クラウドコンピューティング

2009年11月 掲載

クラウドコンピューティング(cloud conputing)

コンピューターシステムをユーザー自身が所有するのではなく、インターネットを介して多くのユーザーがシステムを共有するのが「クラウドコンピューティング」です。

システムが固定的なものではなく、拡散した大気のようなサイバースペースの中にあることから、その名が付いています。大きなシステムを初期段階から資産として持つ必要がなく、利用状況に合わせて「小さく産んで大きく育てる」システムを実現できる点が、企業ユーザーに評価されています。

キーワード解説

現在、企業が利用するコンピューターシステムの多くは、業務に合わせて構築したアプリケーションとそれを動かすハードウエアを、購入する形で構成されています。自社専用のため業務に完全に適合したシステムを用意できますが、その半面どうしても初期投資がかさみます。特にシステムの24時間運用が一般的になってからは、バックアップシステムの存在も重要になり、システム構築に必要なコストは増大する一方でした。

これに対しITベンダーがシステムを「時間貸し」のような形で提供し、ユーザー企業はそのベンダーのシステムをインターネット経由で利用するというのが、クラウドコンピューティングのイメージです。住居に例えるなら、従来のシステムは注文住宅なのに対し、クラウドコンピューティングは賃貸マンションと言えます。設計不要ですぐに安価で“入居”でき、システムの機能改善やセキュリティー対策などの“補修”も、“大家”であるITベンダーが行うため、維持管理の負担が小さい点もメリットです。ビジネスの拡大で当初借りたシステムが“手狭”になったら、必要な分だけ新たに借り増すこともできます。

クラウドコンピューティングに基づく具体的なサービスには、データを安全な環境で保管するストレージサービス、EC(電子商取引)サイト構築に必要な機能を提供するサービス、CRM(顧客管理)システムの機能を提供するサービスなどがあります。

仮想化技術の進展で現実味帯びる

もっともクラウドコンピューティングは、それ自体特に新しい技術ではありません。コンピューターの機能を時間貸しする考えは、既に1960年代には提唱されており、インターネット経由でシステムの機能を利用する仕組みも、1990年代末にはASP(Application Service Provider)型のサービスとして実現しています。システムをクライアント側で動かすのではなくサーバー側で集中管理することも、1990年代にパソコンが普及する以前はむしろ一般的でした。

それでもクラウドコンピューティングが今になって注目されるようになった背景には、ブロードバンド回線の普及に加えて、システムの「仮想化」技術の進展があります。仮想化とは、多数のサーバーやネットワーク機器をあたかも1台の大型の機器のように扱ったり、逆に1台の機器の機能を分割して多数の機器のように見せるものです。仮想化したシステムで実際に設置されているのは多数の小型の機器であり、機器単位で細かい追加や構成変更などが容易です。そのためITベンダーはユーザーの規模や負荷に応じてシステムを増強でき、ユーザーは身の丈に合ったシステム利用が可能になります。各ユーザーがそれぞれ用意すべきバックアップシステムも、仮想化によって共用化できるため、投資額の節約につながります。

仮想化技術により、ユーザーの規模や負荷に応じたシステムを柔軟に構成できるため、「小さく産んで大きく育てる」システムが実現しやすい

新しいHTMLの規格で画面の表現力が向上

またインターネット上の情報を表現するHTMLの高機能化も、クラウドコンピューティングに大きく寄与しています。HTMLの新しい規格「HTML 5」では、描画機能や動画表示機能などの強化がはかられ、Webブラウザー上での情報の表現能力が一層高まりました。新しいWebブラウザーを中心にこのHTML 5への対応が進んでいるほか、ブラウザー上でプログラムを動作させるための言語JavaScriptの実行速度も改善され、使い勝手の良いシステムを実現できる環境がさらに整いつつあります。

これらの技術で現実化したクラウドコンピューティングは、「場所を問わない」利用環境をユーザーに提供します。システムを自社内に持たず、すべてインターネット側に預けるため、インターネットにつながる環境ならどこでも業務処理が可能になるわけです。ワークライフバランスの重視で注目されるようになった在宅勤務なども、クラウドコンピューティングによる業務システムならば推進しやすいでしょう。

クラウドコンピューティングではシステムがインターネット上にあるため、利用する場所の自由度が高まり、在宅勤務などの可能性も広がる

もちろんクラウドコンピューティングにも弱点はあります。大前提としてインターネット回線が切れると全く使いようがなくなります。また万が一システム停止状態に陥った場合はITベンダーの復旧作業に期待するしかなく、自社がITのノウハウをいくら持っていても復旧する術はありません。そのため業務をクラウドコンピューティングによるサービスで運用する場合は、信頼のおけるITベンダーや回線を選択することが重要になります。NTT西日本では信頼性の高いデータセンターとネットワーク回線を基盤に、クラウドコンピューティングのメリットを最大限に引き出せるシステム環境の構築をお手伝いいたします。

PAGETOP

審査 16-2826-1

Copyright(C) 1999-2017 西日本電信電話株式会社
バックナンバー RSS