“最小公倍数”を狙え

写真:秋元 康
コアなファンがムーブメントを起こす 2007年9月
秋元 康/作詞家
作詞家、放送作家、アイドルのプロデューサーと、多方面で数々のヒットを生み出し続ける秋元康氏。トレンド仕掛け人ともいわれる秋元氏に、ヒットの条件やヒットを生み出す創造力について聞いた。

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プロフィール

1956年東京都生まれ。高校時代から放送作家として頭角を現し、『ザ・ベストテン』など数々の番組構成を手がける。83年以降、作詞家として、美空ひばり『川の流れのように』をはじめ中島美嘉『WILL』、EXILE『EXIT』などヒット曲多数。2007年4月、京都造形芸術大学副学長就任。
テレビ番組の企画構成、映画の企画・原作、新聞・雑誌の連載など多岐にわたり活躍中。著書の『象の背中』は映画化され、10月27日より全国ロードショー。

主な著書

写真:主な著書

独断と偏見こそが独創性ある創造力の源泉

―秋元さんは最近、いろいろな企画会議で「刺さるかどうか」という問いかけをなさっているそうですが、どういうことなのでしょうか。

簡単に言うと「コアなファンをつかめるかどうか」ということです。

例えばテレビ番組でも、刺さっている番組と刺さっていない番組があります。ドラマの『木更津キャッツアイ』(2002年)は、視聴率は1ケタでしたが、 DVDが飛ぶように売れ(50万セット)、映画も大ヒット(観客動員120万人・興行収入15億円)しました。一方で、視聴率20%の番組でも、刺さっていなければ、たとえ2000万人が見ていようと「買おう」とか「行こう」とかいったアクションは起きません。

知名度は低くても、一部の熱狂的なファンがいた方が、物は売れるし、人が群がってムーブメントにつながっていくのです。

―ムーブメントを起こせるような商品を開発する秘訣はあるでしょうか。

最大公約数を狙っていてはダメですね。マーケットリサーチに頼って商品を開発しようとすれば、競合他社も同じことをしているわけですから、差異化を図ることができず、独自性も優位性も生まれません。

今は最小公倍数の時代です。つい忘れてしまいがちですが、自分も大衆の一人であり、消費者の一人なんです。まずは自分自身が面白いと思えるか、ワクワクするかどうかが大切です。自分自身がその商品のコアなファンにならなければなりません。独断と偏見に満ちた自分中心の興味こそが、独創性のある創造力のもとになります。世の中を動かしている創造力というのは、突き詰めれば、ある一人の興味や好奇心から始まっているのです。

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部下の創造力を引き出すには相手を信じてフルベットする

―世の中を動かすような創造力を、部下から引き出すにはどうすればいいでしょうか。

管理職が苦労するのは、やはりそこですよね。創造力は本来、共同作業との相性が悪いのです。分業はできます。商品の企画を立てる人、ネーミングを考える人、デザインする人とか。けれど、みんなで一つのデザインを考えようとすれば、個性のない中庸なものになってしまいます。

例えば、新商品の弁当を売り出そうとして、初めはハンバーグがメインのハンバーグ弁当を考えていたのに、みんなの意見を聞いているうちに、「肉の嫌いな人はどうするんだ」「じゃあ魚も入れよう」、「肉も魚も嫌いな人は?」「じゃあ野菜も入れよう」、さらには「デザートもあった方がいいですよね」と、ついには幕の内弁当になってしまうわけです。

幕の内弁当で特色を打ち出すことは難しく、人々の記憶にも残りません。つまり、コアなファンをつかむことはできず、大ヒット商品にはならないということです。

同様に、多くの管理職は、部下のアイデアに対して「ここはこうした方がいい、ああした方がいい」と言ってしまいがちです。それでは、せっかくとんがっていたアイデアの個性を消してしまうことになります。

部下の創造力を遺憾なく発揮させるためには、フルベット、つまり、相手を信じてすべてを賭ける覚悟が必要です。100%任せて、好きなようにやらせることです。何か助言をするとしたら「自信を持て」「会社のことは全部おれがガードするから」、あるいは「失敗してもいい。責任はおれが取る」と言ってあげる方がはるかに大切です。

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初心者がホームランを打つ可能性も十分ある

―会社やチームといった「組織」としての創造力を高める方法はあるのでしょうか。

風通しが良く、誰でも意見が言えて、誰でも企画を提案できる状況をつくることです。

創造力や企画力については、野球に例えれば、3割打者もいますが、初めて打席に立った人がホームランを打つ可能性も十分にあるわけです。ですから、「刺さる企画」を求めるのであれば、野球をやったことの全くない人たちにもチャンスを与え、打席に立たせるというのが最も効果があります。登録選手のすべて、つまり全社員のアイデアをいかにして聞けるようにするかということでしょう。

商品企画部や開発部といった専門部署だけで考えていると、段々と制約が増えてきます。事情が分かりすぎるからです。そして、面白い発想もできなくなってきます。事情を知らない門外漢の方が、思いも寄らないアイデアが出るのです。

ただし、突飛なアイデアですから、当たれば大きいけれども、当然、空振りも多いわけです。だから、どうしても3割打者を集めて考えようとするわけですが、それでは突出したアイデアが出なくなってしまうのです。

やはり、門戸を広げ、社員全員から容易にアイデアを募れる環境をつくっておくことが大切でしょう。

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