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“人口最少” × “工夫” No.1 = めだけではない。しっかりとしたデータ に裏付けられた情報を元に打ち出され ている。「蟹といえば、北海道のイメージ が強いですが、実は2位の北海道と約 5、000tの差をつけて、鳥取県は水 揚げ量トップ。星についても、環境省が 実施した『全国星空継続観察』で何度も 日本一を獲得しています。さらに梅雨時 期でも光の透過率が高いなど、明確な データに基づいた施策なのです」と岩下 氏は話す。  2つめの柱が、企業誘致だ。鳥取県は、 全国でもトップレベルの企業誘致・工場  柱のひとつめ、観光振興について、鳥 取県観光交流局観光戦略課課長の岩下 久展氏はこう語る。  「我が県は、莫大な観光資源があるわ けではなく、黙っていても人が来てくれ るようなところではありません。だから こそ、人の心に刺さる尖った.形で情報 を発信していく必要があるのです」  その尖った.施策のひとつが「蟹取県 ウェルカニキャンペーン」だ。2014 年 11 月に開始された同施策は、ベニズワイ ガニ漁解禁に合わせて、県内に宿泊した 旅行者の中から抽選で毎月100名に 旬の松葉ガニ・ベニズワイガニをプレゼ ントするというもの。新キャラクター 「カニダー」と「カニ取団」も登場した 2016年度は、多くの人の興味喚起に つながり、大盛況だったという。また今 年度は、「CATCH the STAR 星取県」と銘打ち、美しい星空を観測で きるポイントが数多くあることをPR する施策を実施。様々な観測スポットや 星空を楽しむアクティビティの紹介を 行い、話題を呼んでいる。  一連の施策は、インパクトを与えるた  「スタバはないけど、日本一のスナバ がある*」。  日本で唯一スターバックスコーヒー がない県の知事としての意見を求めら れた鳥取県知事の平井伸治氏が発した キャッチコピー。ここにはいろいろな思 いが込められている。  スタバはないが、それを補って余りあ るコンテンツの存在をキャッチーに伝 え、いい意味での騒ぎを起こした(話題 を提供した)こと。つまり、人口最少県と 呼ばれるなど課題を抱えていた鳥取県 が、「ないならないで、あるものをどうに か相手に刺さるように料理する」といっ た思いも込められていたといえる。  現在まで、そうした思いに基づいた 様々な施策が打たれ、地方創生・地域活 性化を一歩ずつ前へと進めてきた鳥取 県。中でも、その重要施策として進めて いるのが「観光振興」「企業誘致」「子育 て・移住支援」の3つの柱だ。 などの新増設補助の助成制度を活用で きる自治体。今では数多くの企業が、試 作開発拠点・工場などの建設に積極的に 取り組んでいる。その核となるキーワー ドが「戦略的な企業立地の促進」だ。  鳥取県商工労働部立地戦略課課長補 佐の田中稔氏はこう話す。  「真に鳥取県が発展していく産業構造 を築くには、『雇用の質の向上に資する 足腰の強い産業構造の構築』をしなけれ ばならないと考えています」  田中氏のいう足腰の強い産業構造に は、3つの要素が欠かせない。まず、県内 企業に波及効果があり、産業の裾野拡大 につながるセットメーカーの立地や航空 機・自動車・医療機器といった成長著し い分野のバリューチェーン構築。次に、 「ないならない」でどうすれば 刺さる情報として料理できるか 明確なデータに裏付けられた 人の心に刺さるPRの形 県立ハローワークの開設で 攻めの人材確保を実現 *2017年7月現在、鳥取県内にもスター バックスコーヒーが出店している。 日本一の水揚げ 量を誇る蟹をトリ ガーにした「蟹取 県ウェルカニキャ ンペーン」 美しい星空を堪能 してほしいという 思いで「星取県」を 名乗ることに 特 集 西日本ビジネス特集 鳥取県 “無”を“有”にする発信力 刺さる情報が価値を生む 「人口最少県」といわれる一方で、「住みたい田舎ベストランキング (2017年版)」で堂々の1位を獲得する鳥取県。企業誘致でも人気を博し ており、日本各地から工場や研究施設の移転を行う企業も多い。そして、 雄大な鳥取砂丘をはじめとした自然などのコンテンツを効果的にPRし、 県のブランディングにも成功している。観光客、移住・定住者を呼び込む ことなどにより、地域活性化に取り組む鳥取県の戦略・思いに迫る。 5  vol.22  vol.22 4