神進取の 精 ホテルスタッフの親戚か家族のように、 宿泊する際に土産物を持参したり、 近くに来たからという理由で土産物 だけを渡して帰って行くといったお客 様もいるのだという。スタッフのフレ ンドリーさが、お客様にもうまく伝 播し、ホテルを��自分の家.に近いもの として、親しみを感じてくれているわ けだ。 　中には、祖父母・父母・孫と、3代に わたってホテルニューオータニを利用 し、人生の節目全てにホテルを利用し ているというお客様もいることから、 その距離感がいかに心地良いものと して、受け入れられているかがわかる。 　進取の精神と距離感。ホテルニュー オータニのサービスに欠かせない2つ の要素は、どのようにして進化し続け てきたのか。現在、その進化の極みと してあらゆることに挑戦し続けてい るのが、2007年、日本初の「ホテ ル イン ホテル」として誕生した「エグ ゼクティブハウス 禅」だ。 　エグゼクティブハウス 禅は、従来の 　距離感。それは、訪れるお客様とホ テルスタッフとの関係性だ。ホテル ニューオータニのスタッフは、お客様が 発する言葉はもちろん、漂わせる雰 囲気から得られる多くの情報を取得 することを何よりも重要視している。 そのため、お客様にフレンドリーさを 感じさせつつ、節度ある接し方をする のが、同ホテルにおける接客の特長の ひとつだ。マネージメントサービス部 マネージメントサービス課 広報マ ネージャーの今井章江氏はこう語る。 　「実際にお客様の心に寄り添うこと で、発するメッセージを感じやすくな ることはもちろん、お客様に『自分の ことをよくわかってくれているな』と 親近感を感じていただき、自分が何 をしたいのかをより発信してもらいや すくするための姿勢でもあります。お 客様が居心地良く過ごすためのサー ビスを、お望みの形で提供する。それ を知るため、お客様の望む距離感でお 客様に寄り添うことが重要なのです」 　その距離感の絶妙さを物語るエピ ソードがある。お客様の中には、まるで 自身も認識していない願望を かなえてくれるから心地良い 近い距離で接するからこそ お客様の真なる願望が見える ザ・メイン、ガーデンタワーに加えて、 日本のおもてなし文化にも受け継が れている��禅.の精神をコンセプトに、 「特別な人と、特別なときに過ごす空 間」というホテル内での明確な役割を 担って誕生した。 　しかし、課せられた役割はそれだ けではないと、エグゼクティブハウス 禅 支配人の佐藤智子氏は語る。 　「エグゼクティブハウス 禅は、創業 者の進取の精神を最も色濃く受け継 いだものだと考えています。専任ス タッフが絶妙な距離感で、お客様が言 葉にされない思いまでを読み取り、高 いホスピタリティーを提供する。お客 様がそのとき欲しいと感じたものを、 最適なタイミングで提供するのが何 よりも大事だからです。私たちは、お 客様の心に響くサービスを提供する ためなら、これまで通常のフロントク ラークとしては提供したくてもでき なかった、一歩踏み込んだサービスに も挑戦しても構わないというお墨付 きを会社からもらっています。いわば、 あらゆるもの・ことに挑戦していくた めの��自由の翼.を与えられた存在だ と思っています」 　そして、その翼には、ザ・メイン、 ガーデンタワーも含めた、ホテル ニューオータニ全体の牽引役としての 役割もある。エグゼクティブハウス 禅 で得られた様々な知見は、その他の部 門にもしっかりと共有され、水平展開 されていく。そして、時には他部門で ブラッシュアップされて再び戻ってく るという流れの源流、新しいことに挑 戦しつづける進取の精神の先導役と しての役割も担っているといえる。 　そんなエグゼクティブハウス 禅で の、お客様との距離感の取り方は、ホ テルニューオータニの神髄ともいえる。 　あるお客様が、食事をして戻ってこ られた際に発した「ひとりだと、どん なおいしいものでも味気なく感じる ね」という一言。そこから「おひとりでい たくないのかもしれない」と感じたス タッフが、お客様のそばに寄り添い、他 愛もない話で小一時間過ごした。その 後、部屋に戻ろうとするお客様が、こ う漏らしたという。「今日、親友が亡 くなったんだ。話し相手になってくれ てありがとう」と。お客様自身も認識 していない、心の奥底にある願望を読 み取るスタッフ。それが、ホテルニュー オータニ全体に漂う、��つい帰って来た くなる雰囲気.につながっている。 全てに通ずる理念を、 成果を生む“ 自由の翼” あの企業が愛される理由株式会社ニュー・オータニ 禅 ホテル ニューオータニ ザ・メインガーデン タワー 共有 昇華 昇華 エグゼクティブハウス 5 vol.10 　vol.10 4