露呈した形で終えたが、同時に“新しいNTT西日本硬式野球部”を作り上げる取り組みがスタートした。
大原監督2年目のキャンプは、昨年に引き続き、気候温暖な和歌山県田辺市の田辺スポーツパーク野球場で行われた。天候にも恵まれ、大原監督が「80点〜90点」の出来と言うほど充実したキャンプとなった。
大原監督は、若手には“チャンスは与える”“実力でポジションを掴み取れ!”とチーム内の競争心を煽り続け、選手もそれに応えるかのように目の色を変えて練習する姿がキャンプでも要所要所に見られた。
大原監督、河本ヘッドコーチ、梅津キャプテンの口から、「若手の中でも特に仮谷には期待しています。これからのチームを引っ張っていく選手になって欲しい」と名ざしされた仮谷選手は「去年は打撃でチームに貢献できたとは思いますが、守備で足を引っ張った感があります。しかし、去年の経験を生かして、状況に応じたプレーをし、チームを勢いづけたいです」と、首脳陣の期待に応える覚悟を話した。
2年連続でキャプテンを務める梅津選手は「チーム内ではベテランでも、野球選手としてはまだまだ30歳は若い」と、ベテラン選手も負けてはいない。
Practice
メイン球場では、アップ後に早速バッティング練習が開始された。昨年「点が取れなかった」と、口をそろえて言うように、得点力不足を補うために、打撃中心の早出練習。皆、全身に汗をかきながら、黙々と打ち込む。
しかし、野球はバッティングだけではない。大原監督の野球の根幹は「守備」と言える。野球を「打撃」と「守備」の2つに分けると、「打撃」には、相手投手との相性、選手自身の調子などで好不調の波があるが、「守備」は、練習を積めば安定することが出来ると大原監督。「守備が安定すれば、常に結果を残すことが出来る。常勝チームを作ることが出来る」。
キャンプでは、室内練習場を使って守備練習も余念がない。バッティングに比べれば地味な練習だが、「基本が大事」と野球教室でも子供達に教えているように、様々な練習方法で基本を反復していく。つらい練習ではあるが、選手には笑顔が絶えない。ふざけている訳ではなく、明るく、楽しくやることで、つらい練習も乗り越えられるものである。選手の笑顔を見ると、本当に野球が好きなんだと感じた。
全体練習に入ると雰囲気は一転。キャッチボールから試合状況を想定した守備練習が全員参加で行われた。
河本ヘッドコーチの打ち放つ1本1本のノックを的確に処理する選手達。たまにエラーをすると更に厳しいコースへと次の球が飛んでくる。ベテラン、若手関係なく、大きな声を出し、全員で白球を追う姿には圧倒された。
外野では、北崎兼任コーチがスペースを目一杯使った広い範囲に打球を飛ばすが、どこからでも北崎兼任コーチの元に返球する選手。ピッチャーも内野手も、外野手も守備練習を黙々とこなしているのは、大原監督の「守備は練習を積めば安定することが出来る」という考えを選手が理解している証拠だろう。
更に練習はバージョンアップし、打撃、走塁、守備を組み合わせた練習が続く。
例えば≪1アウト2塁≫と決められた状況でバッターボックスに立つ選手、2塁走者、守備についている選手が、“自分は何をすれば良いか”を考えてプレーする。
すべては勝つために。時間をかけた練習の最後には、監督以下全員で円陣を組んで反省会も行われた。
近年しきりに言われる「体幹トレーニング」。けが予防とベストパフォーマンスを生み出す事で重要視されている。もちろん選手達も各々工夫しながら、体幹を鍛えている。写真をご覧になり、是非チャレンジしてみてください。簡単そうでも、なかなか同じ動きは出来ませんよ。
Summary
ベテラン、若手関係なく、チーム内で競争し、チーム力を底上げし、ベストな状態で今シーズンを戦い抜くための基礎作りのキャンプは成功したと言えるだろう。
大原監督は「都市対抗に出場するチームの投手はどこも“球が速い。変化球にキレがある”エース級ばかり。なかなか打てるものではないが、打撃と機動力で点をもぎ取る。そして、投手陣が最少失点で抑えることで、最後には勝っている試合をしていきます」と語り、昨年の雪辱を胸にまもなく始まる公式戦に出陣する。
社会人野球を続けるには、それなりの覚悟が必要である。社会人になった今も“好きな野球” をやらせてもらえる環境に感謝し、毎日真剣に野球に取り組む選手達。昨年は結果が出ずに、悔しい思いもしたし、応援に応える事が出来なかった。スローガンである“一体感 〜感動を共に〜”通り、社員、ファン、野球部が一体となって、都市対抗野球ベスト4という目標を達成したい。
これからもNTT西日本硬式野球部への熱い応援をお願いします。
Exhibition game
キャンプ期間中に3試合予定されていたオープン戦だが、初戦が雨で中止になったので、結局2試合が行われた。キャンプ終盤に行われたオープン戦では、若手主体のオーダーを組み、大原監督は「十分な手応えがあった」と。目的としている「点を取る」と言うことでは5点の得点、守備力UPでは1点も与えなかった。さらに若手のプレーが「良い影響」を与えたと。大阪府春季大会から始まる公式戦へ勢いに乗るには、十分な結果であった。
TEAM | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
和歌山箕島球友会 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
NTT西日本 | 0 | 1 | 0 | 3 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 5 |
【勝利投手】浜崎 【敗戦投手】 寺岡
打順 | 位置 | 打者 | 1回 | 2回 | 3回 | 4回 | 5回 | 6回 | 7回 | 8回 | 9回 | 打数 | 安打 | 打点 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 6 | 伊東 | 三邪飛 | 遊ゴロ | 左飛 | 二ゴロ | 四球 | 4 | 0 | 0 | ||||
2 | 7 | 石山 | 四球 | 左安 | 1 | 1 | 0 | |||||||
R→9 | 小林 | 左飛 | 中安 | 一ゴ併 | 3 | 1 | 1 | |||||||
3 | 5 | 仮谷 | 右飛 | 二邪飛 | 二飛 | 三ゴロ | 4 | 0 | 0 | |||||
H | 中西 | 右飛 | 1 | 0 | 0 | |||||||||
4 | DH | 高本 | 右安 | 左安 | 三振 | 四球 | 3 | 2 | 0 | |||||
R | 新垣 | 0 | 0 | 0 | ||||||||||
H | 梅津 | 三振 | 1 | 0 | 0 | |||||||||
5 | 3 | 富里 | 中飛 | 左安 | 左安 | 3 | 2 | 0 | ||||||
H→3 | 赤嶺 | 左邪飛 | 三振 | 2 | 0 | 0 | ||||||||
6 | 8 | 中村 | 右安 | 捕ゴロ | 一ゴロ | 中飛 | 4 | 1 | 0 | |||||
7 | 2 | 田中 | 捕飛 | 中安 | 左安 | 3 | 2 | 1 | ||||||
2 | 山野 | 死球 | 0 | 0 | 0 | |||||||||
8 | 4 | 長田 | 中安 | 四球 | 1 | 1 | 2 | |||||||
4 | 濱田 | 三振 | 二ゴロ | 2 | 0 | 0 | ||||||||
9 | 9→7 | 景山 | 二ゴロ | 左犠飛 | 左安 | 2 | 1 | 1 | ||||||
7 | 山口 | 左安 | 1 | 1 | 0 | |||||||||
計 | 35 | 12 | 5 |
投手 | 回数 | 打者 | 投球数 | 安打 | 本塁打 | 三振 | 四死球 | 失点 | 自責点 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
川口 | 4 | 15 | 46 | 3 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 |
浜崎 | 3 | 10 | 41 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 |
野口 | 1 | 4 | 14 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 |
河津 | 1 | 6 | 21 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 |
計 | 9 | 35 | 122 | 5 | 0 | 3 | 4 | 0 | 0 |
▲