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の 極意 アンド ー池田先生といえば、『ベルサイユの ばら』(以下、ベルばら)『オルフェウス の窓』といった大ヒット少女漫画の作 者だと思い浮かべる人が多いと思うの ですが、漫画を描くお仕事を始めた きっかけはなんだったのでしょうか。  実は、漫画を描きはじめたのは、生 活していくための糧としてなんです。 自活していくために、いろいろなアルバ イトをしていたのですが、そのひとつが 漫画でした。でも、特に漫画にこだわっ ていたわけじゃありません。もともと、 絵を描くのも好きでしたし、文章を書 くのも好きでしたから、もしかしたら 小説家になっていたかもしれない。ちょ うどそのとき、認められたものが漫画 だった、という感じでしょうか。 ーすごく意外です。最初から漫画家 を志し、自身の腕を磨き続けておられ たのかと…。ちなみに、『ベルばら』です が、構想はかなり前の段階から温めて おられたのですか。  私は、高校二年生のときに読んだ シュテファン・ツヴァイクの『マリー・ア ントワネット』に感銘を受けて、マ リー・アントワネットの一生を描きた いと思っていたんです。でも、編集の方 に「少女漫画で歴史物はあたらない」 と、言われてしまって。それでも、描き たいと言ったら、ダメだったらすぐに ビジネス上はもちろん、様々なシーンで人との関係を築いていく上で、相手の心に響く 意志伝達の方法は重要なもの。だが、そのように、相手の心を響かせることは容易ではない。 そこで、漫画家・声楽家として、漫画と音楽という表現を用い、 多くのファンの心をつかみ続ける池田理代子氏が、 長きにわたり人の心を響かせ続けている理由に迫った。 顧客との関係づくりの プロに聞く 打ち切りますからねって…。でも、「絶 対ヒットする!」という自信はありま した。 ー結果、『ベルばら』は社会現象も巻 き起こすほどのヒット作になりまし た。なぜ、あれほど多くの人の心をつか む作品になったのでしょうか。  それはとても難しい質問ですね。た だ、『ベルばら』に限らず、作品は、私の 人生そのもの。持って生まれたものに 加え、聞いた音楽、読んだ小説、見た映 画など、経験したいろいろなものを通 じて磨かれた感性があってこそ、生ま れたと思っています。そんな私の表現 したものが多くの人に認められた、つ まり、私の感性にも共感してもらえた ということかもしれませんね。 ーなるほど。とはいえ、先生の作品 は、魅力的な主人公はもちろん、憎みき れないバックボーンを持つ人物がス トーリーに深みをもたらしていますし、 せりふ回しも秀逸で引き込まれます。 やはり何かがあると思うのですが。  そうですね…実は私、「悪人を描けな い」のです。だって、根っからの悪人なん てそうはいませんよね。皆、育った環境 とか、家族を守るためとか、何らかの理 由も持っている。それらが、物語の深み であり、キャラクターの魅力につながっ ているのかもしれません。  あと、せりふ回しについてですが、私 はとても重要だと考えています。漫画 というのは、日本が持つ希有なメディ ア。だからこそ、きちんとした言葉を使 い、漫画自身を学びの場にすることも 大事です。 作品は人生そのもの. 自分の経験が全て出る バックボーンを考えるから 「悪人は描けない」 池田 理代子漫画家・声楽家 c池田理代子プロダクション 15 vol.10  vol.10 14