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ーご自身のコンサートはもちろ ん、作曲や異業種の方とのコラボ レーションなど、様々な舞台で活躍 をされている川井さんですが、ヴァ イオリンを始められたきっかけは何 だったのでしょう。  6歳の時に、ラジオから流れてき たヴァイオリンの音色に心を奪われ たんです。確か、母と洗濯物をたたん でいた時だったのですが、その場で 「私もこんな音を出してみたい!」っ て、ヴァイオリンを始めていいか母に お願いをしました。何度も何度もお 願いして、もう無理かなって諦めかけ ていたころ、ちょうどクリスマスで、 父がサプライズでヴァイオリンをプ レゼントしてくれたんです。あのと き、初めてヴァイオリンを手にした感 動は、今も色あせていません。 ーそんな川井さんが、音楽の道を 進んでいこう、と考えられたターニ ングポイントはいつだったのですか。  「プロをめざしてみたら」と勧めら れて、小学校4年生のとき、師事する ことになった先生に、「今から必死で やらないと、東京芸術大学は無理!」 と言われたのがターニングポイント でした。正直、まだ小学生だった私 は、芸大と言われても何のことかわ からなかったのですけど、先生の熱意 だけはすごく伝わってきたんです。  ああいう年ごろって、そういう特 別感にはすごく敏感でしょう。私も 「あぁ、私は芸大に入るっていう特別 な目標に向かっていくんだ」って、と きめいたんです。でも、実際に芸大に 入ってみると、その気持ちが薄れてい きました。  というのも、クラシック音楽を奏 でるとは、偉大な作曲家の意図を表 現するということ。すでに数多くの 名演奏があるのに、私がそれを弾く 意味はあるのかを考えたら、何だか むなしさを感じてしまって…。  その背景には、高校時代から「ス テージ恐怖症」になってしまっていた こともあるかもしれません。観客が全 て審査員に見えてしまうこともあり ました。そのせいか、練習では難なく できていることが、ステージ上では失 敗してしまう。そして、自分にまった く自信が持てなくなっていたんです。  私はあまり、社交的な方ではな く、心の中にバリアを張ってしまう方 なのですが、どこか、観客に対しても バリアを張っていたのでしょうね。 「相手は受け入れてくれる」「怖くな い」って、バリアを取り払って思い切 り開き直って素直な思いをぶつける ことが大事だったのに、そのときの私 にはできなかったんです。 ーいったいどのようにして、自信を 取り戻されたのですか。   20代 、 私 は ク ラ シ ッ ク の 呪 縛 に と ら われて、悩み続けていました。ですが、 ちょうどそのころ、ポップスをヴァイオ リンで弾くという形で、海外デビュー の話をいただいたんです。「クラシック の枠にとらわれない、様々なジャンルの 音楽に携わることができる」と思い、と てもうれしかったのを覚えています。  ただ、ヴァイオリンの新しい可能 性を感じることができるようになっ たと同時に、どんな音楽でも弾いて いるうちに、「果たして、他ジャンルの 曲をヴァイオリンで弾くことが、私の 心のバリアを取り払って 素直な思いをぶつければいい きめきが音楽を 奏でる原動力に めの気持ちが クラシックの呪縛を解いた “響く”顧客コンタクトの演出 と 攻 ビジネスを円滑に進めるうえでは“心に響かせ、印象的な顧客コンタクトを演出” することが重要になる。だが、相手の心を響かせ、自社の存在を際立たせることは 容易ではない。そこで、様々な形で音楽を通じて、多くの人の心を魅了し続ける、 ヴァイオリニスト・作曲家の川井郁子氏に心を響かせるための妙技を聞いた。 ヴァイオリニスト・作曲家 15  SPRING  SPRING 14