１．業績の概況

　当上半期におけるわが国経済は、企業収益が改善し、設備投資や個人消費が増加するなど、全体的に景気は緩やかに回復して参りました。
　情報通信分野におきましては、ブロードバンドアクセスサービスの急速な普及、さらには、携帯電話と固定電話が融合したＦＭＣサービス、インターネット・ＩＰ電話・映像サービスを一体的に提供する「トリプルプレイ」サービスの登場等により、市場環境が激しく変化しております。
　また、成長著しいブロードバンド市場におきましては、光化・ＩＰ化の流れが一段と加速していく中、お客様ニーズの多様化に拍車がかかり、サービス・価格両面において事業者間の競争が激化しております。一方、固定電話市場におきましては、携帯電話やＩＰ電話へのシフトならびにドライカッパを利用した直収電話サービス等の普及により、事業環境は従来にも増して厳しい状況となりました。
　このように市場・競争環境が目まぐるしく変化する中、当社は、平成１７年度を、「２０１０年に１５００万ユーザへ光アクセスサービスを提供する」ことを掲げた"ＮＴＴ西日本グループ中期ヴィジョン"を実現するための"第一歩"を踏み出す重要な年度と位置づけ、光アクセス回線及び光ＩＰサービスの飛躍的拡大に向けた魅力ある新サービスの提供、セキュリティ機能など付加価値の高いソリューションビジネスの推進、更には、西日本グループトータルでの業容拡大等、具体的には、以下の取り組みを積極的に実施して参りました。

<1>ブロードバンドビジネスの展開

i ）

ブロードバンドアクセスサービスの充実
　光アクセスサービスにつきましては、「Ｂフレッツ」の従来プランに加え、多様化するお客様のご要望にお応えするため、ＩＰｖ６アドレスを利用した高品質なテレビ電話機能やセキュリティ機能を標準装備し、光ＩＰ電話やオンデマンド＆テレビサービスにも対応した新アクセスサービス「フレッツ・光プレミアム　ファミリータイプ」を提供して参りましたが、さらに、マンションなどにお住まいのお客様からの利用ニーズへお応えするため、集合住宅向けの新たなアクセスサービス「フレッツ・光プレミアム　マンションタイプ」の提供を開始いたしました。
　また、従来から実施しておりました「フレッツ光（Ｂフレッツ、フレッツ・光プレミアムの総称）」を新規にお申し込みいただいたお客様を対象とした期間限定の月額無料キャンペーンに加え、静岡県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、広島県、福岡県において「フレッツ・光プレミアム　ファミリータイプ」または「Ｂフレッツ　ファミリー１００タイプ」を対象期間中に新規にお申し込みいただいたお客様を対象に最大で１年間特別料金となる「光ぐっと割引」を提供するとともに、ＡＤＳＬサービスにつきましても、より多くのお客様にご利用いただくため、「1年間最大半額割引」を提供して参りました。
　さらに、フレッツユーザの新規獲得及び利用定着化を目的として、２年間の継続利用を条件に月額利用料金を割引く「フレッツ・あっと割引」、ご利用年数に応じ月額利用料金を自動的に割引く「フレッツ・ずっと割引」を提供して参りました。
　上記の取組みに加え、光通信サービス即決管理システム（ＡＱＲＯＳ：アクロス）の導入によるリードタイム（申込み～開通）の期間短縮、ならびにお客様に安心してご利用いただけるよう２４時間対応のサポート体制等、お客様ニーズに対応したサービスの提供に努めることにより、「フレッツ光」につきましては、本格提供開始以来4年1ヶ月で施設数１００万回線を突破いたしました。

ii ）

ブロードバンドアプリケーションサービスの充実
　個人のお客様向けの光ＩＰ電話サービス「ひかり電話」につきましては、これまでの「Ｂフレッツ　マンションタイプ」に加え、「フレッツ・光プレミアム　ファミリータイプ」並びに「フレッツ・光プレミアム　マンションタイプ」をご利用のお客様に対しても提供を開始いたしました。
　また、法人のお客様向けの「ひかり電話ビジネスタイプ」につきましては、オプションサービスである「ＩＰセントレックス機能」の対応端末としてモバイルＩＰ電話端末を追加いたしました。これにより、お客様は導入コストを抑えつつ、利便性の高いモバイルＩＰ電話端末のご利用が可能となりました。
　更に、「ひかり電話」および「ひかり電話ビジネスタイプ」を、より多くのお客様にお使いいただくために積極的なエリア展開を行うとともに、固定電話同等の使い勝手を目指した機能追加にも取り組みました。
　ＩＰｖ６アドレスを利用したアプリケーションサービスの充実につきましては、「フレッツ・光プレミアム」および「フレッツ・ｖ６アプリ」をご利用のお客様向けに「フレッツ・ｖ６マイディスク」の提供を開始いたしました。これによりお客様は簡単な操作でデジタルカメラを使って撮影した画像や資料等の大容量データの保存や管理を行い、またお客様同士で安全にデータを共有することが可能となりました。
　また、「フレッツ・スクウェア」につきましては、フレッツアクセスサービスをご利用のお客様向けに、従来よりライブ中継映像や人気アニメ映像等を提供しておりますが、新たに「フレッツ・光プレミアム」「フレッツ・ｖ６アプリ」をご利用のお客様向けのブロードバンドサイト「ｖ６ステージ」を開設し、複数のアングルから撮影した映像等を同時に視聴できる"マルチアングルコンテンツ"やハイビジョンクラスの "高品質コンテンツ"を配信することにより、フレッツならではの魅力を一層高める取り組みを行って参りました。
　公衆無線ＬＡＮサービスの「フレッツ・スポット」につきましては、お客様により快適で便利にご利用いただくため、更なるアクセスポイントの追加による利用可能拠点の拡大を図るとともに、最新の無線ＬＡＮ機器とアプリケーションによるユビキタスサービスを体感できる「フレッツ・スポット　カフェ」を西日本エリアの主要５駅において開設いたしました。また、お客様の増加とともに高まってきた東西を跨る全国エリアでの利用、並びに様々な利用シーンにより異なる無線ＬＡＮ端末を使い分けたいという要望にお応えするため、ＮＴＴ西日本・ＮＴＴ東日本の「フレッツ・スポット」の相互ローミングおよび複数の無線ＬＡＮ機器への対応可能なサービスを本年１０月より提供開始することといたしました。

<2>ソリューションビジネスの展開

　法人向けのＩＰ電話サービス「ひかり電話ビジネスタイプ」と３Ｇ携帯電話／無線ＬＡＮデュアル端末などの携帯電話端末を組み合わせ、固定電話と携帯電話、音声とデータを統合したユビキタスなオフィス環境を、スピーディーかつ低コストに導入可能な「モバイルＩＰセントレックスソリューション」を「Ｎ．ｐｒｏｓｏｌ（エヌプロソル）」の新たなラインアップとして提供開始いたしました。
　セキュリティ関連サービスとしては、株式会社エヌ・ティ・ティマーケティングアクト、株式会社エヌ・ティ・ティネオメイトと共同で、個人情報保護法の施行等に伴い情報セキュリティ対策に悩みや不安を抱える企業様や自治体様向けに、組織内部からの機密情報の不正持ち出しや紛失･盗難などによる情報漏えいを防止する「シンクライアント・トータルソリューション」を提供開始いたしました。
　また、複数拠点をネットワークで結んで構築・運用している業務システムなどに、ログインする際の認証を強化するため、株式会社エヌ・ティ・ティ・カードソリューションと共同で、昨今の情報漏えい・個人情報保護対策として注目を集めている生体認証（バイオメトリクス）の技術と、ＮＴＴサービスインテグレーション基盤研究所が開発したＩＣカード｢ＥＬＷＩＳＥ－ＣＡＲＤ」を組み合わせた｢バイオメトリクス対応　ＩＣカードセキュアシステム」を提供開始いたしました。
　さらに、エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社と共同で構築した佐賀県庁の電子県庁システムにおける生体認証システムは、全職員の端末を対象としたシステム導入としては、全国の都道府県庁で初の事例となりました。
　加えて、専用線やＬＡＮ系サービスなどビジネス系アクセスサービスを多数ご利用頂いているお得意様企業に、ご利用いただく回線の種類やエリアに関わらず、「大量・多地点回線の円滑な開通」や「迅速な故障対応」、「アフターサービスの充実」など、ご注文からご提供、安定的な運用までを一元的に迅速かつ柔軟に対応することで、安心・安全・信頼のサービスをご提供する「ビジネスサービスセンタ」を開設いたしました。

<3>ＮＴＴ西日本グループによる業容拡大

　株式会社エヌ・ティ・ティネオメイトにおきましては、日本ヒューレット・パッカード株式会社との協業により、ＩＴ機器の提供から、システム構築、運用・保守、システム更改時のＰＣ及びサーバのデータ消去・リサイクルまで一元的にフルサポートする「地域密着型のＩＴフルサポートサービス事業」を提供開始いたしました。　　
　また、既存の一般家電製品を買い替えることなく家庭内でネットワーク化し、ブロードバンド回線と携帯電話などを組み合わせてリモートコントロールを実現する日本初の家電コントロールサービス「u-コンセントサービス（仮称）」を開発し、下期から実用化に向けたフィールドトライアルを開始することとしております。
　一方、株式会社エヌ・ティ・ティマーケティングアクトにおきましては、株式会社ＮＴＴアプリエ、大日本印刷株式会社および西日本電信電話株式会社と共同で、ブロードバンド回線と無線ＩＣタグを組み合わせたシステムのトライアル検証結果を踏まえ商品化を行った「ＡＣＴＯＳキット　タグｄｅおまもりメニュー」を老人保護施設等へ提供して参りました。
　また、インターネットショッピングサイト「ＡＣＴＯＳＭａｌｌ」では、ネット販売を検討されている一般の事業者様にも出店いただけるサービス「ＡＣＴＯＳＭａｌｌ出店サービス」を開始し、集客・決済から配送までオールインワンでのサービスを提供するとともに、地域情報サイト「ＡＣＴＯＳｅ－まち知ろう」とのタイアップにより、集客、出店数の拡大を図って参りました。

<4>固定電話サービスの取り組み

　ドライカッパを利用した直収電話サービスが普及する中、ＮＴＴ西日本の電話サービスを引き続きお客様にご利用いただくため、複数回線の電話料金を一括して請求しているお客様に対して基本料（回線使用料）の割引を実施するなど、料金の低廉化に努めて参りました。
　また、「ナンバー・ディスプレイ」につきましては、ご家庭での電話の利用ニーズと合致したサービスであるとともに、ビジネスシーンでの電話受付業務におけるお客様サービスの向上等に貢献できるサービスであることから、多くのお客様にご利用いただき、本格サービス提供開始より約７年で契約回線数が５００万回線を突破いたしました。

　以上に加え、１１３故障受付につきましては、自然災害・設備故障等によりお客様からのお問合せが急増・集中した場合、災害等影響の少ない他地域の１１３センタへお問合せを転送し、１件でも多く受付けられる体制を構築する等、西日本エリア全体のお客様サービスレベルの維持・向上に努めて参りました。

　また、台風に伴う建物損壊等で２４時間以上電話が使用できなかったお客様、および避難指示、避難勧告によって実態的に２４時間以上電話が使用できなかったお客様に対して、その日数の基本料金等の免除、建物損壊で仮住居への移転工事等が生じた場合の工事料金も免除といたしました。

　さらに、相次ぐ企業不祥事の発覚が、大きな社会問題となる中、ＮＴＴ西日本グループでは、従来から「企業倫理の確立」に向けた取り組みを積極的に展開してきたところですが、更なる浸透に向け本年度も、昨年度に引き続き、経営トップ層をはじめ、全社員を対象とした研修、また、浸透度合いを検証するための意識調査の実施等、各種施策の展開により、公私を問わず高い倫理観の醸成と不正・不祥事を起こさない組織風土づくりを推進して参りました。

　この他、「個人情報の保護に関する法律」の全面施行を踏まえ、これまで以上にお客様情報の適正な取扱いが求められることから、<1>グループ会社を含め横断的に指導するための「情報セキュリティ推進本部」の設置<2>「委託会社におけるお客様情報保護に関するセキュリティガイドライン」に基づくお客様情報の管理体制や管理方法の強化に向けた業務委託会社への研修会及び立ち入り点検、<3>全社員（グループ会社や派遣社員等を含む）を対象としたお客様情報保護に関するＷＥＢを用いた自己診断テストによる理解度チェック、<4>個人情報保護に関する「Ｑ＆Ａ集」と注意事項等をまとめた「ワンポイントアドバイス集」の作成・配布を通じて、全社を挙げ、お客様情報保護の強化に努めて参りました。

　こうした取り組みのベースとして、お客様に安心してサービスをご利用いただけるよう、西日本グループ全体で「カスタマー・ファースト活動」を展開し、引き続きお客様からの信頼確保に努めて参りました。

　以上の結果、当上半期における主なサービスの状況は、一般加入電話については９月末の施設数が２，４７１万加入、ＩＮＳネットサービスについてはＩＮＳネット６４の９月末の施設数が３６８万回線、フレッツ・ＡＤＳＬの施設数については２６１万回線、フレッツ光の施設数については１０５万回線となりました。
　また、当上半期における営業収益は、１兆５０億円となり、経常利益は３０６億円、中間純利益は１９１億円となりました。

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