チームを動かす

写真:ラモス 瑠偉
信じる力が選手に火をつける 2008年12月
ラモス 瑠偉/東京ヴェルディ 常務取締役 エグゼクティブディレクター
日本サッカー不遇の時代からリーグを支え、「ミスターヴェルディ」としてJリーグ創設期を盛り上げる一方、日本代表の中心選手としても活躍したラモス瑠偉氏。2006年には、J2に降格した古巣・東京ヴェルディの監督に就任し、2年でJ1復帰を成し遂げたラモス氏に、チームを動かす秘訣を聞いた。

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プロフィール

1957年ブラジル生まれ。
77年サージFC(ブラジル)から読売サッカークラブ入団。
日本リーグ時代は得点王2回、アシスト王3回。Jリーグではヴェル ディのリーグ2連覇に貢献。89年帰化。
90年日本代表入り。98年現役引退。
2005年ビーチサッカー日本代表監督、柏レイソルコーチ。
2006年東京 ヴェルディ監督。2008年4月から現職。

主な著書

写真:主な著書

マイナスからのチームづくり

─J2落ちしたヴェルディからは13選手が他チームに移籍し、レギュラーのほとんどを失うなど、2006年のシーズンはゼロからというよりもマイナスからのスタートだったわけですね。チームづくりはどのように進めていったのでしょうか。

まず選手たちに「何としてもヴェルディをJ1に復帰させたい。それにはあなたたちの力が必要だ。ヴェルディのために一緒に戦ってほしい」と僕の思いを伝え、監督としてのビジョンや戦術などを理解してもらうためにコミュニケーションを図っていきました。

ただ、30人の選手全員にしっかりと納得してもらうことは難しいというのが現実でした。日本サッカー界の名門であるヴェルディですが、全盛期の強いヴェル ディを知らない若い選手に、僕と同じようにヴェルディを愛してくれ、このユニフォームを着ることにプライドを持てと言っても、その温度差を埋めることは簡 単ではないでしょう。

また、選手はみんな試合に出たがっていますが、グラウンドに立てる人数には限りがあります。出場できない選手は当然、面白いはずがありません。必要があれば個別に部屋に呼んで徹底的に話をしますが、すべての選手と話をすることは現実的ではありません。

監督の方針や思いをチーム全体に確実に浸透させるにあたって重要だったのが、コーチやベテラン選手との連携でした。チームの和を保つことに関しては、彼らにある程度任せたのです。そのためには彼らとの信頼関係が不可欠で、日ごろから気づいたことなどを話し合って共有し、チームの状態やお互いの考えを理解し 合っていなければなりません。そうした関係を築いていれば、彼らが監督の思いを選手たちにうまく伝えてくれるのです。

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監督にボールは動かせない

─ラモスさんは現役時代、仲間に対して厳しい要求を突き付けることで、一つ上のレベルのプレーを引き出していました。プレイヤーの一員としてチームを引っ張るのと、監督としてチームを率いるのとではどんな違いがあるでしょうか。

現役時代は、厳しいことを言いながらも、僕自身が体を張ったプレーをして見本となることができましたから、「ラモスがそこまでやるのならオレたちも」というムードが自然にできていました。

しかし、監督になるとそうはいきません。グラウンドの中には入れませんから、試合が始まったら事実上、何もできないのも同然です。自分のプレーで見本を示 すことができた現役時代とは説得力がまるで違いますし、随分ともどかしさも感じました。いかに優れた戦術を立てようと、実際にボールを動かせるのはグラウ ンドに立つ選手だけなのです。

そうなると、あとは選手たちを信じるしかありません。絶対にこのメンバーで昇格させるんだ、それだけの力のある選手を集めたんだ、フロントも支えてくれて いる、サポーターからの応援もある、その期待は裏切れない、そしてオレはヴェルディを愛してる、このやり方なら必ず昇格できるーと。選手たちに厳しいこと を言うのも、選手たちの可能性を信じているからこそなのです。

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自分がされてうれしかったことを監督になって実践

─ 監督時代のラモスさんは試合中、ずっと立ちっ放しでしたね。

僕は現役時代、プレー中に監督の声が聞こえるとモチベーションが上がりました。良いプレーを褒められたり、「もっと自信を持って仕掛けろ!」などと声を掛けられたりすると、とても勇気づけられたものです。だからこそ自分が監督になってからも、いい動きをしている選手を褒めたり、集中力が途切れそうになっている選手にハッパを掛けたり、「失敗しても構わないからドンドン行け!」などと大きな声を出したりして、選手のハートに火をつけることに努めていたのです。

─ ご自身が監督からしてもらってうれしかったことを、監督になってから実践なさっていたわけですね。94年のチャンピオンシップで、左太ももの肉離れを起こしていたのに「ピッチに立っていてくれるだけでいいから」と出場させてもらったことも、とてもうれしい思い出だそうですね。

そこまで信頼されているのなら、絶対その期待に応えなければと必死で頑張りました。

ですから自分が監督になってからは、控えの選手に対しても「必ずチャンスが来るから」と声をかけ、ちゃんと見ているよということをまめに伝えました。すると、みんなチャンスが来たときにベストの状態でプレーできるようにと、気を緩めたりモチベーションを下げたりすることなく準備をして待っていてくれます。

大切なのは選手を心の底から信じ抜くこと。それによって、選手はその期待を裏切りたくないと奮起し、本来持っている以上の力を発揮することができるのです。

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