女子アナブームの仕掛け人が明かすマルチアナウンサーの育て方

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写真:露木 茂
やる気にさせる人づくり 2008年7月
露木 茂/元フジテレビ 役員待遇キャスター、東京国際大学 国際関係学部 教授
フジテレビで長年、アナウンサーの採用と育成に携わり、1980年代の女子アナブームの仕掛け人ともいわれた露木茂氏。アナウンサーの活躍の場を飛躍的に広げ、制作サイドのアナウンサー起用法にも変革をもたらした露木氏に、部下の才能を開花させるための要諦を聞いた。

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プロフィール

1940年東京都生まれ。63年早稲田大学政治経済学部卒業、フジテレビジョン入社。
70年よど号ハイジャック事件でのスクープでギャラクシー賞およびテレビ大賞。85年日航機墜落事故報道で日本新聞協会賞。アナウンス部長など歴任し、2000年定年退職。
2002年東京国際大学国際関係学部教授。 2003年早稲田大学客員教授。

“ひょうきんアナ”を生み出したマルチアナウンサーへの意識改革

―露木さんはフジテレビ時代、アナウンス部の所属を報道局からテレビ局の中核である編成局に移し、ニュースとスポーツ中継が主な仕事だったアナウンサーの活躍の場を、バラエティーや芸能番組などあらゆるジャンルへと大きく広げました。どんな狙いがあったのでしょうか。

アナウンサー=「原稿を無性格に正確に読む人」ではなく、もっと自分らしく個性を生かして仕事ができるように仕組みを変えていこうと考えました。

僕自身、ワイドショーからニュースへと担当が変わり、スタジオでの司会もできれば現場でのレポートもできるチャンスに恵まれたので、若い人たちも様々な方面で活躍できる方がやる気が出ると思い、「レパートリーを広げよう」「マルチアナウンサーになろう」と意識改革を図ったのです。

オレたちひょうきん族』で“ひょうきんアナ第1号”となった山村美智子さんや、『なるほど!ザ・ワールド』で海外レポーターを務めた益田由美さんが牽引役となり、その後も多くのアナウンサーが呼応して、新たな分野にチャレンジしていってくれました。

―そうしたアナウンサーを具体的にはどのように育てていったのでしょうか。

アナウンサーとして必要な基礎はしっかりと教えますが、そのあとは「自分で学べ」「分からないことがあれば聞きに来い」と放り出します。僕は「放牧主義」と呼んでいるのですが、「野原に放って、自分で自由に育つ」という方針でやってきました。

会社は教育機関ではないので、手取り足取り育てるのではなく、基本的なことを教えたら、あとは本人がその気になるように仕向けてきたのです。

―露木さんは現在、教鞭を執っていらっしゃいますが、大学における学生の教育と、企業における人材育成はどのように違うのでしょうか。

学校では、その人を育てるために先生をはじめ周りが全面的にサポートします。一方、企業はその人に働いてもらって利益を上げなければならないわけですから、その人の能力をいかに有効に活用できるか、適材適所を考えます。

アナウンサーの場合、競争率1000倍ぐらいの難関を突破した、何らかの才能を秘めた人たちなわけですが、入社時点ではまだ22歳の若者であり、本人は自分にどんな魅力があるのかほとんど気づいていません。そうした中で、性格や個性を慎重に見極めながら育てていくのですが、本人がめざしている方向と、会社がその人に期待している方向が違うということもしばしば起こります。そこで「君にはもっとこんな魅力があるんだよ」ということを教え、自覚させるようにしていくことが、企業の人材育成では特に大切です。

その過程で「自分にはこんな一面もあり、会社からはこういうことが求められているんだ」と早く気づいた人から順に伸びていきますね。組織の一員として、自分から組織の役に立っていくという意識を持たない限り、組織人としてはやっていけません。そうした厳しい現実を社会人一年生の若者に教え、発想の転換、スイッチの切り換えをしてあげることが、企業の人材育成ではまず必要なのです。

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「君にしかできない仕事をしてごらん」

―「本人の希望」と「会社の期待」とのギャップを埋めていく上で大切なことは何でしょうか。

結局は、本人をやる気にさせられるかどうかです。無理強いしても決してうまくはいきません。上から押し付けるのではなく、本人の口から「やりたい」「やってみます」という言葉が出るような環境をつくってあげることが大切です。

そのための大前提として、普段からその人のキャラクターを、食事や酒宴の席なども含めて注意深く観察しておくことが欠かせません。ミスキャストになってしまえば、本人にとっても会社にとっても不幸というほかありませんから。

―多くの上司は、部下のやる気を引き出すことに腐心しています。

やる気の引き出し方はケース・バイ・ケースですから、原理原則などないと思いますが、「君だから信頼して任せるんだよ」ということをしっかりと伝えてあげることは必要でしょう。

「プロデューサーも、ディレクターも、スタッフも、私たちも、みんなが君を推薦している。君だからこそできることにみんなが期待してこういう決定になった んだ」ということを、十分に説明してあげなければなりません。その上で、「君にしかできない仕事をしてごらん」と励ますのです。

言い換えれば「責任感を持たせる」ということでしょうか。あくまでも本人の自発的な意志を尊重し、気持ちをかき立てることで、その仕事に立ち向かっていけるようにしていくことが大切です。

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「責任感」こそが自発的なやる気を引き出す

―やる気を引き出す側の心構えとして大切なことは何でしょうか。

独善的にならないことです。「オレはこうしてきたんだから、お前もこうやれ」というような自分の流儀を押し付けるやり方では、相手は萎縮してしまいます。 そうではなく、進むべき道をできるだけ広く設定し、自由に歩かせることです。狭い道を設定して、選択の余地も無いようなところに追い込んでしまっては、伸 びることができません。

―マルチアナウンサーは、まさに「広い道筋」だったわけですね。

そういうことになりますね。言ってみれば、一歩進むごとに、右に行くのか左に行くのかを自分自身で決めさせるのです。自分で納得して選択すれば、そこには自ずと責任感が生まれます。その責任感こそが、自発的なやる気へとつながっていくのではないでしょうか

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