1.業 績 の 概 況



 当上半期におけるわが国経済は、個人消費が概ね横ばいの状態で推移し、「IT不況」と言われる世界的なIT産業の停滞と相俟って、輸出や生産、設備投資が減少しており、依然として厳しい状況が続きました。

 情報通信市場におきましては、グローバル化、ボーダレス化が極めて速いテンポで進展するとともに、通信事業者の合併・買収や提携の動きが活発化するなど、通信事業者間の国際的な大競争(メガコンペティション)の時代に突入している中、情報通信技術の飛躍的な発展及び政府による「e−Japan戦略」等の基本方針に基づく国をあげたIT施策の推進により、“音声通信からデータ通信へ”という市場環境の変化が一層進展し、国境や業種を超えた激しい顧客獲得競争が展開されました。
 また、高速・大容量のインターネット・アクセスサービスへの需要が高まる中、「ブロードバンド」をキーワードとした、ADSL、CATV、FWA、FTTHなどの多様な通信方式が競合し、各事業者間の価格競争がますます熾烈化するとともに、VoIP技術の普及により、音声通信事業への影響が出てきております。

 このような事業環境の中で、当社は「黒字構造への転換」、「情報流通企業への変革」の2大経営目標の達成に向け、「中期経営改善施策」及び「NTTグループ3ヵ年経営計画(2001〜2003年度)」にNTTグループの一員として総力をあげて取り組み、安定した経営基盤の確立に向けた経営の効率化や価格競争力の確保・強化に努めるとともに、IP需要を喚起するための情報流通系商品の提供などに注力して参りました。
 しかしながら、市場構造の変化は予想を超えるスピードで進行していることから、その変化に的確に対応し、将来にわたり安定した財務基盤を確立するなど、IT革命への積極的貢献を通じた存在感のある会社として発展することを基本理念に据え、NTT西日本グループとしての成長・発展の道筋の創出に向け、IP関連収益の確保・増大に積極的に取り組むとともに、聖域なき全面的なコスト構造の見直しを徹底する「NTT西日本の構造改革」の実施に向けた取り組みを進めて参りました。

 経営の効率化につきましては、平成12年度に引き続き、IP時代にふさわしい情報流通営業体制の構築や市場性の高いエリアへの人員の再配置、希望退職の実施など、収益力の強化並びにコスト構造の改善に努めて参りました。
 加えて、「NTT西日本の構造改革」の推進に向け、NTT西日本本体は企画・戦略・サービス開発機能に加え、お客様に対するサービス提供責任を果たすための基本機能等に特化し、それ以外の顧客フロント業務、設備オペレーションに関する業務、SOHO・マス営業に関する業務、共通業務等については、グループ会社にアウトソーシングするという大胆な見直しを行うべく検討を進めております。
 また、設備投資については、良質かつ安定的なサービスを維持しつつ、既存設備の徹底利用等によるコストの低廉化を意識し、収益の確保に重点をおいた、タイムリーかつ効率的な投資を実施するなど、徹底したコストリダクションを推進して参りました。

 価格競争力の確保・強化につきましては、優先接続(マイライン)制度の導入に対応した戦略的な料金値下げや割引サービスの拡充等により、競争力の強化並びにお客様利便性の向上を図り、シェア確保に全力で取り組んで参りました。
 具体的には、平成13年5月1日より、昼夜間の市内通話料金を3分8.5円に値下げしたことに加え、当社にマイラインプラスを登録していただいたお客様を対象とした各種割引サービスの割引率の拡大や月額定額料の減額等を実施するとともに、これらの料金値下げや割引サービスを武器に、固定優先接続回線の獲得に向け、総力を結集して積極的な営業活動を展開して参りました。

 情報流通系商品の提供につきましては、世界水準の低廉かつ高品質なインターネット接続サービスの提供を目標に、「より安く、より速いインターネット・アクセスサービスを」というブロードバンドサービスに対するお客様ニーズの高揚に応えるべく、インターネット・アクセスサービスのフルラインアップ化や料金値下げを実施して参りました。
 具体的には、現在提供中のインターネット向け完全定額制サービス「フレッツ・ADSL」、「フレッツ・ISDN」の提供エリア拡大や料金値下げを実施するとともに、加入者光ファイバを利用し、インターネットに高速で接続する定額制サービス「Bフレッツ」の本格提供やメニュー拡充など、ブロードバンドアクセスサービスの提供を推進して参りました。
 また、ディジタルディバイドの解消に向け、家庭の電話機等から情報の検索やメールの送受信などができる「Lモード」サービスの提供を開始するなど、身近に利用できる新サービスの提供を通じて、インターネット利用の裾野拡大を図って参りました。
 さらに、新規事業分野の開拓に向け、ブロードバンドネットワークに向けたコンテンツ配信事業を行う「ティーエフエム・インタラクティブ株式会社」の設立への参画や、東宝株式会社と共同で、光アクセスラインによる映画コンテンツ配信実験を実施するなど、グループ会社や他企業と連携し、より高度で豊かなコンテンツやアプリケーションを活用できるサービスの開発、提供にも積極的に取り組むとともに、マツダ株式会社グループ様におけるネットワーク業務の構築・保守・運用等を全面受託するなど、ソリューションビジネスの積極的な展開を推進して参りました。

 以上の結果、当中間期における主なサービスの販売状況は、一般加入電話については9月末の施設数が2,586万加入、INSネットサービスについてはINSネット64の9月末の施設数が490万加入となり、専用サービスにつきましては、高速ディジタル伝送サービスの9月末の施設数が25万加入となりました。
 また、当中間期における営業収益は、1兆2,069億円となり、経常損失は755億円、中間純損失は511億円となりました。



戻る
Copyright(c) 西日本電信電話株式会社