1. 業 績 の 概 況



 当上半期におけるわが国経済は、個人消費や企業収益が引き続き横ばいで推移する中、設備投資に下げ止まりの兆しが見られるなど、一部に持ち直しの動きが見られたものの、アメリカ経済等への先行き懸念やわが国の株式市場の低迷により、依然として厳しい状況が続きました。

 情報通信市場におきましては、「電子メール」中心の利用から「ネットショッピング」や「動画の視聴」等へと利用用途が拡大し、利用場所についても外出先での利用が増加するなど、日常生活へのインターネットの浸透に伴い、ニーズの高度化、多様化がより一層進展するとともに、従来のダイヤルアップ接続を中心としたナローバンドから、ADSLや光を中心とした常時接続のブロードバンドでの競争環境に急速に移行するなど、サービス面・設備面の両分野において、熾烈な競争状態に突入しております。

 このように、市場構造の変化は予想を超えるスピードで進行していることから、その変化に的確に対応し、NTT西日本としての会社発足以来の目標である「平成14年度収支均衡」の達成と、それ以降の安定的黒字化を実現するため、経営の革新に向けた抜本的な見直し、並びにお客様ニーズを的確に捉えたサービス展開による収益の拡大に最大限の努力を傾注して参りました。

 経営革新に向けた抜本的な見直しにつきましては、これまで培ってきた「安心・安全・信頼」、「先進的技術・サービス」というブランドイメージに加え、「コスト競争力の強化」や「意思決定の迅速化」を図るため、平成14年5月1日に構造改革を実施致しました。
 これにより、NTT西日本は企画・戦略・サービス開発機能に加え、お客様に対するサービス提供責任を果たすための基本機能等に特化し、それ以外の顧客フロント業務、設備オペレーション業務、SOHO・マス営業に関する業務、及び共通業務等については、新たに設立したグループ会社にアウトソーシングするという体制をスタート致しました。この新しいグループフォーメーションを最大限に活用し、コスト競争力の強化、NTT西日本グループトータルでの事業拡大、業容拡大を図って参ります。

 また、お客様ニーズを的確に捉えたサービス展開による収益の拡大に向けては、新しい収益源の柱を確立するため、本格的なブロードバンド時代に迅速に対応し、競争に打ち勝つ光サービスの展開を図る必要があることから、<1>ブロードバンドの市場創造、<2>料金競争から付加価値競争への転換を指向したサービスの差異化、を戦略目標として開発・展開を行い、IP系収入の確保・増大を図って参りました。更に、いかにコアビジネスを強化・拡大していくかが重要となっている現在において、経営課題を解決し、企業価値を高めるためにITを活用することが必要不可欠であるとの観点から、ビジネスの上流工程における課題解決のコンサルティングから、情報通信システムの構築、保守・運用管理まで、お客様の多様なニーズに柔軟に対応するソリューションビジネスを展開するとともに、お客様利便性の向上にも積極的に取り組んで参りました。

 具体的には、以下の取り組みを実施して参りました。

  (1)

既存サービスのエリア拡大
 平成13年8月から提供しております、加入者光ファイバを利用した定額制サービス「Bフレッツ」につきましては、従来、NTT西日本エリアの県庁所在地級都市を対象に、ピンポイント展開でサービスを提供して参りましたが、お客様からのブロードバンドニーズにお応えするため、サービス対象エリアを西日本エリアの全市制施行都市等に拡大致しました。

  (2)

新サービスの提供
 現在提供中のBフレッツ4タイプ(「ビジネスタイプ」「ベーシックタイプ」「ファミリータイプ」「マンションタイプ」)に加え、最大100Mbpsのアクセスラインを一般のご家庭向けに割安な価格で提供する「ファミリー100」を追加致しました。
 また、フレッツシリーズをご利用いただいているお客様を対象に、外出先のスポットから、高速・定額料金でインターネット等へアクセスできる無線LANサービス「フレッツ・スポット」の提供を開始したことに加え、平成14年8月より、大阪府エリアのお客様向けに、映像・音声・テキスト等による多様なコミュニケーションを実現するサービス「フレッツ・コミュニケーション」の提供を開始し、平成14年10月、NTT西日本のフレッツシリーズ提供全エリアにサービス提供地域を拡大致しました。
 更に、現在提供中の「フレッツ・ADSL」の2つのプラン(「1.5Mプラン」「8Mプラン」)に加え、下り最大概ね12Mbpsで接続する「フレッツ・ADSL モア」を提供致しました。(平成14年11月サービス開始)

 この他、ブロードバンドネットワーク上でコンテンツ流通事業を行うことを目的に設立したエヌ・ティ・ティ・ソルマーレ株式会社において、平成14年6月、駅やCD販売店等に設置する光ネットワークと接続した街頭端末「Foobio(フービオ)端末」を利用して、屋外でPDA(携帯情報端末)等のモバイル機器を利用されるお客様向けに、映像や音楽等の大容量コンテンツのダウンロード販売を行う「Foobio(フービオ)」の提供を開始致しました。

  (3)

ソリューションビジネスの展開
 様々なソリューションを業種別等に体系化し、「prosol(プロソル)シリーズ」として従来から提供して参りました、リスクマネージメントソリューション「D.prosol」(ディプロソル)と地方公共団体向けトータルソリューション「G.prosol」(ジィプロソル)に加え、業種を問わず、低コストで短期間に企業のIT化を実現する商流(商取引のサイクル)最適化トータルソリューション「C.prosol」(シィプロソル)、教育情報流通の促進と活用により教育を支援し、主体的な学習機会を提供する小中高向け教育トータルソリューション「E.prosol」(イープロソル)の提供を開始するなど、トータルソリューションを提供して参りました。

  (4)

お客様利便性の向上
 従来、INSネットサービスを契約されているお客様について、同一の電話番号で加入電話へ移行できないケースがありましたが、お客様のニーズにお応えし、INSネットサービスをご利用の全てのお客様を対象に、現在の電話番号を変えずに加入電話へ移行(同番移行)できるように致しました。


 これらの取り組みに加え、平成14年7月に発生いたしました、大阪府下および兵庫県の一部における、特定の回線からの多数の機械的不完了呼発信による輻輳(ふくそう)に対応するため、平成14年8月1日、総務大臣に対し、電話サービス及びISDNサービスの契約約款の改正の認可申請を行い、翌日、認可されました。改正後の契約約款におきまして、<1>特定の契約者回線から、故意に多数の不完了呼が発生し、輻輳が生じるおそれがあると当社が認めた場合は、その契約者回線の利用を停止すること、<2>その契約者回線から同様の行為が繰り返される場合はその契約者回線の契約を解除すること、<3>新たな契約の申込みがあった場合に、その申込者が同様の行為を行うおそれがある場合には、その申込みを承諾しないこと、を明確化し、良質かつ安定的なサービスの提供に向け、取り組んで参りました。


 以上の結果、当上半期における主なサービスの状況は、一般加入電話については9月末の施設数が2,552万加入、INSネットサービスについてはINSネット64の9月末の施設数が487万加入となり、専用サービスにつきましては、高速ディジタル伝送サービスの9月末の施設数が26万加入となりました。

 また、当上半期における営業収益は、1兆1,034億円となり、経常利益は110億円、中間純利益は140億円となりました。


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