自発的に動いてもらうために

写真:堀 義人
組織も個人も動かすフレームワーク 2008年12月
堀 義人/グロービス・グループ 代表 グロービス経営大学院 学長
社会人を対象にMBA(経営学修士)が取得できるグロービス経営大学院やビジネススクールの経営、企業研修などの事業を展開するグロービス・グループの代表、堀義人氏。ビジネスリーダーを育成する経営者の視点から、社員を「動かす」ために必要な組織のあり方を聞いた。

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プロフィール

1962年茨城県生まれ。
86年京都大学工学部卒業、住友商事入社。91年ハーバード大学経営大学院修士課程修了(MBA)。92年株式会社グロービスを設立、代表取締役に就任。99年エイパックス・グロービス・パートナーズ(現グロービス・キャピタル・パートナーズ)設立。2005年12月に文部科学省から認可を取得し、グロービス経営大学院を開学する。経済同友会幹事、日本プライベート・エクイティ協会理事などを務める。

主な著書

写真:主な著書

動かすのではなく「どうすれば動いてもらえるか」を考える

─ 堀さんは、リーダーの育成を目的にしたビジネススクールの経営を中心に幅広い事業を展開されていますが、組織のリーダーとして、社員やパートナーに「動いてもらう」ために大切なことは何だとお考えでしょうか。

私は経営者として「人を動かそう」と考えたことはありません。確かに規則や命令によって結果的に人を動かすことはできるかもしれませんが、その場合、人は 自発的に動いているのではありません。ですから「人を動かす」のではなく、「どうすれば人に動いてもらえるか」ということを常に考えて経営を行っていま す。

─ では、自発的に動いてもらうにはどうすればよいのでしょうか。

経営においては、組織がめざすことと、社員のやりたいことが一致すれば一番いいわけです。そのために経営者は、組織としてやってもらいたいことをできるだ け具体的に考え、ゴールの設定やプロセスに至るまでの明確なビジョンを示すことはもちろん、そのビジョンを明確な言葉にして多くの人に伝えていくことが重 要になります。

多くの人にビジョンを伝えることによって、経営者のビジョンとやりたいことが近い、または共通点を持つ人が自ずと集まってきます。ビジョンや価値観を共有できている人が集まっている組織なら、人は命令されなくても目標を持って動くようになるものです。

もちろん、行動するための具体的な方法や知恵を与えたり、不安を解消すること、ときには相手を鼓舞することも必要でしょう。また、行動や結果を正しく評価 することも重要です。企業で言えば、昇給や昇格といった他の社員に見える形で評価することで、「自然に動きたくなる」企業文化が醸成されていくと考えています。

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意識を合わせながら、やる気を喚起する仕組み

─ そうした組織づくりをするために必要なことは何でしょうか。

グロービスでは、組織づくりの段階から社員一人ひとりが自発的に動くような仕組みをつくってきました。その一つが採用時の面接です。面接には、私が起業す る際に定めた理念や目標などを記した自書『吾人の任務』を読んだ上で臨んでもらうようにしていて、「創造と変革のビジネスリーダーを育成する」という、グ ロービスの事業の目的や将来像を理解した上で、共感できる人に入社してもらうようにしています。

また、普段の業務においても、社員と意識を合わせる仕組みを用意しています。それが四半期ごとに行っている社員との面談です。面談では会社の方針と社員のやりたいことの「すり合わせ」を行うMBO※というシステムを取り入れています。

MBOは、社員を評価するためではなく、社員の希望を把握し、組織と個人の方向性を確認し、共通の目標を設定することが目的です。社員にモチベーションを与え、「一緒に頑張ろう」と感じてもらう場だと考えています。

※ Management by Objectivesの略で、目標管理制度のこと。あらかじめ評価者(上司)と被評価者との間で目標に関する合意を結び、それに対する達成度合いで評価をする方式。

─ MBOは、社員のやる気を喚起する機会でもあるのですね。

そのとおりです。さらに良いのは、個人の自由を認めるような組織となることです。社員が自由に意見を述べることができ、自らの判断で行動することで能力を 発揮する、いわば自立した社員による「個の爆発」を促すような組織です。そうした土台の上で経営者と社員が意見を交え、議論を深めていけばよいのです。

グロービスでは、MBO以外にも経営層と社員の枠を超えて一つのテーマや事例について意見をぶつけ合い、議論する「読書会」のような場を設けています。議 論では相手の意見を否定せず、質疑を通して考えを理解していくことが求められますが、こうした経験を繰り返すことが社員の意識を高め、経営側の理解を深め てもらうことにもつながっていくと考えています。

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三つの要素が機能すれば、人は動き、組織も動く

─ 最後に、人が自発的に動くためのフレームワークがあるとすればどのようなものでしょうか。

まずはビジョンや理念を共有していることが前提です。その上で、企業として「個の爆発」を促す組織であること。そして最後は、「すり合わせ」です。会社が してほしいことと、個人がしたいことをすり合わせることができる仕組みを常につくっておくことです。この三つがきちんと機能すれば、人は動きます。そして 人が動くからこそ組織も動くのです。

トップは明確なビジョンを示すだけで、各人はそれを理解した上で自由に行動する。そして各人が自由に動きつつ、全体として発展していく。それこそが人が動く組織の本質であり、組織の理想形なのです。

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