(報道発表資料)
2005年8月5日
東邦ガス株式会社
リンナイ株式会社
日本電信電話株式会社
西日本電信電話株式会社


生活シーンに応じて進化する
ガス機器を中心とした総合生活支援サービスの実験開始


〜新たなサービスや機能アップに柔軟に対応して進化する
ホームサービス提供プラットフォームを利用〜


 東邦ガス株式会社(以下東邦ガス、愛知県名古屋市熱田区、代表取締役社長:水野耕太郎)、リンナイ株式会社(以下リンナイ、愛知県名古屋市中川区:代表取締役社長:山崎善郎)、および日本電信電話株式会社(以下NTT、東京都千代田区、代表取締役社長:和田紀夫)、西日本電信電話株式会社(以下NTT西日本、大阪府大阪市中央区、代表取締役社長:森下俊三)の4社は、共通のホームサービス提供プラットフォームを利用して、ガス機器を中心とした各種の生活支援サービスを実現できるシステムを開発し、共同実験を開始しました。
 今回開発したシステム上に、総合生活支援サービスとして以下のものを組み込みました。
 1)床暖房、お風呂の湯はり、照明、防犯機器などの操作を、携帯電話やICカードを用いて簡単に一括で行える宅内機器の遠隔制御、2)宅内で使用しているエネルギー機器の省エネルギーコントロール、3)ホームセキュリティ、4)人感センサなどによる子供や老親の見守り
 これらのサービスは、NTTサイバーソリューション研究所で培ってきた遠隔ソフトウェア配信技術(*1)、ホームサービス多重化技術(*2)をもとに開発したホームサービス提供プラットフォームに、東邦ガスとリンナイで培ってきたガス機器のIPネットワーク接続技術を組み合わせることで実現しました。
 これにより、1台の制御装置(ホームゲートウェイ、以下HGW)(*3)上で、今後、ますます多様化・高度化する様々なホームサービスの必要な機能をお客さまが自由に選択し、利用していただくことが可能となり、お客さまの生活シーンに合わせてサービスを進化させることができます。


1.本実験の背景と目的
 近年、一般家庭へのBフレッツをはじめとしたブロードバンドネットワークの普及やインターネット接続機能付の携帯電話の普及により、遠隔地からのガス機器のホームオートメーションやメール機能を利用したホームセキュリティを実現する通信環境が整ってきました。今後、ますます私たちの生活を快適で安全にする様々なホームサービスの提供が期待されています。それに伴い、家庭には多種多様なネットワーク対応機器が導入されていくと予想されますが、現在のホームサービスシステムは、サービスごとに専用のHGWを必要とするため、その設置場所の確保や費用などの課題だけでなく、操作性、利便性や通信安全性などで課題があります。
 本実験では、これらの課題を一気に解決し、生活シーンに合わせた快適・安全なホームサービスの早期実現を目的に、制御する機器の組み合わせによるサービス面、技術面の検証と更なる開発を進めます。

2.実験概要
 生活支援サービスを多重化したホームサービス提供プラットフォーム上で、各種ホームサービスの実使用条件下での利用実験を通して、以下の点について評価・検証を行います。
お客さま宅内における各種ホームサービスの操作性、利便性、通信信頼性
  安心してホームサービスを提供するためのプラットフォームの通信信頼性、機密性
  お客さま宅内の環境やホームサービスの要求に合わせたホームLAN構成方法

3.各社の役割
(1) 東邦ガス
 ガス機器の遠隔監視システムやインターネットを用いた自動検針など、これまでに培ったガス機器関連の情報通信技術のノウハウを活用し、ガス機器・エネルギー関連サービスの創造や、今回開発したOSGi標準(*4)に基づいたガス関連サービスの操作性・利便性の検証、ならびにガス機器のIPネットワーク接続装置の自動設定機能などの技術検証を行います。
(2) リンナイ
 今回開発した、給湯暖房用熱源機をはじめとしたガス機器のIPネットワーク接続装置の実使用条件下での信頼性の評価、ならびに将来的な装置の高機能化、低コスト化を検討します。
(3) NTT
 ホームサービス提供プラットフォームの提供および、OSGi標準に基づいたHGWのソフトウェア構成技術CSC(*5)、ホームネットワーク構築技術を提供し、その操作性やサービスを多重化したときの機密性やサービス展開の容易性を検証します。
(4) NTT西日本
 ホームサービスの通信基盤としてフレッツ・光プレミアムをはじめとしたブロードバンドネットワーク等の提供や構築を通して、将来におけるサービス提供について検討していきます。

4.システムの特徴
(1) 1台のHGW上で多様なホームサービスを提供    
 お客さまの生活シーンに合ったサービスを、ホームサービスを提供するデータセンタからHGWへ安全に配布することや設定することが簡単にできます。さらに、お客さまはサービスの追加や解約を簡単にHGW側から操作可能です。
 また、総合生活支援サービスでは、複数のホームサービスを一つのプラットフォーム上に多重化してサービスを提供しています。そのため、サービスソフトウェアやデータに他のお客さまがアクセスできないように、データセンタとHGWで一貫してお客さまのサービスごとにソフトウェアやデータを安全に分離する必要があります。本プラットフォームでは、各々のお客さまのアクセスを分離するために、サービス実行時のアクセス権チェックとホームサービス導入時のセキュリティチェックの2種類のアクセス権チェックを行い確実な分離を実現することで、セキュリティの高いシステムを実現しています。
(2) 簡単な操作で生活シーンに合わせた各種モードに一括切替
 在宅や外出などの生活シーンに合わせて、ガス機器、照明機器、セキュリティセンサ類を一括で制御することができます。お客さまは、煩雑な操作を行わず、「ICカードを読取り装置にかざす」、「携帯電話で操作する」、「ネットワーク対応テレビのリモコンを操作する」といった簡単な操作で複数の機器を一括で制御することができます。なお、制御する機器の組み合わせや動作は、お客さまが自由に選択でき、在宅時、外出時などのモードとして登録することができます。
(3) ガス機器のネットワークへの自動接続・自動設定
 ネットワークに自動で接続・設定を行う機能を搭載したIPネットワーク接続装置を開発しました。お客さまは、この装置を後付するだけで、従来のガス機器をネットワークに対応させることができ、HGWが自動的にガス機器を発見・登録するため、ただちにインターネットサービスを利用できるようになります。

5.今後の展開
 今後、共同実験で得た知見をもとに、年度内を目標に東邦ガス供給区域内において一般家庭での実証実験を行います。東邦ガスとリンナイでは、ホームサービスの操作性と通信信頼性の評価を進めながら、ガス機器を中心としたホームサービスのアプリケーション開発を行い、NTT、NTT西日本では、ブロードバンドネットワークを用いた様々なホームサービスを柔軟かつ安全に利用できるようホームサービス提供プラットフォームの開発に取り組んでいきます。



<用語解説>
(*1) 遠隔ソフトウェア配信技術
各ホームサービスを実現するソフトウェアをネットワークを介してデータセンタからホームゲートウェイに配布する機能と、その際にデータセンタとホームゲートウェイ間の相互認証などを行い、ホームサービスを安全に導入・利用するための技術です。
(*2) ホームサービス多重化技術
  一つのホームゲートウェイとデータセンタを用いて複数のホームサービスを多重化して提供し、ホームサービス間のアクセス制御などを行います。
(*3) ホームゲートウェイ
  ホームゲートウェイはホームネットワークシステムの中心となるもので、ホームLAN上で利用される様々なプロトコルの統合、機器の発見・管理、セキュリティの保護などを行います。具体的な形態は様々であり、独立した機器である場合や、ブロードバンドルータ、セットトップボックス、ホームサーバ、パーソナルコンピュータ等の中にその機能を実現する場合もあります。
(*4) OSGi(Open Services Gateway Initiative)標準
  OSGi Alliance(http://www.osgi.org)によって策定された、家庭・自動車・モバイル等の多様なネットワークに接続された機器に対して、様々なアプリケーションやサービスを配布・管理するためのソフトウェアのインタフェースを定めた規格です。
(*5) CSC(Communication Service Concierge)
  ホテルのコンシェルジェ(Concierge)のように、お客さまの個別要望の実現を手助けして快適な通信を実現することを目的としてNTTサイバーソリューション研究所で開発している技術です。OSGi標準に準拠・拡張したもので、情報通信機器を連携させるためのソフトウェア配信機能や安全なサービス実行環境を提供します。



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