『釣りバカ日誌』に見る未来型組織

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写真:淡輪 敬三
“ハマちゃん流”が日本企業の未来を開く 2006年12月
淡輪 敬三/ワトソンワイアット株式会社 代表取締役社長
『釣りバカ日誌』のハマちゃんは、自由奔放な自分流の流儀を貫きながら、なぜかみんなに慕われ、いつの間にか難問をも解決してしまう。今後の日本企業は、社員一人ひとりの潜在力を存分に引き出せて、そこから生み出される知的資産が競争力の源泉となるような組織になることが求められる。組織の中で個人が輝き、それによって組織も成長する―。『釣りバカ日誌』には、そんな未来型組織の要素がふんだんに盛り込まれている。

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プロフィール

1952年東京都生まれ。76年東京大学工学部航空学科卒業。78年同工学系大学院修士課程修了、日本鋼管入社。85年スタンフォード大学大学院修士課程修了。87年マッキンゼー・アンド・カンパニー入社。93年同社パートナーに就任。97年から現職。変革の志の高い企業に対し、人材マネジメントの視点からトータルに企業変革をサポートするコンサルティングを手掛けている。

主な著書

写真:主な著書

社長と社員が対等なこの作品に組織理念の「未来性」がある

“ハマちゃん”との出会いは、実に32年前にさかのぼる。「マンガ第一世代」に属する私は、常に生活の一部にマンガがあった。当時は劇画ブームであり、自然と『ビッグコミックオリジナル』(小学館)を手に取った私は、ちょうど就職を考え始めた時期でもあったことから、“会社モノ”である『釣りバカ日誌』にすぐに魅了されてしまった。

その理由は、基本的に社長と平社員が「対等」であるという新鮮なコンセプトが物語の背景になっていることにある。当時のサラリーマンから見れば、現実にはあり得ない「夢物語」。しかし、ハマちゃんにかかると極めて自然な展開に見えてくる。私が魅了されたのも、この作品が「こんな会社員になれたら最高だろうなあ」という姿を鮮やかに描き出していたからだろう。当時の新鮮さは、30年以上経った今でも決して色あせていない。その秘密は、「真性フラット組織」とも言うべき組織理念の「未来性」にある。

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日本企業に突き付けられる「人と組織」の変革

現在、日本は人口減少社会へと突き進んでおり、急速な高齢化が進んでいる。この事実は日本企業に「人と組織」の本質的な変革を突き付ける。それは過去にないマグニチュードの大きさである。なぜだろうか。

第一に、国内市場は長期縮小傾向に入るため、国内のみを商圏とする企業は長期的には成長できなくなる。特に、成長性の高いアジアを自らの市場に取り込まない限り将来はない。当然、将来性もなく、成長もしない企業には人は集まらない。従って、グローバル化は日本企業にとって「必然」なのである。

第二に、工業化社会から知的資産社会への転換が加速する。50年という長期スパンでとらえれば、かつて日本が米国から主導権を奪ったように、あらゆる製造業の主役が、中国などのアジア諸国に取って代わられる可能性は高い。日本が豊かさを安定的に維持していくためには、社員一人ひとりの潜在力を存分に引き出し、知的資産が競争力の源泉となる企業経営に転換する以外に方法がない。

そして最後に、これまで企業競争力の中核であった、新卒採用の日本人男性で終身雇用型忠誠心を持った人材が漸減していく。中途採用や雇用形態の多様化などにより、女性、高齢者、外国人労働者など多様な人材が存分に活躍できる「場」を提供できる企業しか生き残れなくなる。

そうしてみると、伝統的、国内市場中心、男性社会の典型である、ゼネコン企業の鈴木建設という設定の中だからこそ、ハマちゃんが際立つのだろう。ハマちゃん流が未来志向であればあるほど、そのギャップが多くの奇想天外な物語を生み出していくのだ。

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価値創造の妨げになるものを排除した「ユニバーサルモデル経営」をめざせ

ハマちゃんは、超大企業の総裁である稲川氏であろうが、長男の鯉太郎だろうが、常に相手と同じ高さのフラットな目線で「対等」に接する。社会的地位や年齢、性別、国籍などで、その人への対応を変えることなどない。常に自分の本心をさらけ出し、相手の魅力を見つけ出し、両者にとって“Win-Win”の関係をつくり出し、人生を存分に豊かにしていく。

この日本企業の未来モデルというべき「真性フラット組織」の根本理念が、誰でもアクセス可能で価値創造に何らバリアがない「ユニバーサルモデル経営」であり、その基本的な価値観が、フラットな目線であらゆる人間関係を構築していくハマちゃんによって体現されているのだ。

社員の持つ無限の可能性を引き出すためには、あらゆる思考の「規制」を排除せねばならない。日本人男性特有の先輩への配慮や、村社会的な秩序の重視、強いセクショナリズムなど、カビが生えた古い「組織の掟」をきれいさっぱり捨て去るべきだ。

まずは「序列」の概念を組織から徹底して追い出すこと。「まだ若いから」「女性だから」「高齢だから」といった、新たに何かを生み出すための挑戦を自己規制してしまう風土をぶち壊す。日本人だけが分かる「あうんの呼吸」などというものも一切認めない。誰にでも分かりやすい言葉で仕事を進め、意思決定する。誰からも分かりやすい「透明性」をもって行動し、対等な人間関係を結び、結果の責任も取る。

こうしたハマちゃんの行動様式こそが、まさしく日本企業の未来像である「ユニバーサルモデル経営」の基本的な価値観を体現しているのである。ただし、かなりのいい加減ささえ大目に見れば、であるが。

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