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品目が8400もあることにつなが る。その数字は、日本食研が顧客の ニーズに応え続けている証しだ。  日本食研には、大きく分けて2種 類の顧客がいる。ひとつは同社の業務 用調味料を使ったスーパーマーケット や食品加工場などの企業顧客だ。  こうした顧客に対し、同社は販売代 理店を通さない「直販体制」と呼ばれ る体制で、営業担当者がダイレクトに 顧客を訪問し、吸い上げ たニーズを研究開発部 門・製造部門などに速や かにフィードバックし、課 題解決に取り組む。そん な三位一体.の姿勢もま た、コト発想によって行わ  コト発想とは何か。実は、前述の 白衣.の持参営業という創業時から の取り組みが、その考え方を端的に 表している。経営企画部 経営企画グ ループ 広報担当の龍田美依氏はこ う語る。  「ただ単にモノ.を売るだけではな く、それらを使ってどんなコト.がで きるかをお客様に提案するという発 想の仕方です。たとえば、あるオイル ソースを新開発した場合、普通に考 えれば、スーパーマーケットの担当者 の方に『新しいオイルソースを開発し ましたので買ってください』となるの でしょうが、私たちは違います。『新し いオイルソースを開発したのですが、 これを使ったレシピを売場に掲示し れているのだ。顧客の声を色濃く反映 させるため、社内にお客様をお呼びし て、商品開発できるテストキッチンを設 置し、営業担当・研究開発・顧客を交 えた商品開発も頻繁になされている。  愛媛総務部 総務グループリー ダー 飛鷹誠氏はこう語る。  「コト発想という言葉については、 5.6年ほど前に社内で明文化され たのですが、それにより社員の動きが 大きく変わったということはありま せん。それはなぜかというと、『お客様 と共生して成長していくことが何よ り大事。そのために何をすればいいか を考えよう』という、創業者で会長の 大沢一彦の考えが創業当時から浸透 て、使い方を合わせて買い物客に見せ れば売れるはずです』と。もっと踏み 込めば、『今夜の夕食のメニューにチ キンのバジルソース焼き.をオススメ しましょう』と商品を使って、メニュー までも提案するのです。お客様の課 題を解決し、売り上げを伸ばすため のソリューション提案をしているイ メージでしょうか。そのために白衣を 持参して、お客様と一緒に実際に調理 するといったことも多々あるのです」  顧客のところへ出向き、可視化さ れている課題はもちろん、綿密なヒ アリングにより潜在的な課題をも解 決するために知恵を絞り続けるとい う営業スタイル。懐深くに入り込ん でニーズをキャッチし、食にまつわる 課題を解決する提案を行うのだ。  そして、課題を解決するためな ら、たとえ少量であっても商品を新 規開発するという姿勢が、年間販売 しており、皆が自然とコト発想で業 務をしていたからだと思っています」  そんなコト発想の浸潤は、同社の 売り上げを見れば一目瞭然だ。現 在、たれ類出荷量・国内ナンバーワン の同社は、売り上げで前年度の数字 を割り込んだことがない。創業以 来、年々成長を続けているのだ。  もちろん、コト発想だけでは、顧客 の課題は解決できない。コト発想によ る課題解決のための下地となる確固 たる技術力が、日本食研の大きな力 となっている。その技術力を高めるた めの取り組みのひとつが、社内の「調 味料ブレンダー資格制度」だ。ブレン ド調味料の細かな調合を正確無比に 成長し続けているという事実が コト.を売る有意義さの証明 自社商品による ソリューション.を提案する スタイルが何よりの強み 行うことにより、顧客の細かなニーズ に合った調味料の開発に寄与してい る。このブレンダー資格者が営業担 当者に同行し、商談の場などでヒアリ ングをすることも多々あるという。  そうやってヒアリングした情報 などを元に、ブレンダー資格者が 1300種類もの原料から配合した ブレンド調味料だからこそ、多くの顧 客に満足してもらえるのだという。ブレ ンダー資格者の味覚の鋭さ、ノウハウの 素晴らしさはもちろん、未だかつて、最 高級である1級ブレンダーが誕生し ていないほど、甘えを許さない厳しい 基準で、徹底した品質維持・向上をめ ざしていることも、その背景にはある。 あの企業が愛される理由日本食研ホールディングス株式会社 ▲資格認定者がつけるブレンダーバッジ。 モノ.を売るだけではなく コト.を売るから成長する 日本食研 企業顧客一 般 消 費 者 コト発想 .イメージキャラクター 「バンコ」もテレビ番組 内で、“コト発想”につ ながる様々なメニュー 提案などを行っている。 単に“モノ”を売るだけでは なく、それらを使ってどんな “コト”ができるかを顧客に 提案するという考え方 5 vol.9  vol.9 4