“ここ一番”に強いチームづくり

写真:川合 俊一
目標を共有する仲間の存在こそがパワーの源 2008年2月
川合 俊一/スポーツキャスター 元・全日本男子バレーボールチーム 主将
80年代の日本男子バレーボール界をリードし、全日本の主将も務めてチームをまとめてきた川合俊一氏。現役引退後はタレントとして幅広い分野で活躍する一方、ビーチバレーの普及に情熱を燃やし、現在は日本ビーチバレー連盟会長として、そのさらなる振興に向けて奔走する川合氏に、チームの結束力について聞いた。

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プロフィール

1963年新潟県生まれ。日本体育大学在学中、学生としては初めて全日本のレギュラーに選ばれロス五輪に出場。85年富士写真フイルム入社。88年ソウル五輪出場。
90年現役引退後、日本人初のプロビーチバレーボール選手として世界各地のツアーに参戦。その後、タレント、スポーツキャスターとして活躍。2001年湘南ベルマーレと共に湘南ベルマーレビーチバレーチームを設立。2007年日本ビーチバレー連盟会長。

主な著書

写真:主な著書

全員が集中しなければチームの結束は崩壊する

―チームの「結束力」や「団結力」とは何なのでしょうか。

結束が崩れていくときのことを考えてみると分かりやすいでしょう。

バレーボールは際立ってリズムに左右されるスポーツです。例えば、それまで快調に連続得点を重ねていたのに、相手がタイムアウトを取った途端、自分たちの調子が乱れてしまったりします。また、相手に意図的にリズムを止められること以外に、自らリズムを崩してしまうこともあります。それはメンバーの誰かが集 中力を欠いたときです。

現在のバレーは、サーブ権の有無にかかわらず得点が入るラリーポイント制ですが、僕らの時代はサーブ権がなければ得点が入らないサイドアウト制で、長い試合だと4時間にも及ぶこともありました。そうなると、体力よりも精神力の戦いとなり、誰かが「疲れた」と思ってボールに飛び込む一歩が出なかったり、「も う勝てる」と思って気を緩めてしまったりすると、そこからチーム全体が崩れていくのです。

仲間の一生懸命な姿を見ると「ヨシッ、オレも!」とチーム内に相乗効果が生まれていきますが、逆に一人でも気を抜くと、ほかのメンバーの緊張の糸までもがプツリと切れてしまいます。

このように、チームの結束や団結は、たった一人が気を抜いただけで簡単に崩壊してしまうものなのです。

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猛特訓を積んできたチームはなぜ強いのか

―川合さんの経験の中で、チームが最も団結したのはどんなときだったのでしょうか。

83年のアジア選手権ですね。ロス五輪の切符を懸けた中国との決勝で1、2セットを連取され、第3セットを落とせばもうオリンピックには行けないという状況でした。

そのときメンバーが一様に思ったのが、「あんなに過酷な練習をしてきたのに、ここで負けるわけにはいかない!」ということでした。その気持ちを一人が口にすると、もうみんながみんな「そうだよな!」と肩をたたき合って……。

心を一つにした全日本チームは、そこから3セットを連続で取り返し、オリンピック出場を決めたのです。

今思い返しても、あの団結力にはすさまじいものがありましたね。

―そうした状態をつくり出すにはどうすればいいのでしょうか。

やはり、厳しい練習などの苦しいこと・きついことをメンバー全員で一緒になってやり遂げることでしょう。

みんなで厳しい練習を積んできたチームはなぜ強いのかというと、先ほどの全日本の例のように、正念場を迎えたとき、猛特訓を共に耐え抜いてきたことを全員が一斉に思い出し、最後まで集中力を維持して全力を出し切ることができるからです。ただし、そこに練習をさぼっていたようなメンバーが一人でもいると、チームは白けてしまいます。

つまり、チームの結束力や団結力を強めるためには、「そうだよな!」と共鳴し合えるような体験をメンバーの全員に共有させ、そこから生まれた集中力をここ一番という勝負時までチーム一丸となって持続させることが大切なのです。

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同じ目標を持った仲間の存在が実力以上のパワーを生み出す

―メンバーの心を一つにするために、リーダーが取るべき行動は何でしょうか。

心を一つにしようと思っても、全日本のような場合は様々なチームからトッププレーヤーが集まってくるので、全員の仲がいいというわけにはいきません。だからこそ、みんなが同じ方向に向かって進んでいけるように、しっかりとした目標を打ち立てることが重要なのです。

僕がキャプテンになったときには新人選手が大勢入ってきたため、「日の丸を背負う」とはどういうことか、負ければ世界中から日本は弱いと思われてしまう、オレたちの負け=日本の敗北なんだ、たとえ負けたとしても、手強いチームだという印象を与えなければならない―と、日本代表としての心構えを常に彼らに語りかけました。

それでも、練習が厳しいと、「この苦しい状況から逃げ出したい」と思ってしまうのが人間です。そんなときにこそ、みんなで声を掛け合うのです。「お前がここであきらめたら、日本の代表チームが負けてしまうんだぞ!」と。

人は「もう立てません」などと自分の限界を勝手に決めてしまいますが、自分のためには立てなくても、「チームのため」「みんなのため」と思えば頑張ることができます。そして、どんなにつらくても、明確な目標があれば立ち向かっていけるのです。

同じ目標を持った仲間がいるということは、本当に素晴らしいことだと思います。そうした仲間の存在によって、人は、自分の限界点をどんどん上げていくことができるのですから。チームの結束や団結を強化することの真の価値は、そこにこそあるのではないでしょうか。

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