40%の企業が「新型インフルエンザ」対策に未着手

  1. NTT西日本 公共・法人HOME
  2. 最適経営のヒント
  3. 数字で見るソリューション
  4. 40%の企業が「新型インフルエンザ」対策に未着手

2010年3月 掲載

40%の企業が「新型インフルエンザ」対策に未着手
リスクに敏感な業種では既にビジネスへの影響を認識

2009年、日本中で猛威をふるった新型インフルエンザ。その猛威は峠を越えたと見られますが、その強い感染力は企業の危機管理体制のあり方にも、大きな注意を喚起することになりました。

新型インフルエンザの感染力の強さは、患者数の急増から読み取れます。厚生労働省が週単位で行っている集計によると、新型インフルエンザによる入院患者は2009年秋から急増し、ピーク時の2009年11月には毎週800人前後の患者が新たに入院する時期が続きました。

グラフ

新型インフルエンザによる入院患者数
(厚生労働省の集計)

2009年末以降、新型インフルエンザの感染の勢いは収まり始め、落ち着きを取り戻しつつあると思われます。しかし新型インフルエンザによる一連の騒動は、インフルエンザは季節性のものとは限らず、また感染がいったん始まると急激なペースで感染者が増加し、場合によっては企業での日々の業務にも影響を与えかねないことに、気づいた企業経営者も多いようです。インフルエンザの影響の大きさが改めて認識された今、企業が緊急事態に直面しても最低限の業務継続と迅速な復旧を行うための「BCP」(事業継続管理)の対象として、インフルエンザをとらえなければならなくなったようです。BCPとは企業の事業活動に支障を及ぼすような緊急時に備え、事業の維持のために必要な行動をあらかじめ取り決めておくことです。

金融業の26%は既に新型インフルエンザへのBCP策定済み

しかし従来BCPの対象と言えば、地震や水害などの自然災害、火災や停電、そして情報システムそのものの障害などが中心で、多くの企業がBCPによる新型インフルエンザ対策には取り組んでいないのが実情のようです。社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が2009年4月に発表した「企業IT動向調査2009」によると、新型インフルエンザなどの「疾病」に対しBCPを「策定済み」とする企業は、全体のわずか7%に過ぎません。「策定中」「策定を検討中」という企業を含めても40%にとどまり、残り60%の企業が「策定予定なし」と回答しています。「自然災害」や「火災・工場災害」など他の主要なリスクには、いずれも20%以上の企業が既にBCPを策定済み、「策定中」「策定を検討中」という企業まで合わせると60%前後に達することと比較すると、新型インフルエンザのリスクに対する対策はまだこれからの課題であるとも考えられます。

ただし金融業の企業だけに限って見ると、新型インフルエンザなどの疾病に対し、BCPを「策定済み」とする割合は26%にまではね上がり、「策定中」の企業を併せると56%に達します。金融のようにリスクに対し特に敏感な業種ほど、新型インフルエンザなどの疾病によるビジネスへのリスクを早くから認識し、BCPで必要な対策を施しているようです。

グラフ

「疾病」に対するBCPの業種グループ別策定状況
(社団法人日本情報システム・ユーザー協会「企業IT動向調査2009」より)

疾病に対し「十分なリスク分析ができていない」と提言

もっとも新型インフルエンザなどに対しいち早くBCPを策定している企業にも、その具体的な方法にはまだ戸惑いがあるようです。JUASでは緊急時のためにどのようなことを行うかというBCPの策定目標を、大きく5つの段階に分けています。基本的な策定目標は「バックアップの確保」で、第2段階のレベルが具体的な対応方法を定めた「緊急時対応計画」。第3段階は情報システムの復旧手順を定めた「IT災害復旧対策」、第4段階は事業を最小限でも継続しながら復旧を行う「事業継続計画」で、その計画を定期的に見直す「事業継続管理」は高度な第5段階と位置付けられています。

JUASの調査では、「自然災害」や「システム障害」、「社会インフラの停止」や「火災・工場災害」などのリスクに対しては、70%前後の企業が第3段階の「IT災害復旧」レベルまでの策定目標を立てています。これに対し新型インフルエンザのような「疾病」については、比較的新しいリスクにもかかわらず、第4段階の「事業継続計画」と第5段階の「事業継続管理」といった高いレベルのBCPを策定している企業が計49%と、半数近くを占めます。疾病などの策定目標レベルが自然災害などよりも高いことについて、JUASでは「まだ十分なリスクの分析ができておらず、何をすべきかのレベル切り分けができていないためではないか」と分析しています。

グラフ

リスク別のBCP策定目標レベル
(社団法人日本情報システム・ユーザー協会「企業IT動向調査2009」より)

どのようなリスクであれ、厳重な危機管理体制をとっておくのが理想的かもしれません。しかし現場やビジネス環境を勘案しないまま過剰なほどの体制をとるのは、コストなどの面で大きな負担がかかりがちで、現実的な危機管理とは言えないでしょう。起こりうるリスクとそれによる影響範囲、復旧の優先順位などを具体的に分析しながら必要な対策を立案していくことが、新型インフルエンザなどのリスクに備えた合理的なBCP策定となりそうです。

また、効果的な危機管理体制を築くためには、危機管理体制作りに有効とされるテレワークシステムやテレビ会議システムなどに、普段から使い慣れておくことも必要と言えるでしょう。危機のときだけ利用というのでは、システムを使いこなせないまま危機も乗り越えられない可能性もあるからです。こうしたシステムに平常時から慣れ親しんでおくことは、出張コストや移動時間の削減等の業務効率化を図るばかりでなく、有事の際の円滑な危機管理体制への移行の準備としても有効と言えるでしょう。

PAGETOP

審査 16-2826-1

Copyright(C) 1999-2017 西日本電信電話株式会社
バックナンバー RSS