近畿日本鉄道株式会社 あべのハルカス事業本部様

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2014年12月10日 掲載
  • 300名以上
  • 不動産業
  • コスト削減
  • サービス価値向上
  • ネットワーク最適化
  • 業務効率化

日本一の超高層複合ビル「あべのハルカス」の
館内全入居施設の共通プラットフォームとなる
配線敷設全長24kmに及ぶ大規模な「統合基幹LAN」を構築

先進的な都市機能を縦に集積した
地上300mの立体都市「あべのハルカス」で
沿線地域の活性化・発展に貢献
大阪・京都・奈良と伊勢志摩、名古屋を結び、国内私鉄事業者の中で最大の営業キロ数を誇る近畿日本鉄道株式会社(以下、近鉄)様。平成22年に創業100周年を迎え、新たな世紀を切り開くシンボル事業として「あべのハルカス」を建設し、平成26年3月に全面開業。あべのハルカス近鉄本店(百貨店)、オフィス、大阪マリオット都ホテルに加え、あべのハルカス美術館やハルカス300(展望台)も備えた地上300mの立体都市は、キタ(梅田)、ミナミ(難波・心斎橋)に次ぐ大阪第3の繁華街であるあべの・天王寺エリアのイメージと全国的な知名度を飛躍的に向上。沿線地域の活性化を通じて、次の100年に向けた持続的な成長をめざしています。

キーテクノロジー&ソリューション

事例の概要

 近鉄様は、日本一の超高層複合ビル「あべのハルカス」のICT基盤として、百貨店、オフィス、ホテル、美術館、展望台など館内全入居施設の共通プラットフォームとなる大規模「統合基幹LAN」を導入。各入居施設のシステムを一つのICT基盤上に集約することで、経済性・効率性・拡張性を高めるとともに、入居施設間のコラボレーションを誘発し、来館者の回遊性を高めるための環境を整備しました。

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導入の背景

“地上300mの立体都市”にはどのようなICT基盤が必要なのか?

 鉄道会社の使命を「沿線、さらには社会の発展に貢献すること」と位置付けている近鉄様は、あべのハルカスの開発プロジェクトにおいても「地域の皆様から愛され、自慢の種になることができれば、それこそが地域の繁栄に貢献する鉄道会社の使命の達成につながる」と考えていました。
 そこで、近鉄グループのコア事業(鉄道、不動産、流通、ホテル・レジャー)を結集。同社最大のターミナル・大阪阿部野橋駅に、営業面積日本一の百貨店、大阪有数のフロア面積を誇るオフィス、大阪で最も高層に位置する国際ブランドホテルを導入することで、あべの・天王寺エリアの都市機能を大幅に充実させ、さらに、美術館や展望台を設置することで、新たな文化・観光拠点も形成。キタ、ミナミに対する競争力の強化をめざしました。
 ただ、参考となる事例は少なく、大阪の新たなランドマークとなる“地上300mの立体都市”にふさわしいICT基盤をどのように構築すべきか、漠然とした不安を抱えていました。

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NTT西日本の提案

入居施設間の「コラボレーション」を可能にし、
シナジー効果の最大化をめざす大規模「統合基幹LAN」

 NTT西日本は、近鉄様と半年近くICT検討会を重ね、あべのハルカスに懸ける近鉄様の熱い思いを深層部分まで共有。単なる建物としてではなく「街づくり」の観点から、経済性・効率性はもちろん、そこに“暮らす”人々の快適性・利便性・安全性、環境・エネルギー問題、さらに将来の拡張性など「街の未来」を見据えたICT基盤の整備をめざしました。
 特に、あべのハルカスは近鉄グループのコア事業が結集した複合ビルであることに着目。そのシナジー効果を最大化するため、各事業の連携を促進し、新しい付加価値を創出するためにICTができることを模索しました。
 そうして導き出したコンセプトが「コラボレーション」であり、それを実現するためのICT基盤が大規模「統合基幹LAN」です。
 通常、ICT基盤は、複合ビルに入居する施設ごとに個別に構築します。しかし、あべのハルカス内の入居施設は全て近鉄グループが運営することから、各入居施設が共用できる基盤として、「統合基幹LAN」を構築。そこには、さまざまなシステムを接続可能にするための共通インターフェイスや、情報セキュリティーを確保するための仕組みなどをミドルウェアとして組み込んでいます。
 そして、「統合基幹LAN」上では、ビルの空調・照明・昇降機・監視カメラなどの制御系システムをはじめ、百貨店・ホテルの業務システム、美術館や展望台のチケット販売システムなどを運用することで、近鉄グループ全体でのシステム構築・運用コストを削減しています。
 「統合基幹LAN」のメリットは、費用面だけではありません。入居施設のシステムを一つの基盤上に集約するため、入居施設が連携してサービスを提供したい場合に、必要なICT環境を容易に準備できます。
 あべのハルカス事業本部 技術部 課長の松本太一氏は「ビルのインフラは一般的に電気、空調、給排水といわれますが、大規模なビルになればなるほど、ICT基盤についてもビル側がインフラとして用意すべきと私たちは考えており、NTT西日本の提案は、当社の考えとマッチしていました。『コラボレーション』も、いろいろな施設が集まる複合ビルにふさわしいコンセプトだと共感を覚えました」と語ります。

図:大規模「統合基幹LAN」の利用イメージ

基盤系システムの概要

■ICT基盤コンセプトメイキング

近鉄様の思いを深層部分まで理解した上で、事業の戦略や目的に合致したICT基盤のあり方を検討。百貨店、ホテルなど館内各入居施設の連携によるシナジー効果の最大化に貢献するため、「コラボレーション」をコンセプトとするICT基盤を提案。

大規模「統合基幹LAN」のイメージ■大規模「統合基幹LAN」

入居施設ごとにバラバラのICT基盤を構築するのではなく、一つのICT基盤に各システムを集約することで、各入居施設のコラボレーションを誘発。また、ネットワーク機器を仮想化し、各システムで共用することでコストを削減。 館内の配線敷設全長は24kmに及ぶ。(なお、通常の大規模ビルの配線敷設全長は15km程度)

常駐保守のイメージ■常駐保守

館内のICT設備が正常に稼働していることを24時間体制で監視。万一、トラブルが起きてもすぐに対処できるよう技術スタッフが常駐。

アプリケーション系システムの概要

 設計開始から運用開始までに2年以上の期間があり、近鉄様にとっても新規事業であることから、入居施設・店舗の運営体制などは開業ギリギリまで固まらず、アプリケーションの仕様も固まっていませんでした。
 「それでも、来館者やテナント入居者に対して、何か付加価値のあるものを提供したい」という近鉄様の熱い思いに何とか応えたいと、NTT西日本は他のビルの事例や最新のトレンド情報などを提供し、近鉄様のご要望を検討を重ねながらカタチにしていきました。

テナントサービス支援システム■テナントサービス支援システム

オフィスフロアの入居テナント向けポータルサイト。貸し会議室の利用予約や、空調の時間外利用申請などがパソコンから行える。
ビル側からエレベーターの運用変更などの一斉周知も可能。百貨店、ホテル、美術館、展望台の掲示板から、入居者向けのお得情報などを提供できる他、テナントが各種告知を行える掲示板も用意。

施設総合情報案内システム■施設総合情報案内システム

来館者やテナント入居者に対し、館内に設置したタッチパネル式端末にて入居施設の情報を配信。会議室前表示ディスプレーでは、会議室の利用状況を提供。

スマートフォン向け情報配信サービス■スマートフォン向け情報配信サービス(O2Oサービス)

来館者の最寄り店舗のクーポンやイベント情報などをスマートフォン専用アプリで配信。館内に敷設したWi-Fiアンテナの電波強度から、来館者の位置情報を把握して、滞在エリアや時刻に応じた情報を配信することで、来館者の利便性を高め、館内での回遊性を向上。

■来場者カウントシステム

美術館や展望台の主要なエリアに人感センサーを配置。来場者数をリアルタイムに把握し、滞留人数に合わせた案内など最適な運営をサポート。カウントデータは、エリア分けしたブロックごとに「時間帯・日・週・月・年」単位で集計できる他、天気による集客の差なども分析可能。

58階 天空庭園 60階 天上回廊 人感センサー

館内共用データベース■館内共用データベース

近鉄グループ間でさまざまなデータを共有するためのデータベース。データベースに登録されたデータをデジタルサイネージなどのツールに活用することができ、また、太陽光発電量などA-EMS(阿倍野エリアエネルギーマネジメントシステム)のエネルギー関連データを本データベースを通じてホームページやデジタルサイネージなどへECO情報として発信可能。

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構築時の課題

疑似環境による入念な事前検証で「日本一の難工事」を克服

平成23年11月24日撮影。約153m、31階 平成25年5月23日撮影。300m、60階

 あべのハルカスの工事にはさまざまな困難がありました。特に、平成26年3月の全面開業に先立ち、平成25年6月に低層階の百貨店(地下2階〜地上14階)を先行開業したため、本来、一体のネットワークである「統合基幹LAN」は、地下5階、地下2階〜地上15階部分までは先行して運用を開始しつつ、残りの上層階部分など(地下4階、3階、地上16階〜60階)の構築を進めていくという異例の工事となりました。
 「百貨店の営業に支障のないことが大命題であり、『この時間帯なら、この部分は使用しないので、この作業を行う』といった綿密なスケジュールを立て、万一、何かトラブルがあっても即対応できる体制を整えて工事を行ってもらいました」と松本氏は語ります。
 一方、ビルの工事自体も「建築の専門家から『日本一の難工事』と言われていました」(松本氏)。その難しさは地上300mという高さだけではありません。都市再生特区申請により、容積率が800%から1,600%へと緩和され、それを最大限に生かすため、敷地いっぱいにビルを建てることになりましたが、市街地の中心にあるため、資材置き場もなく、資材の搬入にも多くの制約があったのです。
 車両の乗り入れは原則として夜間に限られ、エレベーターの台数にも限りがあることから、例えば午前1時にエレベーターの利用を予約すれば、その10分前にトラックを乗り入れて資材を積み降ろし。早く到着しても他社が資材の搬入をしているため、ゲートに入れないという状態でした。
 さまざまな制約がある中で円滑な工事を行うため、NTT西日本は、あべのハルカスに実際に導入する機器を用いて、自社の検証施設に疑似環境を構築し、入念な事前検証を実施。「私たちも何度か確認に行きましたが、手堅い試験を徹底的に行ってくれていたので、これなら全面開業後も大きなトラブルが起きることはないと安心できました」と、あべのハルカス事業本部 技術部の西博昭氏は振り返ります。
 また、「来場者カウントシステム」については、スポットライト形状の人感センサー(画像解析型)が、展望台の夜間営業時の照度でも問題なく機能するかどうかを現地で検証。入退試験を繰り返し、センサーの画角や認識エリアを調整することで、約95%の精度を実現しています。
 「全面開業は3月でしたが、各入居施設の運営トレーニングに数カ月かかるので、それまでにシステムを完成させてもらいました。タイトなスケジュールがさらに厳しくなってしまいましたが、トレーニングの際、実際にシステムを利用することができたので、グランドオープンの当日は、ICT設備に関しては何の心配もしていませんでした」と松本氏は頬を緩めます。

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システム導入の効果

1. 各入居施設の連携を促進し、来館者の回遊性を高めるためのICT環境を整備

各入居施設のシステムを「統合基幹LAN」に集約したことで、各入居施設が連携しやすい環境を実現。例えば、百貨店のPOSシステムを使って展望台に店を出したいという要望があれば、設定を変更するだけで、スムーズに出店が可能。また将来的に、ホテルの宿泊客が、客室のテレビ端末から百貨店の商品を注文し、部屋まで届けてもらったり、注文した商品が土産物なら、受け取りはチェックアウト時に行い、代金は宿泊費と一緒に精算したり、といったコラボレーションもしやすいICT環境になっている。このような各入居施設の連携により、ホテル宿泊客の百貨店利用の促進をはじめ、百貨店に来た人が展望台にも昇ってみたり、展望台に来た人が美術館ものぞいてみたり、といった回遊性の向上が期待できる。

2. 通話料を削減

鉄道、百貨店、ホテルの電話設備それぞれを相互に接続することで、内線通話が可能となり、通話料を気にすることなく、グループ会社間のコミュニケーションが図れている。

3. 各種広告コンテンツの制作を効率化

「館内共用データベース」を活用し、画像や動画などを各システム間で受け渡せるようにすることで、公式サイト、スマートフォンアプリ、デジタルサイネージ、タッチパネル式端末のコンテンツ制作を効率化。

4. 美術館・展望台の来場者数をリアルタイムに把握

「来場者カウントシステム」により、チケットの集計を待たずに、その時点での来場者数を把握し、入場制限などの状況判断に活用。また、開業当初は、報道各社から求められる「本日の来場者数」の提供にも来場者カウントシステムが活躍した。
なお、展望台の来場者は平成26年11月24日に200万人を突破。開業時の当初目標(年間180万人)を大きく上回るペースで推移している。

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お客様の声

「一人一人のスタッフのスキルと意識の高さが『信頼性』の高さにつながっており、
インフラを持つ企業の強みを感じました」

写真:松本 太一氏

 当社は乗客の命を預かる鉄道会社であり、インフラを持っています。NTT西日本も通信というライフラインのインフラを持っている会社であり、インフラを持っていない会社との工事品質の差は歴然としていると感じました。
 配線の整理やラックのマウント、装置の取り付け方法などもとてもきれいで、後から誰が見ても分かるように札を取り付けるなどきめ細かな配慮がなされています。それが保守・運用のしやすさにもつながり、万一のトラブル時にも迅速な対応を可能にしているのではないでしょうか。
 「安全品質パトロール」という事後チェックの取り組みも行ってくれていましたが、何よりも、現場で実際に作業をする末端のスタッフにまでどれだけ工事の重要性を説き、意識を共有できているかが大切なのだと思います。一人一人のスタッフのスキルの高さと責任感や使命感、仕事に対する誇り。そこはやはりもともとの企業文化なのでしょう。発注側としては当然、低コストを求めますが、“安かろう”だけでは品質の維持は難しいということも実感しました。
 ICTの基盤は今回、しっかりと整備できたので、今後はそれをうまく活用していく上で、各入居施設の要望に応えられるアプリケーションの開発についても、ICT社会をリードする会社としてさまざまな提案を期待しています。

「構築の過程でレクチャーしてもらった最新の情報や知識が、さまざまな場面で
役立っています」

写真:西 博昭氏

 参考となる前例が少ない中、NTTグループがICT基盤を構築したミッドランドスクエア(名古屋)や東京ミッドタウンなどを見学させていただき、システムの規模や保守・運用体制などについてリアルな話を聞くこともでき、大変参考になりました。
 また、最近は情報セキュリティーへの関心が特に高まっていますが、セキュリティーを確保しようとすると、テナント様の使い勝手や利便性に影響が出るなど、二律背反の部分があるので、その最適なバランスの見極め方については、豊富な経験とノウハウを持つNTT西日本に繰り返し相談をさせてもらいました。
 私たちは、もともと鉄道の設備の維持管理が専門で、ICTに詳しいわけではありません。NTT西日本の担当者は、私たちが質問をすると、詳しい資料を用意して、理解できるまで分かりやすく丁寧に解説してくれました。
 こうした質の高いレクチャーには、今回構築したICT基盤とはまた別の価値があると感じています。その時に得た最新の情報や知識が、さまざまな判断の材料になっていますし、今後、新たなICT戦略を策定していく際にも大いに役立つと思っています。

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