誰でもリーダーになれる

写真:平尾 誠二
環境次第でキャパシティーは無限に広がる 2007年12月
平尾 誠二/神戸製鋼ラグビー部 ゼネラルマネージャー 兼 総監督
15人の選手が一つになるチームワークのスポーツ『ラグビー』の世界で、日本選手権7連覇をはじめ輝かしい成績を残してきた平尾誠二氏。プレーヤーとしてはもちろん、キャプテン、監督としても優れたリーダーシップを発揮してきた平尾氏が実践的リーダー論を語る。

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プロフィール

1963年京都府生まれ。同志社大学大学院総合政策科学研究科博士課程前期修了。81年伏見工業高校でラグビー全国高校選手権大会優勝。85年同志社大学で史上初の大学選手権3連覇。英国留学を経て、86年神戸製鋼入社。入社3年目から7年連続日本一。87年からワールドカップ(W杯)に3大会連続出場。97年〜2000年まで日本代表監督を務め、W杯99年大会出場を果たす。
2000年NPOスポーツ・コミュニティ・アンド・インテリジェンス機構(SCIX)を設立し、理事長就任。

主な著書

写真:主な著書

メンバーの内発的動機を喚起することがリーダーの使命

―リーダーとは何であり、その役割とは何だとお考えでしょうか。

明確に定義できるものではないと思います。置かれている状況や、プロジェクトの目的などによって、求められるリーダー像もその役割も異なるはずです。普遍的で絶対的なリーダーシップのスタイルなどは存在しないと考えています。

―平尾さんご自身は、キャプテンや監督としてどんなことを実践なさってきたのでしょうか。

選手のモチベーションを高めることです。目標を達成できたときの、身震いするような喜びをイメージさせ、選手が本気になって取り組めるような環境をつくることに心を砕きました。

私は以前から、モチベーションには「内発的モチベーション」(本人の内側から自発的に湧き起こってくる意欲)と「外圧的モチベーション」(外部から“やらなければならない状況”に追い込まれることによって生じる意欲)の2種類あると主張しています。

例えば「真剣に練習をしなければレギュラーから外す」といった外圧的な働きかけからは、工夫や創造的意欲は生まれません。人間は管理されればされるほど意欲が薄れるものです。かつて安価な製品を大量生産していた時代には、命じられたことを忠実にこなしていればよかったのかもしれませんが、付加価値の高い独創的な商品を提供しなければ勝負できなくなった現在では、ワクワク・ドキドキする気持ちを大事にして、創造力を発揮していかなければ、勝ち残っていくことは難しいでしょう。

こうしたメンバーの内発的モチベーションをいかにして喚起し、その力をチーム全体の力につなげていくか。これこそが、今後のリーダーに求められる最大の使命だと思います。

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新たな着眼点を与えることで成長を促す

―そうしたリーダーを育てていくにはどうすればいいのでしょうか。

育成についても、絶対的な成功モデルは存在しないでしょう。

いいリーダーがいいチームを育てるだけでなく、いいチームがいいリーダーを育てるという側面もあります。チームを土壌に例えれば、いいリーダーなら悪い土壌であっても土地をならし、肥やしを与え、いい土壌へと生まれ変わらせることができるでしょう。逆に、いい土壌からはリーダーが養分を吸収することもできます。このように、いいリーダーといいチームは相互関係にあるのです。

―では、平尾さんはキャプテンを選ぶ際、どのように決めてきたのでしょうか。

判断基準の一つとして「笑顔がいい」ということは重要な要素だと確信しています。非科学的かもしれませんが、その笑顔を見ると何となく落ち着いて、安心できるというのは、チームをまとめていく上でとても大きなポイントになるからです。

そして「多少は敵のいるヤツ」。誰にでもいい顔をしているわけではないという意味です。リーダーは、これが正しいと判断したら、孤立を恐れずに自分の意見を押し通さなければならない場合があります。それができるかどうか。とはいえ憎まれ過ぎてもチームをまとめられません。そこを補うのが「笑顔」なのです。

―選んだキャプテンに対しては、どのように接していくのでしょうか。

それはもう全力で支援します。リーダーの成長なくしてチームの成長はあり得ませんし、リーダーの成長がそのままチームの成長につながっていくわけですから、彼がキャプテンとしてうまくやっていけるように、持てるものすべてを提供していきます。

本人に対しては「今の君を認めているのではない。君の成長=チームの成長であり、それに期待している」と伝えます。

答えを与えるのではなく、今まで持っていなかった着眼点を与えることにより、進むべき方向を自分なりに見つけていける環境や、視点を変えるための仕掛けをつくってあげることが重要で、それによって成長を促すのです。「平尾さんがこう言っているから」という理解の仕方では意味が無く、自ら「気づき」を得ないことには本当の成長はありません。

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小さな判断の積み重ねがやがて経営判断能力へと結びつく

―リーダー的人材の確保に苦心している企業、中でも地方の中小規模企業はどうすればいいのでしょうか。

チームや組織には、その実力に応じた人材が入ってくるものです。100人を束ねるリーダーと、1万人を束ねるリーダーとでは、求められる資質も役割も異なります。将来その組織がグレードアップしたときに、それにふさわしい人材に成長すればいいのです。今の立場を悲観的に見る必要は全くありません。

そもそも、人は誰もがリーダーシップの芽を持っています。そして、人との出会いと環境によって成長していきます。リーダーを育てたければ、日ごろから自分自身で考えさせるようにして、小さな判断を積み重ねさせていくべきです。そうすれば、やがて大きな経営判断もできるようになっていきます。

人は賢くなっていく生き物です。初めは小さかったキャパシティーも、与えられた環境次第で無限に広がる可能性を秘めているのです。

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