2005年10月11日
(報道発表資料)
Warner Bros. Entertainment Inc.
ワーナー エンターテイメント ジャパン株式会社
日本電信電話株式会社
西日本電信電話株式会社
東宝株式会社


デジタルシネマ共同トライアル
「4K Pure Cinema」の実施について


〜ティム・バートン監督の「コープス・ブライド」を第一弾として、
世界初、最新映画をDCI仕様※1デジタルシネマにてネットワーク配信・興行〜


 Warner Bros. Entertainment Inc.(米国カリフォルニア州、代表取締役社長、CEO:バリー・マイヤー、以下WBEI)、ワーナー エンターテイメント ジャパン株式会社(東京都港区、代表取締役会長:ウィリアム・アイアトン、以下WEJ)、日本電信電話株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:和田紀夫、以下NTT)、西日本電信電話株式会社(大阪市中央区、代表取締役社長:森下俊三、以下NTT西日本)、東宝株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:高井英幸、以下東宝)は、次世代の映画上映方式として目される「デジタルシネマ」の配給から興行までのサービスモデルの確立や技術検証を目的とした共同トライアル(実験の名称「4K Pure Cinema」)を、2005年10月22日(土)から約1年間、実施します。
 本トライアルは、ティム・バートン監督の「コープス・ブライド」を第一弾として、DCI仕様準拠デジタルシネマを複数の商業用映画館にネットワーク配信し、継続的かつ常態上映するという点においては『世界初』の取り組みであり、最新作品をハリウッドからネットワーク配信し、革新的な最高品質の映像を世界に先駆けて全国一斉公開致します。


1.取り組みの背景と目的

 現在、映画業界では、従来のアナログフィルムを用いない「デジタルシネマ」と呼ばれる最先端の技術を活用した上映方式への移行が進展しています。このデジタルシネマの映写及び配給に関する技術仕様を制定するために2002年に7大メジャースタジオ※2によって設立された業界団体であるDCI(Digital Cinema Initiatives)は、4年間の検討期間を経て2005年7月、映画の中心地ハリウッドから世界へ向けて新たなデジタルシネマの技術仕様を発表しました。この技術仕様はDCI仕様と呼ばれ、デジタルシネマ技術の事実上の国際標準として映画産業へ大きなインパクトを与える可能性を持っており、今後、世界的にDCI仕様準拠の配給・興行システムによるデジタルシネマが本格的に普及すると予想されています。また、既に日本でも総務省のデジタルシネマプロジェクトにおいて研究開発を進めており、この新しい規格の活用に関する検討が進められています。
 このような背景のもと、DCI仕様策定にあたり、中心メンバとして主要な役割を果してきたワーナーブラザーズ、高品質な大容量コンテンツを高セキュリティに配信する技術を開発してきたNTT、さらに2001年夏に映画「千と千尋の神隠し」(制作:スタジオジブリ、配給:東宝)のデジタルシネマ配信実験の共同実施等で先進的な取り組みを展開してきた東宝とNTT西日本が各社の強みを軸に協力し、高速光ファイバー網を用いて配給から興行までの新たなサービスモデルの確立に向けて、デジタルシネマ共同トライアルを行うことに合意いたしました。
 今回実施される共同トライアルの主要な目的は、DCI仕様デジタルシネマの配給から興行までものプロセスについて総合的な評価を実施することです。このためトライアルでは、DCI仕様において最高水準となる4K規格(4,096×2,160画素、800万画素クラス)と、その4分の1の画素数を持つ2K規格(2,048×1,080画素、200万画素クラス)の両方での上映を予定しており、映像品質、運用体制、セキュリティ、ネットワーク配信や劇場運営のコスト等について、映画鑑賞者による評価も交えながら、技術や運用などの観点から幅広く実用性を検証いたします。また、日米間を高速光ファイバー実験回線でつなぎ、米国ワーナーブラザーズとNTT横須賀研究開発センタで上映作品を加工した後、NTT西日本の大阪データセンタへ配信、NTT横須賀研究開発センタおよびNTT西日本の大阪データセンタ内のサーバーから「VIRGIN TOHO CINEMAS 六本木ヒルズ」、「シネマ メディアージュ」、および「TOHOシネマズ高槻」の3劇場にコンテンツを配信します。同時に、NTT西日本の大阪データセンタではコンテンツを利用するための暗号鍵を生成し、上記3劇場に配信します。このような、将来的な映画配給に向けたネットワーク技術を検証いたします。

2.共同トライアルの概要

(1) トライアル期間
2005年10月22日(土)〜2006年8月31日(木)

(2) トライアル会場
送出センタ
WBEI Global Digital Media Xchange (米国カリフォルニア州ロサンゼルス)
配信センタ
NTT西日本 大阪データセンタ
NTT横須賀研究開発センタ
劇場(公開上映)
<東京> VIRGIN TOHO CINEMAS 六本木ヒルズ(港区六本木)
シネマ メディアージュ(港区台場)
<大阪> TOHOシネマズ高槻(高槻市)

(3) 上映作品
 
<1> 2005年10月22日(土)より全国一斉公開
「ティム・バートンのコープス・ブライド」4Kデジタルシネマ版
上映時間 :1時間17分
監督 :マイク・ジャクソン/ティム・バートン
声の出演 :ジョニー・ディップ、ヘレナ・ボナム=カーターほか
上映劇場 :シネマ メディアージュ、TOHOシネマズ高槻(予定)
 
<2> 2005年11月19日(土)先行上映、26日(土)より全国一斉公開
「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」4Kデジタルシネマ版(予定※3
上映時間 :未定
監督 :マイク・ニューウェル
J・K・ローリングスの作品に基づく
出演 :ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソンほか
上映劇場 :VIRGIN TOHO CINEMAS六本木ヒルズ、TOHOシネマズ高槻

<3> 2006年2月以降
タイトル未定

(4) トライアル内容およびトライアル参加者の主な役割
   本トライアルでは、米国の送出センタと日本国内の配給センタおよび劇場への光ファイバーネットワークや、暗号化、鍵管理システム、不正操作防止システム、セキュリティ管理を含むDCI仕様デジタルシネマの配信・上映設備を構築し検証を行います。これは、商業用映画館における常態興行として世界初のDCI仕様準拠デジタルシネマ上映となります。
 実験では、映像品質、鑑賞者による評価、運用体制、セキュリティ、ネットワーク配信や劇場運営コスト等技術面から事業面までさまざまな観点での検証が行われます。
 なお、本トライアル参加社の主な役割分担は以下のとおりです。

<WBEIおよびWEJ>
送出センタの構築・運用管理
DCI仕様準拠の高品質デジタルシネマコンテンツの提供
<NTT>
米国−日本、国内配信センタ間、都内劇場までの高速光ファイバー網の提供
配信センター(横須賀研究開発センタ)の提供
DCI仕様に準拠したデジタルシネマ配信システムの提供
<NTT西日本>
西日本エリアにおける高速光ファイバー網の提供
配信センタ(大阪データセンタ)の提供
デジタルシネマ用劇場機器制御装置の開発・提供
<東宝>
上映劇場の提供
劇場興行の運営
デジタルシネマ上映システムの運用管理

3.今後の取り組みについて

  映画業界は、21世紀を迎えて映画とデジタルテクノロジとの融合による大きな転換点に直面しており、これまでのアナログフィルムからデジタルシネマへの移行が模索されています。しかし、100年を超えて映画業界を支えてきたアナログフィルムの配給モデルに代わるデジタルシネマの実用的な配給モデルは未だ確立されていません。本トライアルでは、スタジオと映画館を高速ネットワークで結ぶ次世代の製作から配給さらには興行モデルの確立に向けて検討を推進します。さらに今後の取り組みとしては、映画作品数やトライアル参加者の拡大等についても検討を行う予定で、総務省のデジタルシネマプロジェクトとも連携し、本トライアルを通じてDCI仕様の普及を推進していく予定です。

※1 DCI仕様について
   2002年3月に大手7大メジャースタジオがデジタルシネマの映写及び配給に関する技術仕様を制定することを目的として、「DCI(Digital Cinema Initiatives)」を設立、2005年7月に最終仕様が決定し、現在国際標準化の手続きが進められています。なお、本トライアルにおいて、システムの都合上、一部でDCI仕様に完全準拠しない場合があります。
※2 7大メジャースタジオ
   ハリウッドのメジャー映画制作スタジオである、Warner Bros. Studios, Walt Disney, 20th Century Fox, Metro-Goldwyn-Mayer, Paramount Pictures, Sony Pictures Entertainment, Universal Studiosを指します。
※3 上映作品および邦題、ランニングタイム、上映劇場等は事情により変更される場合があります。



【別紙1】実験システムの構成
【別紙2】デジタルシネマの工程と各社の分担
【別紙3】デジタルシネマ劇場内システムの写真


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