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詩 人 ーこれまで、数多くの作品を作り 続けてきた谷川さんですが、詩を書 くきっかけは何だったのでしょうか。  高校生のころ、友人に誘われたん です。特に詩には興味がなかったので すが、「同人雑誌を作るから、お前も 書いてくれ」と言われましてね。詩な んてほとんど書いたこともなかったの ですが、まぁ書いてみようかと思った のがきっかけでした。  「詩とは何か?」なんてわからな かったのですが、なぜか書けてしまっ たんですね。そのうち、雑誌に投稿す るようになって、自分の書いた詩で原 稿料をもらえるようになりました。 ーこれまで数多くの作品を世に出 し続けてこられたのは、言葉を紡ぐ ことに対してのひらめきや気付きが あったのではないかと思うのですか。  特にないですね。ただ、言葉という ものは、「人間にとって人間たり得る 根源にあるもの」だと常々考えてい ます。  そんな言葉が持つ力というのは、一 言で言えば「生身の心身が感覚で受 け止める現実の混沌を、抽象化して 整理する力」。でも、言葉と一口に言っ ても、個人に向けられた感情的な言 葉と、文字として不特定多数に向け られた理性的な言葉では、その力の 働き方が異なります。  ひとつ、全ての言葉に共通している のは、「言葉がなければ、文化や文明は 生まれてはいなくて、もっと混沌とし た世界になっていたのではないか」とい うこと。それこそ人間が、食べてセック スして寝る、というところから一歩抜 け出せたのは、言葉を有するように なったからだと思うんですよね。  そんな言葉の中でも、詩は特殊な 位置づけにある気がします。私たち 作る側だけで完結するものではなく て、読む側の受け取り方でいろいろな 意味を持つことができるものだから です。それに、詩はすぐに読めて、小説 とは違って何度でも読めるという利 点もあります。そして、読む人次第で 意味も微妙に変化するものですから。 ー確かに、谷川さんの詩を読むと、 思わず口ずさみ、そして読む時々に よって、ドキッとしたり、ワクワクし たり、ゾクゾクすることもあります。 読む側にそんな風に感じさせる言葉 の使い方とは、どういったものだとお 考えでしょうか。  言葉というのは、文脈によって生き も死にもするものですから一概には 言えませんが、基本的に「真実を語 る」「偽善ではない」言葉には、迫力が あります。それと場.によって、大き く左右されるものです。相手をおも んぱかるが故に、真実を伝えないこ ともあるでしょうし、相手の成長を 促すために、あえて厳しい言葉を伝 えることもあるでしょう。そうしたこ とって、本能的にどんな人でもやって いることだと思いますよ。 ー今のお話は、相手の心にしっか りと伝え、響かせるのが大事だとい うことではないかと思うのですが、 「相手の心に響く言葉」というのはど んなものなのでしょうか。  それは「自分をごまかさずに、相手 を恐れずに真実を告げる言葉」で しょうね。ただ、そこに自分の深い感 情がこもっていなければ、相手には響 かないと思います。 言葉は、人間にとって 人間たり得る根源にあるもの 葉がなければ、文明や 文化は生まれていない 実を語る言葉には 迫力がある “響く”顧客コンタクトの演出 言 真 ビジネスを円滑に進めるうえでは“心に響かせ、印象的な顧客コンタクト を演出”することが重要になる。だが、相手の心を響かせ、自社の存在を 際立たせることは容易ではない。そこで、言葉で数多くの人の心を響か せる、詩人・谷川俊太郎氏に相手の心を響かせるための妙技を聞いた。 15  SUMMER  SUMMER 14