エース区間である4区で順位を
4つ上げた中川
7年連続50回目の出場という、NTT西日本にとって節目の年となった第59回全日本実業団対抗駅伝競走大会(ニューイヤー駅伝)。日本を代表する長距離ランナーたちを一目見ようと、沿道には多くの観客が集まりました。スタート地点では上州名物の太鼓が演奏され、また、昨年ついに「ゆるキャラグランプリ」で日本一に輝いた「ぐんまちゃん」も登場し、会場を盛り上げます。
新春1月1日09時15分、空を覆う雲を吹き飛ばすような号砲が轟き、37人の選手が一斉に群馬県庁をスタート。100キロにわたる、長い戦いの幕が開きました。
1区では、早稲田大学から日清食品グループに進んだ「箱根のスター」大迫傑の勢いがレース序盤から大爆発!残り1kmからスパートをかけて独走し、1位で2区のバルソトン・レオナルドへとタスキをつなぎます。続く「インターナショナル区間」の2区では、そのレオナルドと、昨年26人抜きを演じ大いに沿道を沸かせたDeNAのビダン・カロキの2人が同タイムで区間賞を受賞。3区では、日本人のみでチームを構成する旭化成の鎧坂哲哉が、17位から6位に上がる11人抜きの快走で、日清食品グループの佐藤悠基やトヨタ自動車の宮脇千博という居並ぶスター選手を抑え、昨年に続き3区の区間賞を獲得。古豪・旭化成の健在ぶりをアピールします。
そしてレースはいよいよ22.0kmの最長区間、「花の4区」へ。ここでの注目は何といっても、2014年1月の箱根駅伝を制した東洋大卒のルーキー「設楽ツインズ」の兄弟対決。兄の設楽啓太を擁するコニカミノルタがそれまでのアドバンテージを活かし2位から1位へと浮上したものの、区間賞は弟の設楽悠太(ホンダ)が受賞し、兄弟対決では弟に軍配が上がりました。また、箱根で「山の神」の異名を取ったトヨタ自動車九州の今井正人も区間2位の走りを見せるなど、箱根駅伝OBがその実力を発揮し、エース区間にふさわしい熱闘を繰り広げました。
しかし、コニカミノルタの首位は続かず、徐々に順位を上げてきたトヨタ自動車にその座を奪われます。5区からは、トヨタ自動車が3連続区間賞を獲得する圧倒的な強さで2位との差を広げ、4時間51分41秒でゴール!続く2位の座を巡り、日清食品グループとコニカミノルタがデッドヒートを繰り広げます。コニカミノルタは6区の松宮隆行が踏ん張って逆転に成功し、アンカーが区間2位の走りで逃げ切り2位。日清食品グループは3位でゴールしました。
6区・阿部も2つ順位を上げる
力走を見せた
NTT西日本は、昨年と同じく加田にスタートを託します。昨年は6位と、素晴らしいスタートダッシュをみせた加田でしたが、今年は31位と出遅れます。その遅れをなかなか取り戻すことができず、苦しい展開に。しかし、最後まで諦めず、粘りの走りでタスキをつなぎ、少しずつ順位を上げていきます。最終的には昨年と同じ27位(5時間6分03秒)でフィニッシュ。同順位とはいえ、昨年とは全く異なるレース展開となりました。
関西勢全体では、大塚製薬が13位と躍進したほか、SGホールディングスが20位と昨年に比べて順位を上げ、住友電工は昨年と同じ25位という結果に。一方、大阪ガスは35位で規定時間内にタスキをつなぐことができず、繰り上げスタートとなるなど、明暗が分かれた結果となりました。
7年連続50回目(NTT西日本シンボルチームとしては9回目)の出場となるNTT西日本。節目の年を迎え、ユニフォームも気持ちも新たに、群馬の地に立ちました。「20位」を目標に掲げて、副主将の加田をはじめ中堅の中川、竹中、阿部、若手の監物、渡邊、さらにルーキーの小澤の7名で、ニューイヤー駅伝に臨むことに。
アンカーを任されたルーキー小澤は
順位を1つ上げ、27位でゴール
1区では、昨年6位と好発進を見せた加田に期待が膨らみましたが、結果は31位。思うように力を発揮することができず、悔やまれるスタートとなりました。2区のインターナショナル区間には入部2年目の監物が登場。予選会で区間新を叩き出した監物に高速区間での命運を託します。外国勢ひしめく中で、監物は必死の走りで区間31位と食い下がりますが、順位を2つ落とし33位で同期の渡邊にタスキをつなぎます。渡邊も区間順位は29位と20位台の走りを見せたものの、順位を上げることはできず、34位で3区を終えます。
各チームのエース選手が揃う4区を託されたのは中川。練習で培ってきた力を爆発させ、区間22位の力走で30位に浮上します。続く5区では、竹中が上り坂と向かい風を押し切り、30位をキープして6区の阿部へ。阿部は昨年も同区間を走った経験を活かし、28位へと順位を上げます。そして、最終7区を走るルーキー小澤はアンカー抜擢の期待に応え、最後まで諦めない粘りの走りで、さらに順位を1つ上げて27位でゴールしました。
ベストメンバーとは言えないチーム構成の中で、これまで出番の少なかった中堅選手や、1〜2年目の若手が活躍し、前半の出遅れを総力でカバーした本大会。選手を競争環境に置き、切磋琢磨し合うことで総合力を高めるという清水監督の戦略が、成果となって表れたと言えるでしょう。一方で、「調整力」「爆発力」など、来年に向けた課題も見えたレースとなりました。
小椋敏勝副社長は選手の健闘を称えつつ、
来年に向けてのエールを送った
レース終了後、小椋副社長は「皆さんの応援のおかげで、27位を勝ち取ることができました。これも全国各地からNTTグループの皆さんが駆けつけ、応援してくれたおかげと感謝しています。選手は、今日出走した人も、しなかった人も、いろいろと胸に思うことがあると思います。その思いを忘れず、明日から練習に励み、来年、この場所で結果を出してくれると思いますので、今後とも応援をよろしくお願いします」と、感謝の言葉を述べました。
さらなるチーム力の底上げにより、
一層の躍進に向けての決意を語る
清水康次監督
また、清水監督も「27位と満足できる結果ではありませんでしたが、皆さんの応援が大きな後押しとなり、前半の遅れを少しずつ取り戻すことができました。昨年はアンカーがブレーキとなっての27位、一方で今年は最初に出遅れ、後半に順位を徐々に上げていくという展開でした。内容は全く違いますが、いずれも力を発揮しきれなかったのが、順位が伸びなかった最大の原因だと思っています。やはり“何か”が足りない。スタッフも、選手も、そう感じているはずです。それが何なのかを、この1年、もう一度考えながら練習に励んでいきたいと思います。ただ、確実に力はついているチームです。以前なら、ずるずると順位を下げてしまうところを踏みとどまることができたのは、力がついてきている証拠です。全員が本来の力を発揮すれば、必ずや10位台が見えてくると確信しています。今年の反省を踏まえ、しっかりと精進し、来年またこの場に戻ってきたいと思いますので、これからも応援をよろしくお願いします」と、チーム力の底上げに手応えを掴みながらも、足りない“何か”を求めて、さらなる強化に取り組んでいくことを誓いました。
1年間にわたる練習の集大成でもあり、新しい年の幕開けでもあるニューイヤー駅伝。ニューイヤー駅伝2016に向けて、新たにスタートを切ったNTT西日本陸上競技部のさらなる活躍にご期待ください!
区間 | 距離 | 選手名 | 区間順位 | 記録 | チーム順位 |
---|---|---|---|---|---|
1区 | 12.3km | 加田 将士 | 31位 | 0:36:20 | 31位(→) |
2区 | 8.3km | 監物 稔浩 | 31位 | 0:24:31 | 33位(↓) |
3区 | 13.6km | 渡邊 力将 | 29位 | 0:40:18 | 34位(↓) |
4区 | 22.0km | 中川 剛 | 22位 | 1:05:15 | 30位(↑) |
5区 | 15.8km | 竹中 友人 | 26位 | 0:49:41 | 30位(→) |
6区 | 12.5km | 阿部 豊幸 | 24位 | 0:39:22 | 28位(↑) |
7区 | 15.5km | 小澤 一真 | 29位 | 0:50:36 | 27位(↑) |
超ハイスピード区間で粘りの走り:33位
監物選手のコメント
区間前半は思ったような走りをすることができたのですが、後半になるにつれ、自分が考えている走りができず、前のランナーとの差を詰めることができなかったのが反省点です。自分自身のコンディションは悪くない状態でレースに臨むことができただけに、悔しい思いをしました。多少、気温が区間後半になるにつれ下がったように思えて、冷たさ・寒さを過剰に感じたという点もありますが…。次のチャンスをもらえるなら、今回以上の走りをして、リベンジしたいと思っています。
エース区間へ流れを紡ぐ:34位
渡邊選手のコメント
コンディションの良い状態でレースに臨むことができ、最初は自分が考えている通りの走りができたのですが、逆に後半は粘り強く走ることができませんでした。最後、もっと粘れていれば、4区を走る中川さんに少しでも楽をしてもらえたと反省しています。2回目のニューイヤー駅伝ですから、昨年よりも良い走りをしなければならないところ、それを超えることができなかったのが悔やまれます。来年こそは、よりレベルの高い走りをしたいです。
強豪居並ぶエース区間で反撃の狼煙を上げる:30位
中川選手のコメント
自分の走りを評価するなら、80点というところでしょうか。前半は追い風という状況をうまく利用し、自分のリズムでしっかりと走ることができたと思っています。最初は、中電工の選手に追いつくのを目標に、その後はさらに前をめざして、少しずつ順位を上げていきました。後半は、向かい風が強くて苦しい状況ではありましたが、もっと前との差を詰めて、竹中さんにタスキをつなぎたかったです。
空っ風も敵となる難コースで流れをキープ:30位
竹中選手のコメント
集団での走りとなり、そこからパッと抜け出すのが厳しく、思ったように走れませんでした。少しでも順位を上げることができれば良かったのですが、今年は例年よりも向かい風が厳しく、ランナーだけではなく風とも闘わねばならないのが苦しかったです。走る前にかなり風が厳しいぞと聞いていて、それを覚悟して走りはしたのですが、なかなか手強かったです。とはいえ、厳しい中でも順位をキープでき、最低限の仕事はできたかなと思っています。
アンカーのために少しでも上位でタスキをつなぐ:28位
阿部選手のコメント
少しでも上へ順位を上げることだけを考えて走りました。それが、アンカーであり、ニューイヤー駅伝に初めて臨む小澤に、少しでも楽に走ってもらえることにつながると考えたからです。何とか順位を2つ上げることができたものの、龍神で負けてしまった住友電工に追いつくことができなかったのは、個人的にも非常に悔しいと思っています。とはいえ、監督から言われていた「今できることをやり切ってくれ」という言葉には何とか応えられたかなと思いますので、今回の走りは70点といったところでしょうか。今年は風が強く、厳しい状況ではありましたが、僕自身、悪条件での走りが得意なので、「もっと強く吹け!」と思っていましたし、実際、良い状態で走ることができたと思います。
初のニューイヤーでアンカーを務め、順位を上げる疾走:27位
小澤選手のコメント
入社して1年目でニューイヤー駅伝を走ることができて、本当に光栄です。自身の走りはもちろんですが、何より、NTT西日本の順位を少しでも上げることを考えてレースに臨みました。結果、何とか1つ上げることができ、自分自身の走りには満足しています。風はきつく、厳しい条件ではありましたが、八千代工業の選手をうまく使って、風をよけながら走ることができました。とはいえ、同年代で4区を走ったりしている選手もいますので、自分もそこに追いつけるよう、一層精進したいと思っています。
順位 | チーム名 | 時間 |
---|---|---|
1位 | トヨタ自動車 | 4:51:41 |
2位 | コニカミノルタ | 4:53:20 |
3位 | 日清食品グループ | 4:55:00 |
4位 | Honda | 4:55:36 |
5位 | 中国電力 | 4:56:35 |
6位 | DeNA | 4:56:43 |
7位 | 富士通 | 4:57:33 |
8位 | NTN | 4:57:34 |
9位 | トヨタ自動車九州 | 4:57:37 |
10位 | 旭化成 | 4:58:23 |
11位 | 小森コーポレーション | 4:59:11 |
12位 | 九電工 | 5:00:14 |
13位 | 大塚製薬 | 5:00:15 |
14位 | JR東日本 | 5:00:15 |
15位 | SUBARU | 5:00:58 |
16位 | ヤクルト | 5:01:45 |
17位 | マツダ | 5:01:48 |
18位 | 安川電機 | 5:01:50 |
19位 | 日立物流 | 5:03:39 |
順位 | チーム名 | 時間 |
---|---|---|
20位 | SGホールディングス | 5:03:39 |
21位 | プレス工業 | 5:04:00 |
22位 | 愛三工業 | 5:04:07 |
23位 | 愛知製鋼 | 5:04:13 |
24位 | 黒崎播磨 | 5:04:19 |
25位 | 住友電工 | 5:04:36 |
26位 | トヨタ紡織 | 5:04:38 |
27位 | NTT西日本 | 5:06:03 |
28位 | 八千代工業 | 5:06:04 |
29位 | 中央発條 | 5:06:13 |
30位 | 中電工 | 5:06:19 |
31位 | YKK | 5:06:19 |
32位 | 三菱重工長崎 | 5:06:42 |
33位 | JFEスチール | 5:08:01 |
34位 | 南陽市役所 | 5:10:47 |
35位 | 大阪ガス | 5:10:50 |
36位 | トーエネック | 5:11:26 |
37位 | 重川材木店 | 5:12:27 |
第1区
区間を通じて苦しいながらも力走:31位
加田選手のコメント
今回、昨年と同様の走りをと考えていましたが、自身のコンディションが悪く、2kmくらいから体が思ったように動きませんでした。レース自体、かなりハイスピードな展開ではあったのですが、そのレース展開に対応できなかったのが悔しいです。チームの皆には申し訳ないと思っていますが、脱落してくる選手をかわし少し順位を上げてタスキをつなげることができ、今のコンディションでできる限りの走りはできたと考えています。この悔しさを次につなげたいです。