未知の局面に対応できるかが勝負を分ける

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写真:梅沢 由香里
先を読み、判断する力 2009年3月
梅沢 由香里/棋士 女流棋聖
東京大学の人気講座「囲碁で養う考える力」の講師のほか、囲碁漫画の監修など、様々な機会を通じて囲碁の魅力を伝えているプロ棋士の梅沢由香里氏。
「女流棋聖」のタイトルホルダーでもあり、人気と実力を兼ね備える梅沢氏に、対局で勝つための「先を読む力」について聞いた。

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プロフィール

1973年東京都生まれ。96年慶應義塾大学環境情報学部卒業。
6歳のときに囲碁を始め、87年、中学2年で加藤正夫九段に入門。95年プロ試験に合格。翌96年入段。2002年五段に昇段。2005年国際囲碁連盟(IGF)理事。
2007年には初タイトルとなる「女流棋聖」を獲得し、2008年に初防衛 に成功。

主な著書

写真:主な著書

囲碁は自由度が高い分、あらゆる局面で判断が求められる

─ 囲碁は、思考力の向上に役立つといわれていますが、囲碁で養われる力とはどのようなものでしょうか。

囲碁は、「地(陣地)を多く囲った方が勝ち」というシンプルなルールで、碁石の動きにも制約がなく、決まり事が少ないのが特徴です。自由度が高い分、あらゆる局面で判断が求められるため、自分で考える力が身につきます。

─ 実際の対局では、どのような考えを持って打っていきますか。

最初の10手くらいまでは、どの手を選んでも大きな影響はないので、そのときの気分で打っていきます。
実は私は定石をあまり知らなくて、覚えてもすぐ忘れてしまうので、打ち方はオリジナルなのです。

ある程度、手が進んでくると相手の打つ手や傾向が見えてきますから、自分が有利になる状況に持っていくようにします。そのときに必要になってくるのが、先を読む力と判断力です。

先を読むとは、自分がこう打てば、相手はこう打つのではないかというシミュレーションをすること。そして判断力とは自分が読んだ形の善悪を判断する力のことです。

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勝ちパターンに持っていくための読みと判断

─ 梅沢さんが「先を読む」際に心がけていることはありますか。

やはり自分の好みというか、好きな勝ちパターンに持っていくことですね。パターンの組み立て方は人それぞれ違いますが、私の場合、一つでも多くの陣地を取る「実利」よりも、後々の展開を見据えた「厚み」を重視するタイプなので、対局中は、常に「流れ」を読むようにしています。

囲碁には「着眼大局 着手小局」という言葉があります。「大局を見ながら目の前の手を打つ」という意味ですが、全体の流れをとらえていなければ、個々の状況判断もできません。勝つために、どういう方向性でいくのか、この配置ならどう打つのかといった判断は、常に全体とのバランスが関係してきます。もちろん、苦しいときは思い 切った手を打つこともありますが、それも流れに沿って今何が必要かを把握した上でのことです。

─ 流れに沿った「次の一手」を打つために必要なことは何でしょうか。

まず、冷静に現状を認識することです。その上で自分にとって正しい手かどうかを判断するには、高い集中力が必要です。集中力が高まれば、攻めどきか守るべきかなど、状況を把握する感覚が研ぎ澄まされてきます。

私が集中力を少しずつ発揮できるようになってきたのは、アマチュアからプロの棋士になっていく過程で「自分の結果に責任を持つ」覚悟ができたからだと思います。プロは結果がすべてであり、勝たなければいけませんから。スポーツなどを見ていても「自分で何とかしよう」という強い意志を持っている人は分かるものです。

そしてもう一つはやはり「経験」でしょう。多くの経験があれば、局面局面で次の一手を考えるときの幅が広がります。
ただ、経験を生かすには、自分を見つめ、反省することが重要。私は対局に負けるといろいろと反省します。対局の中身はもちろんですが、自分の取り組む姿勢や意識を省みると、実は真剣さや努力が足りなかったことを思い知らされることが多いですね。

他の棋士も対局を省みることはあると思いますが、私の場合、自分の弱さを直視することが長年の習慣になっています。「自分を見つめる力」は、私が囲碁を通じて得た大きな財産。それがあるから成長できるのです。

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自分で考えるからこそ、新しい状況にも対応できる

─ 全体の流れを踏まえて、先を読み続けることで、自分に有利な状況をつくり出すことができるのですね。

先を読む力を鍛えていくことで、新しい状況に対応できる力を養っていくことができます。対局では、時に予想していないような局面が現れます。定石があったとしても相手がそのとおり打ってこないと使えませんし、他人に習ったことだけだと、新しい状況が出てきたときに弱くなってしまうのです。私のように定石をよく知らない棋士もいますから(笑)。勝つためには、やはり現状を把握し、自分で次の展開を創造していく力が必要です。

─ 経営者の間で囲碁が好まれる理由も、新しい局面への対応力にあるのかもしれませんね。

新しい局面に対応できる柔軟性を求められるのが囲碁の面白さであり、実際、そうした状況から勝ちを収めることができる棋士が一番強いといえます。経営についてはよく分かりませんが、局面の変化に応じて考え、新しい方法をつくり上げていくことは人間が持つ最高の知恵だと思います。だからこそ、経営に限らず多くの分野で通じるものがあるのでしょう。

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